電気自動車って走りが面白くないんでしょ? そんな風に思ってた時代が俺にもありました……。
電気自動車(EV)は電力でモーターを動かして走るため、ガソリンをぶちまけてエネルギーを発生させるエンジンが必要ありません。それはメリットなのですが、反面、ガソリン車ならではの力強い加速感などがスポイルされている……とも言われています。
果たして、本当にそうなのか? 韓国ヒョンデのEVスポーツカー「IONIQ 5 N」を長期間お借りしたので、EVのメリットやデメリットを紹介します。
日本に再参入したヒョンデは
世界シェアは3位の巨大メーカー
みなさんはヒョンデと聞いてどんなイメージを持ちますか? 一度日本から撤退している、EVが燃えたなどのネガティブなイメージが先行しているかもしれません。たしかにそれは事実なのですが、現在ではトヨタ、フォルクスワーゲングループに次ぐ世界3位のメーカーなのです。日本ではシェアは少ないものの、海外では結構走っているクルマを見かけます。
そんなヒョンデが日本への再参入として投入したのがSUVの「IONIQ 5」です。今回紹介するIONIQ 5 Nは、「IONIQ 5」をベースに、同社のスポーツ部門である「N」がチューニングしたスポーツEVなのです。Nブランドのトップに以前インタビューをしましたが、この方も生粋のクルマ好きで「EVだからスポーツ走行できないと思われるのは心外!」と、このクルマを作ったそうです(EVなのにドリフト!? 変速ショックもあるヒョンデ「IONIQ 5N」に新 唯も興奮!)。
IONIQ 5 Nは海外ではワンメイクレースを開催していたり、オーナーズミーティングも盛んに行なわれています。日本でも自動車系イベントでドリフト仕様をデモランさせたり、ラリージャパンに参戦したりなど(ヒョンデはフル参戦だから来て当然ですが)、スポーツのイメージを全面に打ち出しています。ちなみに、Nブランドは日産の「NISMO」やメルセデス・ベンツの「AMG」のような存在です。
スポーツモードでの演出が
クルマ好きの琴線に触れる
筆者はノーマルのIONIQ 5にも乗ったことがありますが、正直なところあまりピンと来ませんでした。クルマ自体のデキはいいのですが、ゆえに退屈というか、ノーマルとNでは、まったくの別モノでした。
まず最高出力が650PSという部分に驚かされます。ノーマルのIONIQ 5が229PSなので、約3倍近いパワーです。トルクもIONIQ 5が350NmでIONIQ 5 Nは770Nmと、こちらも倍。これだけ性能がアップしているということで、ボディーにもかなり多くの補強が入っているんだとか。
乗ってみてすぐに混乱するのがスイッチの多さ。最近は物理スイッチを減らすメーカーが多い中、IONIQ 5 Nには謎なボタンがたくさんあります。とりあえず左上の水色のスイッチがドライブモードの選択なので、ここからスポーツモードに変更し出発。今回は千葉県から会津若松市までの300km超のロングドライブです。
一般道でもノーマルよりスポーツモードが快適です。それはアクセルレスポンスがいいから。踏めばスッと加速してくれます。ノーマルモードだとエコ寄りなので、アクセルをある程度踏み込まないと加速しないし、加速感もゆっくりです。
え、今EVに乗ってるよね? と思ってしまうのが、エンジン車のような演出。たとえば、目の前のディスプレーにはタコメーターが表示され(もちろん演出です)、回転数合わせてに音も変わっていく、減速する際にブリッピング(空ぶかし)をするなど、さすがクルマ好きが作っただけあります。面白いのがレッドゾーンまで回すと、ガクンと一瞬減速してしっかりフューエルカットのような動きをすることです(エンジン車はレッドゾーンまで回すとエンジン保護のリミッターが働いて燃料カットされます)。
パドルシフトではシフトアップ、シフトダウンの演出もあります。シフトアップすればシフトショックがありますし、シフトダウンではマフラーからのパンッという音も出ます。もちろん、IONIQ 5 Nにはギアボックスもマフラーもありません。
スポーツカー好きにはたまらない演出です。エンジンもギアボックスもないEVなのにここまでこだわっているなら、ガソリン車でもいいんじゃ……と思ってしまいますが、EVでやるから楽しいのです。
大きなボディーだからこその車内空間
筆者の愛車は2ドアのコンパクトカーなので、家族4人で出かけるときは非常に窮屈です。IONIQ 5 Nは全長4715×全幅1940×全高1625mm、ホイールベース3000mmというサイズで、後部座席も足下まで広々なので、家族からの評判が非常に良かったのです。前側のシートがセミバケットシートで、ホールド感もよく、さらにシートエアコン搭載で暑い時期でも背中が蒸れません。
後部座席にもUSB Type-Cのコネクターがあるので、後ろに座った人も安心してスマホやタブレットが使えます。
高速道路を走るとホイールベース3000mmが地味に効いていて、直進安定性がかなり良いです。ハンドルを小刻みに動かしてクルマの体勢を整える必要がほとんどないので、長距離運転でも疲れませんでした。優秀なクルーズコントロールと合わせて、高速移動は非常に優秀です。
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