◆ほぼ新しく生まれ変わったBMW GSシリーズ
BMW Motorrad(以下BMW)のGSシリーズと言えば、世界でもトップクラスに売れているバイクだ。そのGSがまったく新しいバイクとして生まれ変わった。と言うのも、新たに発売された「R 1300 GS」は、前モデルから変わらず使用しているのは、メーターパネルとウインカー、テールランプのみ。実に90%以上のパーツが変更されている。このことをひとつとっても、BMWが今回のGSに力を入れている事がうかがえる。
まずエンジンだが、前モデル(R 1250 GS Adventure)から49ccアップした1300ccで、最高出力は145PS。最大トルクは149Nm。数値を見てもピンとこないかも知れないが、最大出力が9PS増しているので、力強さは体感できるレベルだ。
そしてクランクケース後方にあったトランスミッションを、クランク軸真下に配することでエンジンの全長も短くなった。前モデルまでは左右のシリンダーヘッドが微妙に前後していたが、今回のGSは左右対称になっているのも注目すべき点だろう。
フレームは板金シェル構造、平たく言えばエンジンを利用したモノコックといった感じか。サスペンションはフロントにテレレバー(ブレーキングの荷重を独特のAアームが受け止めノーズダイブを抑える構造)、パラレバーシステム(加速時のテールリフトを打ち消す効果のある構造)を採用している。
走行性能に関するスペックはこんなところだが、実際に乗ってみるとどうなのだろうか。まず跨ってみると、シート高の低さに驚かされる。GSのようなアドベンチャーモデルは、シート高が高いのが相場だ。ところが今回から、自動シート高調整システムとでも言うべきシステムが採用され、足付きが格段に良くなっている。
このシステムは車速が25km/hを切ると自動的に30mmほど低くなる。技術的にはもっと低くできるのだが、最低地上高の縛りがあるため現状は30mmにとどめているとのこと。それでも30mmシート高が低くなるのは、大きな安心に繋がる。しかも走行時は、ベストなライディングポジションを確保できるのだから言うことなしだ。
今までのBMWであればエンジンを始動しアクセルを開けると、軽く左に車体が持っていかれるのだが、このモデルに関しては感じられない。アイドリングのままゆっくりクラッチをつないて走り出すと、強大なトルクはノッキングすることなく240kg弱の車体を軽々と加速させる。峠を走るだけなら、3速ホールドで低速から高速コーナーまでまかなってくれるだろう。
もちろんブレーキも過不足なく、思ったスピードにコントロールしてくれる。さすがにBMWのフラッグシップモデルだけあって、走りの質は上級この上ない。
エンジンは息の長い加速を実現し、ブレーキフィーリングはギクシャクしない上質そのもの。そして特筆すべきは、サスペンション性能だろう。BMW特有のテレレバーは、テレスコピックとは違いブレーキング時のフロントの沈み込みが独特だ。テレスコピックは、フロントフォークが縮みキャスター角を立てて曲がりやすくする。だが、その分フロントの伸び縮みが激しく、ときに不安定さを覚える。
対してテレレバーシステムは、ブレーキング時に車体全体が沈み込んでいくイメージで車体が安定している。好みの問題もあるが、一度この感覚に慣れてしまうと離れられなくなる。これがGSシリーズの最大の魅力と言っても過言ではないだろう。
◆スペックを考えれば284万円の価格も高くない
シート高調整システムが入り、車重も20kg近く軽量化している。この進化は、今まで欲しくても二の足を踏んでいたライダーには朗報だろう。価格も284万3000円~と、BMWのフラッグシップモデルと考えれば高くない。バイクの王様のオーナーになる良い機会かも知れない。
■筆者紹介───折原弘之
1963年1月1日生まれ。埼玉県出身。東京写真学校入学後、オートバイ雑誌「プレイライダー」にアルバイトとして勤務。全日本モトクロス、ロードレースを中心に活動。1983年に「グランプリイラストレイテッド」誌にスタッフフォトグラファーとして参加。同誌の創設者である坪内氏に師事。89年に独立。フリーランスとして、MotoGP、F1GPを撮影。2012年より日本でレース撮影を開始する。
■写真集
3444 片山右京写真集
快速のクロニクル
7人のF1フォトグラファー
■写真展
The Eddge (F1、MotoGP写真展)Canonサロン
Winter Heat (W杯スキー写真展)エスパスタグホイヤー
Emotions(F1写真展)Canonサロン
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります
この連載の記事
- 第680回
自動車
「OK Google」が軽自動車で使える感動。日産「ルークス」が激戦区で選ばれる3つの理由 - 第679回
自動車
330万円から!? マツダ新型CX-5が「今年のSUV最高傑作」と断言できる理由 - 第678回
自動車
EVである前に軽自動車。スズキ「eSKY」が示す、日本の日常に寄り添う最適解 - 第677回
自動車
「ついに911、お前もか…」伝統の変化を嘆く前に乗るべき、約2000万円の超ピュアな「カレラT」 - 第676回
自動車
メーカーチューンの理想形! 2L化した特別ロードスター「12R」が魅せる至高の人馬一体 - 第675回
自動車
街乗りは不便でも悪路走破性は最強! ファミリーカー目線で斬る「ジムニー ノマド」のリアルな実力 - 第674回
自動車
軽自動車なのにフラッグシップ級の充実度! 三菱・新型デリカミニの最新コネクテッド機能を徹底検証 - 第673回
自動車
【予算30万円台】車中泊もこなす神コスパ! 日産「ウイングロード」の中古を推したい3つの理由 - 第672回
自動車
さらばA110。プロが自腹買いする名車。最後の過激な限定車「アルピーヌ A110 R 70」の魔力 - 第671回
自動車
15年前のクルマと侮るなかれ! 燃費22.5km/Lの実力派、2代目ソリオを再評価する












