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あのクルマに乗りたい! 話題のクルマ試乗レポ第143回

スポーツクーペ「TT RS」は5気筒エンジンと四輪駆動でアウディらしさが詰まった1台

文●栗原祥光(@yosh_kurihara) モデル●新 唯(@arata_yui_)編集●ASCII

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アウディ/TT RS(1026万円~)

 「100年に一度の大変革」といわれる自動車における電動化の流れ。その中、6月22日、2026年以降に発売する新型車をEVのみにすると発表したのが、ドイツのプレミアムブランド、アウディです。逆に言えば、現行モデルでエンジン車は最後ということ。そこで「もっともアウディらしいアウディ車」といえるアウディ「TT RS」を、スポーツカー大好きモデルの新 唯さんとともにご紹介したいと思います。

アウディってどんなブランド?

アウディ「TT RS」

 過去、モデルさんに「乗ってみたいクルマは?」と尋ねると、必ずといってよいほど「レクサス、メルセデス、BMW」とともに、アウディの名が出てきます。ですが理由を尋ねても、ほぼ全員乗車経験がなく、明確な答えを聞いたことがありません。これは「彼氏に乗ってもらいたいクルマは?」というよく見かける記事でも同様。ブランドイメージで語られることが多く、「なぜアウディなのか?」という部分については明確に記されていない場合がほとんどです。舶来信仰なら、ほかにも素敵な輸入車がありますし、日本車だって素敵なクルマはいっぱいあります。

MT免許所有の車好きモデル、新 唯さん

 唯さんも乗ってみたいクルマの第一位にポルシェを挙げるものの、あとは御多分に漏れず。彼女的にアウディに乗るのは初めてとのことですので、実際に体験してもらいながら「アウディが女性を惹きつける魅力」を探ろうと思った次第です。ちなみに唯さんのアウディに対するイメージは「実家の近所にアウディのセダンに乗っている方がいらっしゃるのですが、その方が渋い人で。だから渋い男性に似合うクルマという」とのこと。つまり渋いオトナのブランドという印象のようです。

アウディTT RS(写真はキャラミグリーン仕上げ)

アウディTT RSのフロントマスク

アウディTT RSのサイドビュー

アウディTT RSのリアビュー

 ですが、今回ご用意したのは渋さとは無縁の色鮮やかなキャラミグリーンに彩られたTT RS。「なんかすごい色ですね……」と言葉を詰まらせる唯さん。「でも凄くカッコイイ!」と見た目は気に入ったようです。ちなみに彼女の愛車はND型ロードスターなのですが、選んだ理由は釣り目のヘッドライトとエッジの効いたデザインだったのだとか。ですからTT RSのデザインは、彼女のツボをグリグリと刺激したようです。

TT RSのみリアにウイングが装着される

「やっぱりスポーツカーにはウイングが必要!」と唯さん

 さらに唯さんのツボを刺激したのが「後ろに羽根がある! やっぱり羽根があるクルマってカッコイイ」とリアウイングにときめき。「彼氏に乗って欲しくないクルマ」という記事で、羽根のついたクルマを挙げられることが多いですが、唯さんには当てはまらないようです。ならばと、同じく釣り目で羽根を付けた不肖のS660はどうよ!? と尋ねたのですが、こちらについては「うーん……」とイマイチな反応。どうやらクルマ云々より、乗り手に問題があるようです。

2007年に登場した特別仕様車アウディ TT ロードスターエクスクルーシブ by ユナイテッドアローズ

 そんなアウディTTですが、初代のデビューは1998年のこと。当時としては先進性を感じるエクステリアと高品位なインテリアで、一躍人気モデルとなりました。その後TTは2006年に2代目、2015年に現行の3代目へとチェンジ。2019年にマイナーチェンジを実施するものの、現行アウディラインアップでは最も設計の古いモデルで、冒頭に記した2026年以降の新車全EV化を考えると、今から新型TTを出すことは考えづらく、おそらくこのモデルが最後のガソリン仕様のTTになることでしょう。

アウディといえば「直5エンジン+クアトロ」

 そんなTTのラインアップの中で、TT RSは最も高額で、最もアウディらしいモデルと言えます。というのも、駆動系にクワトロ機構と、最高出力400馬力を発する2.5L直列5気筒TFSI直噴ターボエンジンを採用しているから。「それが何でアウディらしいの?」という事をご紹介しましょう。

アウディ・クワトロ

スキーのジャンプ台を登坂するクワトロ

 アウディは、1980年に世界で初めてフルタイム4WDシステム「クワトロ」を乗用車に組み込みました。当時は4WDといえば悪路走破の目的でパートタイム式を採用するのが一般的で、いかなる路面でもハイパワーを確実に路面に伝える目的でセンターデフを内蔵したフルタイム式の「クワトロ」システムは画期的な機構でした。このクワトロシステムを初めて搭載した2ドアクーペが、これまた「クワトロ」と名付けられたクルマ。混同を避けるため一般的には「Ur-クワトロ」とも呼ばれているのですが、この「Ur-クワトロ」に搭載したエンジンが、2144cc SOHC10バルブの直列5気筒ターボエンジンだったのです。スキーのジャンプ台をクルマが登坂するCMを見た事がある方も多いのではないでしょうか?

WRCに参戦し、圧倒的な強さを発揮したクワトロ

 アウディは「Ur-クワトロ」をベースとしたマシンで、1981年から世界ラリー選手権(WRC)に参戦。初戦のモンテカルロ・ラリーはリタイアに終わるものの、6本のSSで2位以下に6分以上の大差をつける圧倒的なパフォーマンスで第2戦のスウェディッシュ・ラリーで初優勝。第8戦サンレモ・ラリーではミシェル・ムートンが女性初のWRC優勝者になるなど、輝かしい戦歴を残しました。

 こうして「Ur-クワトロ」は、1982年と1984年のWRCマニュファクチャラーズタイトルとドライバーズタイトルを獲得、アウディの名を広く世に知らしめることに成功しました。ゆえに、直列5気筒エンジンとクワトロシステムのパッケージングが、もっともアウディ濃度が高い、といえるのです。特に直列5気筒は、かつてHondaやボルボ、そしてフォードから登場していましたが、現在はアウディのRSモデルのみが搭載するレアなユニットです。

直列5気筒エンジンを見る新 唯さん

RSグレードの一部に搭載する直5ユニット(写真はオプションのカーボンエンジンカバー/10万円を装着した状態)

 人は、年を重ねると若い人に自分の知識や昔の話を披露したくなるもの。これを老害と呼ぶのですが、筆者もそういう年齢に達したようです。現車を目の前にした途端、つい唯さんに上記内容の説法をしてしまいました。ですが唯さんは「へー、すごいんですねー」と馬耳東風。会社の歴史やブランドの解説よりも、早く運転させろという表情です。ということで、早速コクピットに座ってもらいましょう。

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