メルセデス・ベンツのフラッグシップとなるSクラスがフルモデルチェンジし、今年1月28日より発売となりました。今回は、なぜSクラスが高級車として世界に認められているのかを、新型モデルの試乗を通して考えてみたいと思います。
なぜメルセデス・ベンツは高級車の代名詞なのか?
誰もがメルセデス・ベンツの名を聞けば、それが“高級車”であると思うはず。特にSクラスは、メルセデス・ベンツの擁する数ある車種の中のフラッグシップとされているセダンです。実際のところ、メルセデス・マイバッハやロールスロイスのようにSクラスよりも何倍も高額で上級とされるクルマも存在しますが、販売数ではSクラスが圧倒しています。量販される高級セダンはSクラスのような1000万円台が主流となっているからです。ライバルにはBMW 7シリーズやアウディ A8、レクサス LSが挙げられます。しかし、そんなライバルがいても、やはりSクラスの名声は別格でしょう。筆者としては「誰もが知る量販高級車として世界ナンバー1」だと考えています。
ではなぜSクラスは、そんな世界ナンバー1の高級車という名声を得られたのか。その理由はいくつも考えられます。
まず、メルセデス・ベンツというブランド自体のステータスの高さがあります。メルセデス・ベンツは、1886年にガソリン自動車を発明した老舗中の老舗メーカーであり、世界屈指の技術先進国であるドイツのトップ・ブランドです。また創業以来、常に高級ブランドであり続けている稀有な存在です。大衆車から始まり、徐々に上昇していったのではなく、最初から高級ブランドだったのです。当然、いつの時代も高級車として認められる、性能や品質、デザインなどを持ち続けていました。
レースなどのモータースポーツの世界でも大活躍しています。ご存知の方も多いように、現在のF1でメルセデス・ベンツは有力チームのひとつに君臨しています。
Sクラスは、どういう存在なのか?
世界屈指の高級車ブランドとなるメルセデス・ベンツ。この高い土台のトップに据えられるのが、フラッグシップとなるSクラスです。まさに歴史と伝統を誇る高級車の中の高級車と言う存在です。品物の内容を吟味する前から、“ブランドの信頼”という大きなアドバンテージがSクラスには備わっているのです。これがライバルを圧倒する知名度の高さや名声の大きな理由のひとつとなります。
また、Sクラス自体にも長い販売の歴史があり、その歴史が積み上げてきた信用も名声の裏付けとなります。Sクラスの名前が使われるようになったのは1972年からですが、メルセデス・ベンツは古くから大きく高級なセダンを販売していました。第二次世界大戦前に販売されていたグローサー・メルセデスは、日本の皇室をはじめ、世界各国の王侯貴族に愛用されており、そうした大型&高級セダンの歴史もSクラスの名声の元となっています。
新型Sクラスの特徴とは?
このたびの新型Sクラスは、8年ぶりのフルモデルチェンジで、ボディーが若干大きくなり、パワートレインとデザインが一新されています。ボディーは、スタンダードとロングボディーの2種があり、スタンダードが全長5180×全幅1920×全高1505㎜、ロングボディーは全長が110㎜伸びた5290㎜。先代よりも全長で55㎜、全幅で20㎜、全高で10㎜のサイズアップとなります。ロングボディーの全長の拡大は、ホイールベースの拡大と同じ。つまり、後席の足元が110㎜ほど広くなっていることを意味します。
エクステリア・デザインは「官能的純粋(センシュアル・ピュリティ)」というコンセプトに則ったもの。プレスラインではなく面構成の変化で陰影を生み出しており、シンプルでありながらも強い存在感を感じさせます。ヘッドライトが上下に薄くなっており、個人的には威圧感というよりも“上品でエレガントだなあ”という印象です。
室内で目を引くのは、大きな2つのディスプレーです。ドライバーの前に12.3インチのメーター用のディスプレー。センター部分には縦型の12.8インチの有機ELディスプレーが設置されています。これは、最近のメルセデス・ベンツの全車が採用しているMBUX (メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)と呼ぶ対話型インフォテイメントシステムの一部となるもの。これまで通りに、「ハイ! メルセデス」との声かけで起動して、カーナビやエアコン、照明操作などを声で行なうことができます。
また、手のジェスチャーを読み取る「MBUXインテリア・アシスタント」も用意されました。Vサインのような決められた手のジェスチャーをモニターの前ですることで、サンシェードの開閉やリーディングライトの点滅などを作動させることができます。また、カーナビの案内をフロントウインドウ上に表示させるAR(拡張現実)ナビを世界初採用しました。さらに後席にも左右それぞれに11.6インチのディスプレーが備えられ、前席と後席左右で別々のエンターテイメントを楽しむことが可能となっています。また、後席用のタブレットも左右席の間に用意されています。
パワートレインのトピックは、V型エンジンではなく、3リッターの直列6気筒エンジンを基本としたことが挙げられます。最高出力330馬力・最大トルク700Nmのクリーンディーゼルと、最高出力435馬力・最大トルク520Nmのガソリン・エンジンの2種類が発売されています。ガソリン・エンジンには48Vマイルドハイブリッドを採用。ただし、回生とアシストを行なうモーターが最高出力22馬力・最大トルク250Nmと、非常にパワフルなのが特徴です。
駆動方式は、すべて4輪駆動。しかも後輪もステアする4輪操舵システムまで採用されています。約60㎞/h以下では、後輪を前輪とは逆方向に最大4.5度ステアすることで、小回りが利くようになります。約60㎞/h以上では、後輪を前輪と同じ方向にステアさせることで、安定性がアップします。これも新型Sクラスの特徴となります。
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