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あのクルマに乗りたい! 話題のクルマ試乗レポ 第85回

GRヤリスの最上位「GRヤリス RZ High Performance」は一般道を走れるレースカーだ!

2021年02月20日 12時00分更新

文● 栗原祥光(@yosh_kurihara) 編集●ASCII

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トヨタ/GRヤリス RZ High Performance(456万円)

 「こんなクルマ売っちゃダメだって。反則だよ」。これがGRヤリスの最上位グレードである「GRヤリス RZ High Performance」に触れた最初の印象。名前にGRではなく「ヤリス」の後ろに「ギ」とつけるべき! と心底思うトヨタのホンキグルマの試乗がかないましたので、ご報告したいと思います。

ラリーで得たものをふんだんに投入したヤリス

多くの観客の前でデモランを行なうヤリスWRC(オートサロン2019の会場で撮影)

 トヨタがWRC(FIA世界ラリー選手権)に復帰したのは2017年のこと。ヤリスWRCは破竹の快進撃をみせ、これまでWRCで17勝と322回のステージ優勝を獲得。2018年にトヨタとしては19年ぶりとなるマニュファクチャラーズタイトルをもたらしました。

 トヨタが「道が人を鍛え、クルマを鍛える」という信念を胸に、世界中の様々なモータースポーツに参戦しているのは、皆さまご存じのとおり。ですが、実際に販売されているクルマを見ると、パッと見、どこにレースで得た知見があったのかなぁ? とも。ですがGRヤリスは違います。というのも、生まれがWRC参戦のためのホモロゲーションモデルだから。WRCは市販車をベースにした車両で争われるのですが、レギュレーションによってチューニングの範囲は厳密に決められており、ベース車からあまりにかけ離れた改造をすることができないのです。そのため、最初からある程度のスペックを持ったモデルを市販車として販売し、それをベースに競技車両を作る必要があります。よってGRヤリスのように専用のボディーやエンジン、駆動システムなどを最初から搭載したスペシャルモデルが登場したのです。

GRヤリス RZ High Performanceのフロントビュー

GRヤリス RZ High Performanceのサイドビュー

GRヤリス RZ High Performanceのリアビュー。マフラーは2本出しだ

GRヤリス RZ High Performanceに搭載する1.6リットル直列3気筒エンジン

リアゲートも設けられたGR-FOURのエンブレム。これが四輪駆動の証だ

天井はカーボン製だ

 一見、ヤリスの3ドア版に見えなくもないGRヤリス。ですが中身はヤリスとはまったくの別物で、前後のトレッドを広げ、ルーフをカーボン化しただけでなく、各部をアルミ化して軽量化した専用の3ドアボディーに、最高出力272PS/最大トルク370N・mの1.6リッター直列3気筒ターボを搭載。トランスミッションは6段MTのみで、AT設定はナシという潔さ。さらに電子制御式多板クラッチを用いたアクティブトルクスプリット方式を採用して4WD化しています。これをヤリスとは別のラインで生産しているというのだから驚き。生まれも育ちもヤリスとは別物もいいところで、「ヤリスとは違うのだよ、ヤリスとは」という言葉が頭に浮かびます。

フロントタイヤ。BBSホイールの奥にスリットローターと赤いGRエンブレム入り4ポットキャリパーが顔を覗かせる

リアタイヤ。ミシュラン製でサイズは225/45R18。ちなみにリアキャリパーは2ポットだ

リアラゲッジに設けられたバッテリーとインタークーラースプレー用ウォータータンク

 試乗車のGRヤリス RZ High Performanceは、無印のRZグレードと比べると、前後のアクスルに差動制限装置たるトルセンLSDが入り、サスペンションには専用チューンが施されています。さらにアルミホイールはENKEIの鋳造からBBSの鍛造に、装着タイヤも225/45R18のサイズこそ同じものの、ダンロップ SP SPORT MAXX050からミシュラン パイロットスポーツ4 Sに変更されています。外観上の違いは、このホイールとタイヤのみ。中身は、空冷式インタークーラーに冷却用スプレーが取り付けられ、過酷な走りをしたとき熱対策として冷却水を噴霧して吸気温度を下げることが可能なのです! リアラゲッジにはインタークーラースプレー用のウォータータンクが設けられています。

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