RX-8で採用されていた観音開きが
まさかの復活!
「自由な発想」は、後席のフリースタイルドアに現れています。いわゆる観音開きで、マツダですと過去にRX-8で採用されていました。フロントドアを開けないとリアドアが開閉できない点もRX-8と同じなのですが、Bピラーがないメリットは魅力的。たとえば後席に取り付けたチャイルドシートやベビーシートに子供を乗せるのもラクラクですし、お年寄りなどが座る際も、サイドシルが低めであるためか、乗降がラクなように感じました。後席はボディーサイズから考えると、足元が広々で快適。ラウンジソファーに座ったような感を受けます。
ドアを閉めて側面を眺めると、どこか2ドアクーペのようなスタイリング。いわゆる都市型SUVの印象を与えます。黒いフェンダーを取り付けるあたりも、SUVらしさを強めています。Dピラーとボディーの境界部にサテンクローム調のブランドネームプレートを配しているのもオシャレです。
リアがここまでスラントすると、荷物が載らないのでは? と心配になりますが、これが驚きの容量。機内持ち込みサイズのスーツケースが4個積める荷室容量が確保されています。さらにフロアー下には小物の収納に便利なサブトランクも備えられています。特筆すべきは、地上から開口部下端の高さが絶妙なこと。SUVは最低地上高の高さゆえ、荷物をかなり持ち上げなければならない場合が多いですが、MX-30では、重たい荷物もラクに積み込みができる配慮がなされています。もちろん後席を倒せば、より容量がアップ。しかも段差が少ないため使い勝手はかなり高いものに仕上がっています。
Car of Artをテーマにした
美しい曲面のデザイン
近年のマツダ車といえば「魂動 - SOUL OF MOTION」というデザインテーマがおなじみ。2019年発売のMAZDA 3から、芸術性と表現に広がりを持たせる「Car of Art」をテーマとするフェーズ2へと移行しています。この表現の広がりが、MX-30には強く表れています。というのも、マツダ車といえば大きなフロントグリル「シグネチャーウイング」が特徴的なのですが、それがありません。ですが、シリンダー形状の奥行きあるヘッドライトや掘り込みの深いボディーラインは、一目でマツダ車とわかるもの。チーフデザイナーの松田さんは、特にリアのデザインがお気に入りとのことでした。
ボディカラーは、ソウルレッドクリスタルメタリック、ポリメタルグレーメタリック、セラミックメタリックの3色に、キャビンやフリースタイルドアを際立たせる3トーンを設定。2トーンは近年よく見かけますが、3トーンはなかなかないのではないでしょうか。そのほか、ルーフまで同色とした4色を加えて、全7色展開としています。
主査を務めた竹内さんは「今までにないコンセプトということもあり、完成までに4年以上の月日がかかりました。他のクルマよりも長いのではないでしょうか? それゆえ、新たな100年に向けた第1弾となってしまいました。もともとそのような計画はなかったのですが」と、完成したクルマを見ながら笑顔。物静かで理論的な印象を受ける松田さんも「今までにない新しいアプローチにより、魂動デザインの新しい方向性、広がりができたのかなと思います。クルマとともにある生活を通して、自然体の自分が発見できると思います。クルマの新たな価値を気づかせてくれるような存在になれればいいですね」と自信を見せました。
近年、新型車はセンターに縦位置で大画面タッチパネルディスプレイを取り付けるのがトレンドになっています。ですが、MX-30では従来同様の7インチ横位置ディスプレイを採用しています。これについて松田さんにお話を聞くと「ナビを凝視しながら運転をするわけではありませんから(笑)」とのこと。ロードスターを始めとして、他のマツダ車に共通する使い勝手を継承しながら、新しい価値の創造がMX-30にはあることを強く感じた次第です。
ちなみに、MX-30でどこに行きたいですか? と尋ねたところ、スポーツカーが好きという竹内さんは「ワインディングロードを走って、山頂の駐車場でドアを全開にしたいです」、松田さんは「むしろ普段走っている通勤路を、このクルマの車内から見てみたい。注文しているので、今から楽しみにしています」と、やや対象的なお答え。お話を聞くにつれ、先行する竹内さんに対し、物静かな松田さんがフォローするという、どこか夫婦漫才にも似た見事なコンビ。対象的な二人がリーダーだったからこそ、新しいコンセプトの絶妙なクルマが誕生したように思いました。
残念ながら、取材時点では公道走行が不可。ASCII.jpではナンバーを取得した広報車の用意ができ次第、走りの面を含めたより詳細なレポートをお届けしたいと思います。マツダが提案する新しい価値、ぜひディーラーでチェックしてはいかがでしょう。
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