伝統のEyeSightらしい安心感ある走り
プロトタイプの試乗はクローズドのテストコースの周回路からスタートした。まずは新たに加わった運転支援機能「EyeSight X」を試す。ステアリングにあるスイッチで走行速度と前走車との距離をセットし、その後、スイッチ類の右下にある「EyeSight X」スイッチを押す。すると前走車に追従しつつ、走行レーン内をキープしながら走る。前走車が速度を落として、時速50㎞以下になると、メーター内の表示がグリーンからブルーに。ブルー表示になるとハンズオフがOKとなるのだ。
ステア・バイ・ワイヤのスカイラインはタイヤと操舵系が分離されているため、ステアリングが微動だにしなかったが、新型レヴォーグは普通にぴくぴくとステアリングを動かしながら走る。テストコースの大きなRであれば、なんの不安もなく追従していったのだ。
ちなみに、ドライバーの顔をシステムがモニタリングしているため、顔を横に向けるなどするとハンドル操作をうながす表示が出る。そのまま、よそ見を続けると、今度はドライバーの異常と判断され、クルマが自動で停止する。停止に至るまでのクルマの動きは、非常に滑らかかつ穏やかであった。
すでに実績を積んできたEyeSightの機能を土台としているためか、運転支援によるクルマの動きに不安を感じることはほとんどなかった。これならば長距離のドライブでの疲労軽減は大いに期待できる。ただし、こういう機能はリアルな公道で試さないと、真価が確かめられないもの。早く、公道で長時間試してみたいものだ。
コントロールよくスポーティーな走り
続いて行なったのが広いエリアに作られたパイロンコースの走行だ。加速、減速、レーンチェンジとスラロームなどを試す。ここでは旧型モデルも用意され、乗り比べができた。すぐにわかるのは、1.6リッターから1.8リッターへと拡大したエンジンによるパワフルさだ。新型は同じようなアクセル操作でも、リニアトロニックならではのスムーズさはそのままに、スピードのノリが明らかによい。しかも、ブレーキのフィーリングも良くなっている。ハイブリッド車やEVなどに採用される電動ブレーキブースターは初期の応答が良いというメリットがある。聞けば第一の目的として自動ブレーキの反応を高めるための電動ブレーキブースターの採用だったというが、普通のブレーキングでも電動化の利点が感じられた。初期の微妙な応答がよく、コントロールしやすいのだ。
また、高められたボディー剛性とコストのかかったサスペンションの働きも見事なものであった。コーナーリングでは4輪がしっかりと路面をつかむ安心感がある。良いなと思ったのは、ガチガチに足を硬めたスポーツカー的な走りではなく、しなやかで乗り心地が悪くなく狙ったラインを走れるというところ。スポーツではなく、スポーティな走りなのだ。これならば家族も喜んで一緒に乗ってくれることだろう。
ちなみに可変のダンパーなどによる走行モードの変化の差は、期待ほど大きくなかった。フラットでグリップのよい、きれいな路面というのが差をわかりにくくした理由だろう。こちらも、公道で走れば判明できるはず。やはり、公道での試乗を楽しみにしたい。
わずかな時間ではあったがプロトタイプの試乗を通して感じたのは、レヴォーグがスバルの渾身の作品であるということ。進化の歩みを止めないスバルの生真面目さも感じることができた試乗となった。
筆者紹介:鈴木ケンイチ
1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。
最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)。
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