6気筒と4気筒、それぞれに大きな魅力がある
日本で発売されるGRスープラは3グレードだ。最高出力340馬力/最大トルク500Nmの3リッター直列6気筒ツイン・スクロールターボを搭載する「RZ」(690万円)、最高出力258馬力/最大トルク400Nmの2リッター4気筒ツイン・スクロールターボを積む「SZ-R」(590万円)、最高出力197馬力/最大トルク320Nmの2リッター4気筒ツイン・スクロールターボの「SZ」(490万円)となる。690万円、590万円、490万円と100万円ずつ値段が違う。このうちアクティブデフは、上級と中位の「RZ」と「SZ-R」に採用されており、エントリーの「SZ」はオープンデフとなる。
最初に試乗したのは6気筒の「RZ」だ。コースは、伊豆の狭いワインディング。道も荒れている。まず、感心したのはステアリングの手ごたえであった。ねっとりしていて、それでいて正確。もっと価格帯の上のスポーツカーのよう。また、クルマが小さく感じる。そして、乗り心地がいい。荒れた路面でも飛び跳ねない。しっかりと4輪が路面をつかむ感覚があるので、安心感がある。
そうした安心感の上に光ったのが、直列6気筒エンジンのフィーリングの良さであった。スムーズでありながら、低回転から非常に力強い。1500回転も回れば、最大トルクの500Nmが発揮される。車重は1520㎏なのだから、とんでもない速さだ。そして、澄んだエンジン・サウンドも秀逸。スポーツモードにすれば、バババ! というアフターファイヤーも。スポーツカーを操る楽しさに、思わず口元も緩む。また、Uターンするようなきついコーナーでは、驚くほどの俊敏さを見せてくれた。一方、緩い高速コーナーでのトラクションの良さも素晴らしい。これがアクティブデフの威力なのだろう。
続いて、4気筒の「SZ-R」へ。エンジン・サウンドが図太い。これも悪くないと思う。ダッシュ力や高回転の伸びは、6気筒に及ばないけれど、それでも国内のワインディングでは十分以上の速さだ。また、鼻先が軽いということで、コーナリングはさらに軽快。6気筒にこだわるのでなければ、これも十分に魅力的だと思う。
最後は、197馬力の「SZ」。オープンデフということで、コーナリングでは、いち早くタイヤのスキール音が発生する。しかし、不安定かというと、そんなことはなかった。正直、タイヤのグリップの限界内で走っていれば、ほとんど不安はなかったのだ。確かに、時速200km以上を出すような超高速走行や、サーキットといった厳しい状況では、アクティブデフが必須となるのだろう。しかし、公道を普通に走るだけであれば、オープンデフであっても、何ら問題はない。逆に、全体として素直な動きに好感が持てた。
【まとめ】世界のスポーツカー市場が盛り上がるのは間違いない
どちらにせよGRスープラは、本格スポーツカーだ。この後、さまざまなチューニング・アイテムが登場することだろう。「アクティブデフのフィールが気に入らない」「オープンデフではつまらない」という人は、機械式のLSDに交換すればいいというわけだ。
GRスープラを走らせてみれば、6気筒エンジンの気持ち良さと、4気筒エンジン車の軽快さ、どちらも非常に魅力的であった。490~690万円は、けっして安くはないが、その内容と性能を考えると、欧州スーパースポーツと比べて相当にお手頃価格だと思う。世界的なヒットも間違いないだろう。86に続き、GRスープラと、徐々にトヨタにスポーツカーが戻ってきている。スポーツカー好きとしては、もろ手を挙げて歓迎するばかりだ。
筆者紹介:鈴木ケンイチ
1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。
最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)。
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります
この連載の記事
- 第677回
自動車
「ついに911、お前もか…」伝統の変化を嘆く前に乗るべき、約2000万円の超ピュアな「カレラT」 - 第676回
自動車
メーカーチューンの理想形! 2L化した特別ロードスター「12R」が魅せる至高の人馬一体 - 第675回
自動車
街乗りは不便でも悪路走破性は最強! ファミリーカー目線で斬る「ジムニー ノマド」のリアルな実力 - 第674回
自動車
軽自動車なのにフラッグシップ級の充実度! 三菱・新型デリカミニの最新コネクテッド機能を徹底検証 - 第673回
自動車
【予算30万円台】車中泊もこなす神コスパ! 日産「ウイングロード」の中古を推したい3つの理由 - 第672回
自動車
さらばA110。プロが自腹買いする名車。最後の過激な限定車「アルピーヌ A110 R 70」の魔力 - 第671回
自動車
15年前のクルマと侮るなかれ! 燃費22.5km/Lの実力派、2代目ソリオを再評価する - 第670回
自動車
e-4ORCEでついに完成形へ! 35周年の日産のミニバン「セレナ」が選ばれ続ける理由 - 第669回
自動車
椅子が外れて広大な荷室に!? ルノー「グランカングー」は国産ミニバンとココが違う - 第668回
自動車
「NSXでキャンプ」は実在した!? テールゲートに荷物を詰め込むスーパーカー・アウトドアの衝撃
