“老舗”の学研とベンチャー、互いのリソースを融合してイノベーションを
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大手企業によるスタートアップ企業への支援が加速している。直接的な投資や協業だけでなく、ピッチイベントの開催、イベントへの協賛、インキュベーションプログラム、アクセラレータープログラムの実施など。大手企業は何を狙い、スタートアップ企業へと近づくのか。
学研ホールディングス 第1回(全4回)
教育事業と出版事業を中心にビジネス展開する学研グループを統括する学研ホールディングス。同社は2015年よりスタートアップ支援プラグラムとして“学研アクセラレーター”を実施している。国内屈指の教育出版社として長年の歴史を有する同社がスタートアップ支援に乗り出した背景とは、そしてこれから何を生み出そうとしているのか。今回から4回にわたりキーパーソンに訊いたお話しをお届けする。前半に登場するのは、学研教育アイ・シー・ティーの北居誠也代表取締役社長だ。
ベンチャー企業のリソースを活かし複数の新規事業を立ち上げていく
スタートアップ支援プログラム“学研アクセラレーター2015”は、“教育”をキーワードに社外のベンチャー企業5社との共創プログラムを実施したもの。そのうち4社に対しては2015年6月に出資済みで、すでに事業提携が始まっている企業もある。
もともとは2014年6月に学研ホールディングスの教育ICT事業室内で新規事業の創出として企画が立ち上がった。当時同室に所属していた北居氏は、学研グループがベンチャー企業と連携して新事業を立ち上げようとする理由をこう語る。
「教育改革とグローバル対応が教育界のキーワードとなるなか、ICTを活用して新規事業とイノベーションを実現せねばというのはグループ全体の問題意識としてある。とはいえ、これまでに蓄積されたリソースを活かした事業であれば当社だけでも可能だが、まったく新しい事業となるとなかなか難しいというのが現実だ。そこでアクセラレーターという手法を採用することとなった」(北居氏)
学研グループでは出てこないような発想を得ることやスピーディーな事業の立ち上げもまた、学研アクセラレーターの大きな狙いとしてある。後者については組織の規模が大きくなるとどうしても事業の構築に時間とコストを要してしまうからだ。
「(共創活動は)複数の新規事業を一気に立ち上げることのできるアプローチだと捉えている。それぞれの企業のリソースと当社のリソースをうまく組み合わせるというのがポイントだ」(北居氏)
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