大手企業によるスタートアップ企業への支援が加速している。直接的な投資や協業だけでなく、ピッチイベントの開催、イベントへの協賛、インキュベーションプログラム、アクセラレータープログラムの実施など。大手企業は何を狙い、スタートアップ企業へと近づくのか。
住友不動産 最終回(全4回)
これまでは住友不動産の行なう“SHINJUKU SUMMIT(新宿サミット)”の趣旨や、大手不動産会社としてスタートアップ支援に乗り出した背景などを紹介したきた。
最終回の今回は、住友不動産ビル営業部の井上英賢氏に今後の方向性などについて訊いた。
積極的な協賛イベントへの参加
井上氏は、今後のスタートアップ支援の方針として、「これまでもベンチャー企業向けイベントへの協賛などを行なってきましたが、これからはさらに積極的にそうした社外のスタートアップ支援活動にも参画して、より幅広い方々と交流を深めていきたいですね」と話す。
住友不動産がこれまで、いくつものベンチャー、スタートアップイベントで協賛実績を有する。大企業とベンチャーのマッチングイベント“B DASH CAMP”や、フィンランドの世界最大級のスタートアップイベントのアジア開催版“SLUSH ASIA”、世界規模のスタートアップメディアの日本支部のイベント“Tech Crunch Tokyo”、アジア最大級のスタートアップメディアのイベント“Tech in Asia Tokyo”、新経済連盟による“新経済サミット”などが挙げられる。
このうちアジア最大級の投資支援を目的とするサイバーエージェントベンチャーズの“RISING EXPO”では、ピッチ登壇ベンチャーのための“住友不動産賞”も設けている。過去には住友不動産のオフィスビルへの割安な入居特典などでベンチャーを支援していた。固定費の削減はスタートアップの初期にはあまりに大きな支援だ。
さらに2016年2月22日には、KDDIが実施しているスタートアップ支援活動“KDDI ∞ Labo”のイベントに参加し、ビジネスマッチング支援を行なっている。第9期オリジナルプログラムでは、学生ベンチャーでウェブ開発支援サービスを開発するRevode株式会社の“AppMotor”の支援にメンターとして井上氏が参加。
「タッチアンドトライを実施してKDDIさんがユーザーを用意してくれたので、当社としては学生のベンチャー起業家に弊社のクライアントを紹介して、彼らの商品の必要性や機能追加に関してヒアリングを行なってもらいました」(井上氏)

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