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再建JALのスタートアップ支援 起業家の“翼”になりたい

連載
大手に訊くスタートアップ支援の狙い

 大手企業によるスタートアップ企業への支援が加速している。直接的な投資や協業だけでなく、ピッチイベントの開催、イベントへの協賛、インキュベーションプログラム、アクセラレータープログラムの実施などなど。大手企業は何を狙い、スタートアップ企業へと近づくのか。

日本航空(JAL) 第1回(全4回)

 2010年に経営破綻し、公的な支援で再建した日本航空(JAL)。同社は2014年6月に“JALチャレンジ宣言”を発表し、その一環としてスタートアップ企業への支援を始めている。

 大手企業が、なぜスタートアップ企業の支援を行なうのか、そして、どのようなイノベーションを起こしていきたいのか。今回から4回にわたって、日本航空でスタートアップ支援のプロジェクトを担当している佐々木雄司氏に訊いたお話をお届けする。

スタートアップ支援プロジェクトを担当する日本航空コーポレートブランド推進部シチズンシップグループ 佐々木雄司氏

チャレンジする人の助けになりたい

 日本航空はスタートアップイベントへのスポンサー協力、数々のスタートアップへのプロジェクト協力などを行っている。日本環境設計とリサイクル支援プロジェクトの協力、月面調査を目指すHAKUTOとコーポレートパートナー契約を締結して、技術提供を行なう。(関連サイト:チャレンジJAL宣言

 日本航空のスタートアップ企業への支援は、ピッチイベントに参加するという形が多い。「アントレプレナー(起業家)の翼になりたい」というのが精神で、優秀者に特別なデザインのマイレージカードとマイレージの提供を行なっている。

「JALとしては経営再建の過程でご迷惑をおかけしたし、援助もしていただいた。その感謝の気持ちを持って同じようなチャレンジをする人たちの助けになりたい」と佐々木氏は語る。

 今後はイベントの協賛やマイルの提供だけにとどまらず、日本航空の事業と直接的につながりのあるアイディアの集まるイベントの実施なども行なっていきたいという。

アメリカ西海外往復ぶんのマイルを提供

 マイレージカードには特別な会員特典も用意されており、国内一部の空港ではラウンジが利用可能。そのほかピッチイベントでは、荷物に付けるタグとして使えるビーコンなども賞品として提供した経験もある。

一般のカードとはデザインが違う特別なカードを提供。

 賞金ではなくマイルでの提供というのが航空会社らしいが「賞金だとその場だけで終わってしまいますが、マイルならそれで日本航空のサービスを使ってもらえるので、イベント以降もつながりが持てる」とのこと。

 実際、提供されるマイルは“5万マイル”がひとつの目安。「5万マイルあると、弊社の路線を使ってアメリカの西海岸を往復できる」ため、シリコンバレーなどIT技術最先端の西海岸を視察などに活用しやすい。もちろんその際に「日本航空のサービスを利用いただくことで、航空事業に対しての新しいアイディアが生まれること」に期待しているという。

新たなアイディアが生まれるきっかけとして、実際に日本航空のサービスを利用してもらうのが狙い。

 日本航空としては、もちろんマイルの提供だけで終わるとは考えていない。日本航空にとってビジネスとなりそうなアイディアについては、将来的な協力関係の構築やさらなる協業や協力を考えている。

スタートアップのプレゼンイベントの出場者への商品にボーナスマイルを提供している。

 さらに、企業の大小も考えておらず、アイディアやチャレンジ精神にポイントを置いて、サポートする起業家を選んでいる。次回は日本航空とアントレプレナーとの具体的な活動内容について話を進めていく。

――第2回は2015年12月7日に掲載予定です。

佐々木雄司氏(1987年11月25日生まれ)、2010年4月に日本航空株式会社に入社。JALスカイ・成田事業所での航空業務、総務部CSRグループを経て、現在コーポレートブランド推進部シチズンシップグループに所属。スタートアップ支援事業や折り紙教室などの事務局なども担当する。

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