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クラウド時代を「Express5800/ECO CENTER」で乗り切れ! 第1回

単にAtomを載せただけじゃない!

データセンターを救うAtom搭載サーバーの秘密

2010年09月15日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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ラックあたり240台の高収容性を実現

ラックあたり240台の物理サーバーを搭載できる

 また省電力だけでなく、収容密度に関しても圧倒的なスペックを実現している。42Uラックに最大240台というサーバーを収納でき、約70%の省スペース化を実現したのだ。

 現状、データセンターにおいてラックにサーバーをフル実装しているところは決して多くない。NECがデータセンター事業者各社を回り、現場の声を聞いたところ、「全サーバーをきちんと冷却できない」、「供給できる電力量が足りない」、「フル実装した場合の荷重に床が耐えられない」、といったさまざまな理由が上がってきた。しかし、電力や床荷重の制限にあわせてサーバーを設置すると、収容効率は悪化し、フロアのコストも増大する。データセンター事業者において、実装密度はまさにビジネスに直結する課題といえるわけだ。

 これに対してNECは、ブレードサーバーなどで培った高密度実装技術などを活用し、3Uサイズの収納ユニットに20サーバー搭載可能というコンパクト設計を行ない、ラックあたり240台という収容効率を実現。電力面では240台搭載で60Aにまで抑え、40Aでも160台まで搭載可能にした。さらに耐荷重に関しては、240台搭載でも630kg、一般的な500kg/㎡の耐荷重環境でも160台まで搭載できるという。

 こうした省電力化、省スペース化により、従来機に比較して電力費は約5分の1、ラックが3本から1本に削減される。これにより、年間で約1000万円のコスト削減が実現すると同社は試算している。このコスト削減効果は、どの事業者にとっても無視できない数字に違いない。

NECによる電力/フロアコストの削減効果試算では、年間で約1000万円の削減効果が得られるという

EXPRESSSCOPEエンジン2で運用管理も効率的

 さて、省電力化・省スペース化といった特徴のほか、Express5800/E110b-Mで特筆すべきなのはサーバー管理用チップである「EXPRESSSCOPEエンジン2」を標準搭載している点だ。

 サーバー管理用チップはOSに依存しないで、リモートのサーバー監視/制御を可能にするもの。電子メールやSNMPを経由して、障害の発生をいち早く知ることができるほか、障害の起こったサーバーに対してWebブラウザから直接アクセスし、リモートKVM(要オプション)からサーバー画面(POST、BIOS設定、OS)を表示させ、操作することが可能だ。また、サーバーのログを確認したり、OSの再インストールを実行したり、該当のユニットのLEDを点灯・消灯させて、現場の作業員に対象装置を知らせたり、といった操作をすべてリモートから行なえる。

リモートからサーバーの管理を一元的に行なえる

 こうした管理機能の充実は、いわゆるホワイトボックス系のサーバーに対する大きなアドバンテージとなっている。確かにAtomプロセッサーを採用したホワイトボックス系のサーバーを自前で調達するデータセンター事業者もあるが、ハードウェアでの管理機能を実現するのは難しい。また、「データセンター事業者様のなかには自前の運用管理ツールを用いているところも多いので、コマンドラインのツールも用意しています」(鈴木氏)とのことで、すでにある運用管理体制に取り込みやすいのも大きな特徴といえるだろう。

データセンター事業者のニーズを汲みあげて作った

 こうした優れた特徴を持つExpress5800/E110b-Mの設計コンセプトを、鈴木氏は「電力や冷却のコストで課題を抱えていらっしゃるデータセンター事業者のニーズを汲み上げて作りました」と語る。省電力、省スペース、管理性など、データセンターのトレンドをがっちり鷲づかみにしている製品というわけだ。実機は東京秋葉原にある店舗型ショールーム「クラサバ市場」でも見ることができる。

秋葉原のクラサバ市場で展示されている「Express5800/E110b-M」

共有電源ユニットのEco Power Gateway(上段)と4つの冷却ファンを搭載するエンクロージャー(下段)の背面

エンクロージャーの前面からサーバーモジュールを挿入するという作りになっている

電源ユニットも大幅に小型化。EcoPowerGatewayに4台挿入できる

 次回は、さっそくデータセンター事業者の生の声とExpress5800/E110b-Mへの期待を聞いてみたいと思う。

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