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情シス高橋、 NECサーバー+Hyper-Vに行き着く 第1回

サーバー統合&リプレースプロジェクトに異状あり!

仮想化、省エネ、災害対策まで!サーバー選びは課題満載

2012年06月26日 11時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp イラスト●野崎昌子 
記事協力●NEC

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サーバーの保守切れ・陳腐化に対応すべく、サーバー統合&リプレースプロジェクトを担当するAMW社の情シス高橋は、仮想化によるサーバー集約を目論んでいる。そんな中、震災の影響でサーバーのリプレースにおいては省エネや災害対策まできちんと検討しなければならなくなった。

*本記事の内容はあくまでフィクションで、登場人物や会社名などは実際のものではありません。

社内に散在したサーバーを仮想化で集約したい!

 ライトノベルやゲーム誌を得意とする出版社のAMW社は、600名程度の従業員を抱える中小企業。1990年代は業務のIT依存度も低く、拠点数も多くなかったため、情報システムは総務部が「片手間」でやっていたような状態であった。しかし、PCやブロードバンドの普及、コンテンツのデジタル化、Webを中心とした商流の変化などが急速に進み、近年はさらに電子出版やスマートフォンアプリにも対応する必要が出てきた。こうしたことから、AMWは2005年頃に総務部から独立する形で情報システム部を設立し、ITに明るい人材を新たに雇用。遅ればせながら、社内のITシステム整備に乗り出した。情報システム部でインフラ関連を担っている高橋も、情シス設立時に某SIerから転職してきた口だ。

 そんな情シス高橋が今進めているのが、「社内サーバー統合&リプレースプロジェクト」である。これは文字通り、社内に散在するサーバーを統合し、最新のサーバーに乗り換えようというものだ。高橋の目論見は、単に物理的にサーバーを集めるだけではなく、仮想化によって少数のサーバーに集約することである。

サーバー統合&リプレースプロジェクトでコストや管理負荷を下げ、新しいITに使いたい

 社内サーバーの統合は、情報システム部の悲願ともいえるかもしれない。情シス設立の遅かったAMW社は、基幹システム以外のコンピューターやサーバーなどを各部署が自前で運用していることが多い。情シスが管理を始めてそれなりの時間を経ている現在でも、半分近くの部署はサーバーを自前で抱えている。そして、トラブルのたびに、情報システム部に連絡が入り、対応を余儀なくされているのだ。管理対象外のスペックもわからないサーバーを障害から救い出すのは非常に手間がかかる。一方で、あるサーバー担当者に話を聞いたところ、各部でも好きで抱えているわけではなく、本当は情報システム部に任せたいという需要があるのがわかった。

 そして、こんな状況を解消すべく社内サーバーの統合プロジェクトを上司に打診しようと考えた矢先に起こったのが、2011年3月の東日本大震災である。東京に本社のあるAMWでは、幸い大きな被害はなく、物流の一部に影響が出ただけで済んだが、その後の計画停電の影響は大きかった。震災の後、各部の状況をまとめるために情シス主導で行なったヒアリングで、サーバー管理者の切実な声が次々と挙がったのだ。

情シス高橋:みなさん各部でサーバーを管理していますけど、運用管理や災害対策で、けっこう困っていると聞いてますが……。

担当者A:そうなんです! うちの部では、雑誌のコンテンツ管理のために3年前に部署で購入して設置を手伝ってたら、お前詳しそうだからと上司に言われて私が管理している状態です。普段はきちんと動いているのでいいんですけど、壊れたときにどうすればいいか正直わからないんです。あと、実はバックアップの取り方もよくわからなくて……。ウィークデイは止められないので、土日に出勤して、自分のPCにファイルをコピーしています。

情シス高橋:なるほど。それは大変だ。使っているのも、ずいぶん古い機種のようですね。Bさんもサーバー管理してますよね。

担当者B:はい。うちには営業関連の資料を置いておくファイルサーバーとグループウェアのサーバーがあるのですが、先日の計画停電の時は大変でした。結局、停電を避けるため、私が手動でサーバーの停止や立ち上げなければなかったんです。

情シス高橋:計画停電のスケジュールに振り回されたわけですね。

担当者B:でも、うちの部はまだきちんと動作しているからいいです。となりの製品開発課は、揺れの影響で実際にサーバーが壊れちゃったらしく、立ち上がらなかったらしいですから。開発中のソフトのデータが一部消失したということで、担当者は始末書出したみたいですよ。でも、どこも上司に言われて、渋々やっているんですけどね……。

各部署のサーバー管理者も実はけっこう困っていた

 こうしたヒアリングの結果、高橋の元には各部のサーバー担当者から「情報システム部でサーバーを預かってもらえないか」という打診が相次いだ。さらに経営会議においても、サーバーの安全な運用は大きな議題として挙がった。その結果、上司が2012年の計画の一部として提出した情シス高橋のサーバーリプレース&統合プロジェクトを迅速に進める必要が出てきたのだ。

(次ページ、省エネは必須!性能も使い勝手も変えるな!)


 

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