「ARIYA(アリア)にNISMOは必要なのか?」と思ったのは1年以上前のこと。電動SUVのハイパフォーマンス仕様という位置づけにピンと来なかったのです。ですがステアリングを握って猛反省。「アリアを買うならNISMOを選びたい」と強く思わせる魅力に溢れていました。
モータースポーツの名門が
電気自動車をカスタマイズ
日産自動車のモータースポーツ活動を担うNISMO(旧:日産モータースポーツインターナショナル、現:日産モータースポーツ&カスタマイズ)が誕生したのは今から40年以上前のこと。当時は、日本国内において自動車メーカーの1部門がモータースポーツに参戦するのが当たり前の時代。ですが世界は当時から、ルノーとルノー・スポール(現アルピーヌ)、メルセデス・ベンツとAMG、BMWとMと専業化していました。それらのメーカーは、モータースポーツ活動だけでなく、そこで得た知見を元にしたカスタムカーを開発・販売し人気を集めていたのです。
NISMOも1994年のS14 シルビアベースのコンプリートカー「NISMO 270R」を皮切りに、1996年のR33型スカイラインGT-Rベースの「400R」、R34型スカイラインGT-Rベースの「Z-tune」といった、コンプリートカスタムカーを企画・製造。ですがこれらはカタログモデルではありませんでした。
カタログモデルとして登場したのは2007年の「フェアレディZ Version NISMO」から。以後、「GT-R NISMO」をはじめ、さまざまなNISMOロードカーが誕生し、今に至ります。
メーカーを問わず、特別なエクステリアとインテリアでモディファイし、パワートレインや足回りを武装した「特別なバッジ」が付いた高付加価値車両は、メーカーにとっては利益率が大きいだけでなく、ユーザーにとっても所有感を充たす特別なクルマ。また、リセールバリューのあるクルマとしても人気を集めています。
このような高付加価値車は、クルマそのものは言うまでもなく、「ブランド」そのものも重要です。それは一朝一夕で得られるものではありません。モータースポーツでの活躍、そのサイドストーリー……。40年の歴史と数多くの金字塔を打ち立てたNISMOは、日本車の中でも屈指のブランドバリューがあるといえるかもしれません。
【日産アリア NISMOを選びたくなる理由 1】
華美ではなく機能美があるエクステリア
アリア NISMOもその例に漏れず、エクステリアには赤いラインの入った専用エアロで武装。誰が見ても「何かが違うゾ」というオーラが漂い、街で映えます。しかも、これらのエアロは「見た目」だけでなく、きちんと効果があるという実践パーツ。
機能美という言葉がピッタリなうえに、街中でもスタビリティ向上という恩恵が得られるのでは? 確かに乗り比べると高速道路でピタっとした安定感が得られている気がします。もっとも足回りもノーマルグレードとは異なるのですが……。
【日産アリアならNISMOを選びたくなる理由 2】
意識させるインテリア
パッと見た感じ、ノーマルのアリアと大きく変わらないインテリアですが、木目調パネルはブラックアッシュ仕上げとしたほか、赤いアクセントラインが入り、NISMOらしさを演出。残念ながらほかのNISMOロードカーにあるレカロシートの設定はないのですが、スウェードタイプのシートにはNISMOのロゴが入り存在感十分です。
そして、BOSEオプション装着車には「専用EVサウンド」が加わります。アクセルを踏むと高周波っぽい音、アクセルを抜くと減速時に低音が響くのですが、なぜか気分がアガるから面白い! このあたりはEVらしいですね。
ちなみに荷室も広く実用的。他のEV車で見かけるAC100Vアウトレットがないのは残念だけれど、バックドア開口部と床面がフラットなので荷物が入れやすいし、二重床になっているので、洗車用品などを置くのに便利そうです。
【日産アリアならNISMOを選びたくなる理由 3】
最高出力アップ! 四駆はよりFR寄りのバランスに
アリア NISMOは「B6 e-4ORCE」と「B9 e-4ORCE」の2タイプが用意されています。B6とB9の違いはバッテリー容量と最高出力で、B6の66kWh(約390km)に対してB9は91kWh(約520km)。モーターはノーマルのアリアと同じですが、インバーターの改良などによりB9の最高出力はノーマルに41PS上乗せの435PS。B6は27PSアップの367PSです。
さらに、コーナリング時にノーマルのアリアよりもフロントの駆動力配分を落とすセッティングへと変更。いわゆるFR的(後輪駆動)な動きで、クルマ好きなら絶対に楽しいと思えるハズ! また、EVのスポーツ系車両は、躊躇なく加速する印象が強いですが、アリア NISMOはそこまで爆発的な加速をみせないところも魅力。決してパワー不足というわけではなく、どこかガソリン車のようなチューニングでそのようにしているのでしょう。
つまり、生理的に違和感を覚えないクルマに仕上げられているというわけです。乗っていて気持ちのよい電動SUV、それがアリアNISMOです。
「アリアを買うならNISMOにしたい」「NISMOじゃなければダメなんだ」と心底思うのですが、「B6 e-4ORCE」と「B9 e-4ORCE」の価格はそれぞれ842万9300円と944万1300円とかなり高額。B9に至ってはオプションを含めると1000万円近い金額で、ここまでくると「アリア NISMOでなければ」という強い思いがないと、お金があってもハンコが押せないのが正直な気持ち。
クルマはとても良いのですから、NISMOと日産にはもっとブランドの価値を高めて、1000万円クラスでもハンコを押したくなるような自動車にしてほしいと思いました。
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