あのクルマに乗りたい! 話題のクルマ試乗レポ第444回

三菱「アウトランダー PHEV」の魅力を雪上を含めたロードテストで検証した

文●大音安弘 編集●ASCII

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三菱

白銀の世界にも力強いスタイルが良く映える三菱アウトランダーPHEV

エコなSUV「アウトランダー」の走行性能をテスト!

 日本で最も有名なプラグインハイブリッドカー(外部から充電でき、EVモードで走れる距離を伸ばしたハイブリッドカー)と言っても過言ではない、三菱「アウトランダー PHEV」は、アウトランダーとしては3代目となり、PHEVとしても2世代目に当たります。電動車の高い環境性能と外部給電機能、そしてSUVボディーによる使い勝手の良さから、エコなSUVとして高い人気を誇ります。

 しかし、それはアウトランダーの魅力の一面にしか過ぎません。今回は、SUVらしい走りに注目し、雪上性能を含めたロードテストを行ないました。

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先代比で全長15mm、全幅60mm、全高35mmのサイズアップとなったアウトランダー

 簡単に現行型アウトランダーを紹介すると、その歴史は2021年2月の海外仕様先行発表から始まりました。ただ同時点では、ガソリン車のみの設定でした。その後、PHEVが追加され、同年10月に日本でもフルモデルチェンジが発表されたのです。市場の特性も鑑みて、日本仕様はPHEVに限定されました。

日産「エクストレイル」と姉妹車だが
それぞれの個性を維持して独自性を出している

 新型の最大の特徴は、2代目で磨き上げたPHEVシステムに、日産・ルノー・三菱が共有する新世代プラットフォームが組み合わされたこと。これにより、日産エクストレイルと姉妹関係が生まれますが、プラットフォーム開発段階から、三菱車に必要な性能を盛り込んでいるうえ、内外装デザインやパワートレインなどの主要なメカニズムには、独自性が保たれており、それぞれのキャラクターを維持。むしろ、アウトランダーにとっては、莫大な資金が必要となる“プラットフォーム開発費”が押さえられたメリットが大きかったといえるでしょう。

 先代と比べ、ずいぶん大きくなったと感じるボディーサイズですが、実寸では先代最終型比で、全長15mm、全幅60mm、全高35mmと、一回り大きくなっています。より大きさを印象付けるのは、ワイド感を強調するコンパクトなヘッドライトを持つダイナミックシールドマスクでしょう。取り回しなどで従来型と大きく変わる印象もありません。

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電動機能を中心に、大きな進化を遂げたプラグインハイブリッドシステムを搭載

 パワートレインはPHEVなので、エンジンは発電がメイン。多くの走行シーンでは、前後ともに独立したモーターで走行する4WDとなります。ただし、高速域ではエンジンでの走行の方が効率に優れるため、前輪をエンジンと直結とし、モーターでアシスト。独立した後輪はモーター走行となるパラレルハイブリッドの4WDとなるのも大きな特徴です。先代のシステムと同様の仕組みではありますが、前後モーターと駆動用バッテリーの出力を約40%も向上させることで、できるだけEV走行モードを維持できるようにしたのがポイント。

 さらに駆動用バッテリー容量も20kWhまで大容量化させたことで、EV航続距離を83~87km(WLTCモード)まで拡大し、日常的な移動の多くを電気だけでもまかなえるようになりました。ちなみに、ハイブリットモードの燃費は、16.2~16.6km/Lです。

※初掲出時、パワートレインの説明に間違いがありました。訂正してお詫びいたします(2024年7月23日)

アクセルだけで操作するイノベーティブペダルが優秀

 ドライビングでのポイントは「イノベーティブペダルオペレーションモード」という拡大されたドライブモードの搭載でしょう。イノベーティブペダルとは、一般的にワンペダルといわれるもので、アクセルペダルの操作のみで加減速ができるもの。急減速や停車時には、ブレーキ操作が必要となりますが、細やかな速度操作の簡単さやアクセルオフの瞬間に減速を始めるので、より減速動作が早まるなどのメリットがあります。

 もちろん、通常モードでも、回生ブレーキの強弱を6段階で調整できるパドルシフトも備わり、ドライバーの好みに合わせたアクセルオフでの減速が得られます。

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イノベーティブペダルとドライブモードの選択は、操作性に優れるシフトそばに配置

 ドライブモードは、なんと7つのモードを用意。オールラウンダーの「ノーマル」を始め、加速の良さを重視した「パワー」、アクセル開度を緩やかにした省エネな「エコ」、後輪側の駆動力配分を高め、峠などでスポーティな走りを強める「ターマック(※乾燥路用)」、砂利道や未舗装路、豪雨の際など路面状況が悪いシーンでの走行安定性を重視した「グラベル」、雪道や凍結路などの滑りやすい路面に対応する「スノー」、そしてSUVらしくぬかるんだ路面や深雪などの悪路に対応する「マッド」と多彩ですが、それぞれのモードの特徴が、メーター上にグラフィックでも表示されるので、セレクトのしやすさも配慮されています。

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ドライブモードを操作すると、モードの特徴を示すグラフィックスがメーター上にも表示されるので分かりやすい

雪上走行でも安定感があり走る楽しみもある

 発売直前の試乗では、市街地と未舗装路であるオフロードコースを走行しており、よりSUV性能が高まっていることを実感。シーンを選ばず、高い走行性能と優れた静粛性を備えていることは理解していましたが、雪上は今回が初。どんな感触なのか、楽しみにしていました。

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安定感ある走りだけでなく、雪上走行の面白さも実感できた新アウトランダー

 雪を求め、降雪地に向かいましたが、天気が良好だったため、主要道路はほぼ雪がない状態。そこで山中の生活道路を走ることに。そこは雪がしっかり残っているうえに、降雪後にあまりクルマが走っていない状況で、雪の表目が少し凍っているような状態でした。

 まずはノーマルモードで走行。スタッドレスタイヤと4WDの恩恵で、安心して走ることができます。さらにワンペダルモードにすると、細やかな加減速ができるため、より走りやすくなります。これは他の車種でも同様なのですが、雪上や氷結路を走る場合は、ワンペダルモードの方が走りやすいのです。その理由は、アクセルオフでもタイヤの駆動力が抜けないため、走行安定性が保たれるためです。だから、滑りのリスクも軽減することができます。さて、ドライブモードを「スノー」に変更です。

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アウトランダーの走りを支えるのは、最新スタッドレスタイヤ。降雪地に出向く際は、スタッドレスタイヤなどの雪上対応タイヤ装着は必須です

 「スノー」モードでは、滑りやすい路面状況でも安定した走りを実現するもの。かなり安全性重視の慎重なモードなのかなと思いましたが、これにより「ノーマル」モードよりも、走りが楽しくなるから驚きです。簡単に言うと、加速したシーンで、よりアクセル操作をしやすくなっています。これは後輪側の滑りを少し許すことで、路面の雪をしっかりと捉えることができるようになるため。ただ必要以上に横滑りが発生しないように、電子制御でクルマの動きを抑制してくれるので運転の怖さはまったく感じません。

 もちろん、無茶な運転を許容するものではなく、安定した走行に必要な加減速が的確にできるという意味ですが、試してもらえれば運転のしやすさはもちろんのこと、運転好きな人にはコントロールする楽しさを実感してもらえることでしょう。

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電動車は、その特徴を活かすと滑りやすい路面でも走りやすいことをご存じですか

 電気モーターによる細やかな駆動や速度の調整がしやすい電動車は、雪上走行に不慣れの人にも扱いやすいといえます。もし降雪地に出向く際、レンタカーで電動車を選んでみれば、走りの違いを感じる良い機会となるでしょう。ただEVは、低温だと航続距離が落ちる傾向にあるので、不慣れな場所や夜間の移動が多い場合など、充電に不安があるならハイブリッドカーを選ぶ方が無難です。

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水平基調のダッシュボードデザインは、視界の良さや車両感覚の掴みやすさにも貢献

 さて、話をアウトランダーに戻しましょう。SUVらしいスクエアなボンネットと水平基調のコクピットデザインは、視界に優れ、ボディーサイズも掴みやすいので、普段以上に気を使う降雪地でのドライブでは、ドライバーの疲労を軽減してくれます。室内もゆったりしているので快適です。

【まとめ】車線維持機能がやや弱いが
オールラウンドに使えるSUVになった

 今回、唯一残念だったのが、高速道路走行で活躍する「MIパイロット」の車線中央維持支援機能の弱さ。路面状況により、車線逸脱が発生することがありました。もう少し積極的に支援してくれると運転の疲労がより軽減されるだけに、改良を望みたいところです。

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外部給電機能もアウトランダー自慢の便利機能のひとつ

 エコなSUVとして、先代から人気を得てきたアウトランダーPHEVですが、未舗装路や雪上でも、三菱が得意とするSUV性能がしっかりと体感できるだけでなく、その走りには楽しさがあります。この点は、初代となる先代アウトランダーPHEVでの技術の熟成が大きく貢献している部分でしょう。

 そして、キャンプなど郊外で過ごす際は給電機能を使い、暖かい、もしくは冷たい飲み物を楽しむこともできます。大家族にも対応できる7人乗り仕様もあり、3列目の広さなどはミニバンに負けますが、近い使い方ができるのは強みでしょう。

 アウトランダーのアウトドアの相棒としての魅力を実感できた降雪地へのドライブでした。

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クセが強いが、SUVらしいフロントマスクとして人気を得ているダイナミックシールドマスク

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