脳内イメージが可視化できる? 期待したいIoT、AIスタートアップ5社
第47回NEDOピッチ「IoT、AI Ver.」レポート
IoTはもちろん、AIもすでに「知る人ぞ知る」ワードではなく、誰もが当たり前に口にする技術となった。スマホを使っていれば否応なく目にする広告にも、老若男女が楽しんでいるゲームにも、都市交通やガス水道電気などの生活インフラにもAIやIoT技術が使われるようになっている。
世界中でAIやIoTが研究から実用・応用へと進化・発展している現状においては、それらを既存の技術と組み合わせたり、現場のニーズに落とし込むことによって製品化する際に圧倒的なスピード感が欠かせない。そういった視点からスタートアップに期待が集まっており、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は定期的にピッチイベント「NEDOピッチ」を開催して、それらスタートアップによるオープンイノベーションの創出を支援している。
今回は「IoT、AI Ver.」として、この分野に取り組んでいるスタートアップ5社による熱いピッチが展開された。コロナ禍によりオンラインのみでの開催となった第47回 NEDOピッチの様子をレポートする。
IoT・AIの最新トレンド
5社のスタートアップによるピッチに先立ち、SNSを使ったAIやデータサイエンス分野の情報発信、企業におけるDXやデータドリブンの推進などで注目を集めているITコンサルタント、マスクド・アナライズ氏によるIoT、AI、データ分析領域の最新動向が紹介された。
最近あらゆるところで取り上げられているAIは、すでに「認識」「予測」の分野において実用的なレベルにまで進化しており、気が付かないうちに身の回りの機器やアプリに組み込まれてきている。スマホはその最たるものだが、そういった生活・仕事に必要なもの、あるいは交通や水道などの生活インフラを通じて様々なデータを収集・分析するのがIoTと呼ばれる技術で、これも目に見えないものとして生活のあらゆるところに浸透してきている。
そしてそれらから集められてきた情報・データを元に、目的に応じた予測や原因調査を行うのがデータ分析技術だ。これまでは個人の勘や経験によって処理されてきたことが、実際のデータに基づいて計画・実行されるようになってきたというのがここ10年程度のトレンドで、生活が便利になったという実感の裏には、これらの最新技術が動いていることが少なくない。
「数年前のAIブームが落ち着いて、社会生活や仕事で使える段階に来ている。社会インフラへのAIやデータ分析として、これまでは広告やゲームなどがあった。ここ1,2年くらいではエネルギーや交通、社会インフラ等への実装が進んでいる。さらに創薬・診断・手術などの医療分野、脳や神経などの人体科学においても、徐々に実用化がなされてきている。」(マスクド・アナライズ氏)
AIの進化における面白い例として、「アボカドみたいな椅子」や「犬の散歩をする大根ちゃんというキャラクター」をAIに自動生成させた事例が挙げられた。一昔前なら人間にしかできなかったクリエイティブな業務も、現代のAIはこなせるようになってきている。
このような技術の進化を踏まえると、今後はさらに社会実装に対するニーズが高まり、同時に研究開発のみならず実用化・製品化や社会受容度の向上が求められるとマスクド・アナライズ氏は語る。
「(AI・IoT・データ分析に対する)研究開発分野や官公庁による支援が強化されており、今後は社会インフラへの展開やAI倫理観についての議論、法整備などの進展が2022年のトレンドと見ている」(マスクド・アナライズ氏)