Ultra-High Purity、99.9999%以上の超高純度水素精製装置プロトタイプを開発 幅広い産業分野での活用に期待
大分工業高等専門学校発スタートアップ企業の株式会社Ultra-High Purityは4月15日に、純度99.9999%以上の超高純度水素を精製する装置のプロトタイプ「UHP-VASABM250101」を開発したと発表。半導体や医療、モビリティ、ロケットなど幅広い産業分野での活用が期待されているという。
「UHP-VASABM250101」は、同社と太陽鉱工株式会社および株式会社東海理化との産学連携の共同開発によるもの。水素自動車充填基準(99.97%)を上回る99.9999%以上の純度で、毎分10リットルの水素を精製可能とのこと。同社独自の技術「VASA-UHP」と水素分離コアモジュール「VASA module」に、太陽鉱工のバナジウム合金膜、東海理化の損傷検知システムを組み合わせることで開発に成功したという。
「UHP-VASABM250101」の強みは、従来のパラジウム膜と比較して優位性を持つバナジウム合金膜技術にあるという。水素透過係数は競合製品の7.5倍以上(他社1.2@450℃に対し、同社製品は9.1@350℃)を実現し、より低い温度でも高効率な水素分離が可能とのこと。材料コストについても、希少金属であるパラジウム(約2,815円/g)と比べて、バナジウム合金(90円/g)はコストが低いことから、持続可能な水素社会の実現に貢献するとしている。
超高純度水素は、半導体や医療、宇宙、モビリティなどの幅広い産業分野での活用が期待されているという。半導体分野では、2nmプロセスルールの半導体やEV(電気自動車)の出力制御などで使われるパワー半導体を製造するために99.9999%以上の超高純度水素が不可欠だという。医療分野では手術や臓器保存を行う環境に超高純度の水素ガスを供給する機器・設備の導入が進められているほか、モビリティ分野ではFCV(燃料電池車)の普及に向けた水素供給設備(水素ステーション)のコンパクト化、ロケット分野においては高性能かつ環境にやさしい水素ロケットエンジンの開発など、多様な産業のアップデートに貢献する可能性を秘めているとしている。
同社では、各業界の顧客ニーズに応じて超高純度水素精製技術をカスタマイズや共同開発し、社会実装を実現することで、大分発、ひいては日本発の最先端技術として世界に展開することを目指すという。