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新車を買った情報2022 第92回

ジムニーはどのグレードを選ぶと幸せになれるのか

2022年01月17日 12時00分更新

文● 四本淑三 編集● ASCII

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最下位グレードにしかない魅力の鍵は「キー」

 そして最下位グレードのXG。これはジムニーでしか選択できないグレード。すなわち軽自動車で始まったジムニーの魂。もはや助手席や後席の人への配慮も感じられなくなってきます。

 助手席シートベルト警告灯 > 無し
 助手席シートベルトリマインダー > 無し
 後席シートベルト警告灯 > 無し
 後席シートベルトリマインダー > 無し
 リアシートリクライニング機構 > 無し
 リアシートヘッドレスト > 無し
 分割可倒式リアシート > 一体可倒式リアシート
 防汚タイプラゲッジフロア > 無し
 ラゲッジボックス > 無し
 電動格納式ドアミラー > 手動格納式ドアミラー
 カラードドアミラー > 無塗装樹脂色ドアミラー
 ヒーテッドドアミラー > 無し
 フロントフォグライト > 無し(ディーラーオプション有り)
 カラードドアハンドル > 無塗装樹脂色ドアハンドル
 フルオートエアコン > マニュアルエアコン
 シートヒーター > 無し 
 撥水ファブリックシート > 撥水しないファブリックシート
 リアルームランプ > 無し
 リアスモークガラス > 無し
 運転席バニティミラー > ついに無し
 メッキ加飾 > 完全に無し

 潔い!

 助手席や後席は荷物を積むところ。ヘッドレストやリクライニングも要らなければ分割可倒式である必要も無し。リアのバックレスト裏に貼ってある防汚用の樹脂カバー、あれは荷物がツルツル滑って困るので、どうせシートを敷くのだから無くても構いません。リアのラゲッジボックスはサードパーティにカッコいいのが出ているから問題無し。

 ドアミラーも樹脂剥き出しの無塗装、かつ手動格納式になります。狭い道で枝と擦れそうな時に電動は便利でしょうが、無塗装の樹脂なら傷が付いても私の心は痛まないのでそのまま行けてしまうから更に便利です。

 ドアミラーからはヒーターも消えますが、今まで雪の付着で困った経験はありません。ジムニーのミラー形状でどうなるかは分かりませんが、何かあっても右側は手が届くし、左側もマジックハンドか何かでどうにかしましょう。

 そして何よりXGグレードで素晴らしいのは、カタログにもただ「キー」としか書かれていないキー。無線式のスマートキーではなく、機械式の回すキー。今時の若い人は分からないかもしれませんが、これをステアリングコラム右のシリンダーに差し込んで回すとエンジンがかかるんですよ。

 チャリチャリチャリ。カシャッ。きゅるるるるぶおーん。キーホルダーにぶら下がっているお守りやらチャームやらがジャラジャラジャラ。回すキー、最&高!

 無線式が当たり前になり走行中はリモコンの置き場に困っていましたが、回すキーならシリンダーに挿しておけば問題無し。ACCやONのポジションも確実なクリック感があってボタンとインジケーターよりはるかに分かりやすい。スイッチが入っているのに気付かずドアを開けて「ピー」なんて警報音で焦ることもなし。にも関わらずキーレスエントリーなので、鍵穴が凍ってドアが開かないなんてこともない。素晴らしい。

 なのに世間の評論家は「これだけ装備を削っているのに、上のグレードとの価格差が12万しかない。コスパを考えたら上のグレードがオススメ」などと言います。じゃあね、12万円払ったらXCやJCにメカニカルキーが付きますか? 付きません。決して付かないのです。世の中ゼニだけで解決するものばかりではないということを肝に銘じていただきたい。

 と、無茶な強弁はこれくらいにして、このグレードには致命的な問題がひとつ。それはシートヒーターまで無くなること。あれなしで私、生きてゆけません。せめて運転席側だけは残しておいて欲しかった。でも悪いのは冷たさに弱い私。ああ、弱い私のばかばかばか。

 こうした葛藤と演歌的自己否定を夜毎繰り返し、私は疲れ果てて眠るのです。

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