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あのクルマに乗りたい! 話題のクルマ試乗レポ第109回

マツダ「MX-30 EV MODEL」は居住性が良すぎる“走るマイルーム”だ

文●栗原祥光(@yosh_kurihara) 編集●ASCII

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巨体を軽々走らせるモーターのパワー
そしてモーターゆえの静粛性で居心地良し

MX-30 EV MODEL

 いきなり結論じみた話をすると、「居心地のよい空間に、さらに静寂さが加わり、まるでお気に入りに部屋が移動しているみたい」というのが、マツダMX-30 EV MODELの総評。ハイブリッドモデルに触れた時でも、新しい価値を想像するというコンセプトは感じていたのですが、音や振動、走行性能といった面のレベルが高く、MX-30が目指した世界観がEV MODELで結実したといえるでしょう。もちろんハイブリッドモデルも魅力的ですヨ。

MX-30 EV MODELはブリヂストン製タイヤを履く

 EVに目がいきがちですが、自分の中で最初に驚いたのは、街乗りベストバランスと言いたくなるほどの足の良さ。縦剛性の高いブリヂストンタイヤゆえ、路面の凹凸を細かく拾うため乗り心地に硬さはあるのですが、それを考えても乗り味は上々。でありながらSUVモデルとしては珍しく、運転の楽しさ、マツダ流に言うところの「人馬一体」が得られるから。さらに動きの滑らかさと柔らかな質感が実に心地よく、まるで自分を軸にしてスーッとクルマが向きを変えて、アクセルを踏むとスムーズに加速していくのです。当たり前のように思えるでしょうけれど、このレベルが途方もなく高く、現行国産コンパクトSUVのほぼすべてを試乗しましたが、このスムーズな乗り味やクルマの動きは初めての経験。

 「エンジンからモーターに変えたことで、フロントの重量が軽くなったのが要因かな?」と思ったのですが、どうやらそれだけではない様子。マツダによると「車両運動制御技術G-ベクタリング コントロール(GVC)はモーターのトルク特性を活かして、より幅広い領域で最適な前後荷重移動を実現するe-GVC Plusへと進化。前後・左右・上下方向のG変化をシームレスにつなげることで、これまでになく滑らかな車両挙動を実現した」のだとか……。とにかく、素晴らしいということだけはよくわかりました。

 こうなると、積極的に運転を楽しみたいという気持ちになるというもの。モーターペダルを踏んで加速、ブレーキを踏んで減速するのですが、このブレーキフィールもまた良いではありませんか。モーター回生による減速コントロールが実に自然で、ペダルフィールもフェザータッチで違和感皆無。モータードライブの車両では、ワンペダル動作に対応する車種が多いのですが、このMX-30 EV MODELでは見送られた理由がわかりました。これはポルシェ・タイカンでも言えるのですが、減速する楽しみを味わってほしいというメーカーの自信の表れ、メッセージなのでしょう。EVらしいトルクフルな走りは、パワー不足を感じることなく、車列をリードする実力十分。クリープ走行の速度が思いのほか速いこと以外、不満はまったくありません。

ステアリングホイールに設けられたパドルスイッチ

パドルスイッチを操作すると、Dの横に回生量を現わす矢印マークが点灯

 お楽しみ機能も用意されています。それはステアリングに設けられたパドル。これは回生エネルギー量をコントロールするもので、いわゆるエンジンブレーキのような使い方ができます。設定は5段階で、通常は3段階目に設定されています。ではエンジンブレーキ変わりに使うのはわかったけれど、回生を弱めるとどうなるの? というと、いわゆるスポーツモードのようなフィーリングへと変化。車速が落ちづらくなるばかりか、モーターペダルのツキがよくなったような感覚に。バッテリー残量を気にしなければ、これで走り続けたい気分! オススメは4段階目で、結局ノーマルに戻さず、そのままで乗り続けてしまいました。

横羽線(上り)を走る筆者

制限速度でクルーズコントロールをオンにした様子

 街乗りを楽しんだら高速道路に乗りたくなるもの。そこでツイスティーで路面が荒れ気味の首都高横羽線へ。合流加速も上々で不満ナシ。車速が伸びても車体は安定しているのは、底面にバッテリーがあるから。路面の継ぎ目も切れ味よく乗り越えていく実力の持ち主です。右手のボタンを操作して運転支援をセット。前走車追従は他社に比べるとやや長めの様子。レーンキープも上々で、ロングクルーズも快適に過ごせることでしょう。となると、航続距離がもう少し長いと……という欲深い気持ちに。

【まとめ】行政の補助を利用すればかなりオトク
居住性も走行性能も問題ナシ

e-SKYACTIVのエンブレム

試乗車の価格やスペックシート

 走行距離が300kmに満たないため、遠出するには心細い部分があるのは確か。高速道路に設置されている急速充電器では、バッテリー容量の最初の航続距離は稼げても、一般的な30分の急速充電では充電できる量がたかが知れています。来年エクステンダーモデルが登場する予定ですが、EVですので油脂類の交換をほとんど必要としないばかりか、行政の「GoTo脱炭素車」キャンペーンを利用すれば、400万円代中頃になるので、多少お求めやすくなるかもしれません。

リアゲートを開けたところ

ラゲッジスペースは広く、シートを倒してもフラットになるので使い勝手がよい

ラゲッジスペースに設けられた充電キット

充電ケーブルを取り出したところ

充電機は200V専用。200V端子の端子は多種多様なので、設営時には要確認すること

 他社のEVと比べ、荷室容量や居心地のよさの面で群を抜いて魅力的。一方、400万円クラスのSUVと比べると、収納面では劣りますが、静寂性の面と取り回しのよさで圧倒します。もちろん「もう少し安くなると……」という思いはありますが、現時点でも魅力的な選択肢といえるのではないでしょうか? 新たなる100年の扉を拓いたMX-30 EV MODEL、ぜひチェックしてください。

マツダの新時代を切り拓くMX-30 EV MODELから目が離せそうにない

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