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あのクルマに乗りたい! 話題のクルマ試乗レポ第109回

マツダ「MX-30 EV MODEL」は居住性が良すぎる“走るマイルーム”だ

文●栗原祥光(@yosh_kurihara) 編集●ASCII

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マツダ/MX-30 EV MODEL(試乗車の価格は506万円)

 昨年創業100周年を迎えたマツダ。コンパクトSUVの「MX-30」は、これからの同社100年の門出に相応しいSUVでした。そして早くもMX-30のバリエーションモデルとして、新しい力を宿した車両が登場しました。それが「MX-30 EV MODEL」です。

次の100年にふさわしいEVモデルが誕生

 昨年10月26日、菅義偉首相が国会の所信表明演説の中で、日本政府として初めて2050年までに二酸化炭素ネット排出量ゼロ(カーボンニュートラル)にするとの政策目標を掲げ、同年12月8日に小池百合子東京都知事は、都議会代表質問で、都内の新車都内で新車販売される乗用車について、2030年までにガソリンエンジンだけの車をなくし、すべて電気自動車(EV)もしくはハイブリッド車(HV)などの「非ガソリン車」(電動車)にする新たな目標を明らかにするなど、脱炭素社会の流れは一気に加速。

東京都のZEV普及プログラム。2030年までにインフラを整備することを表明している

 これに合わせて東京都の環境局は、2025年のインフラ整備目標として、都内に公共用充電器を5000基設置、2030年までに急速充電器1000基、水素ステーション150ヵ所設けるというZEV(Zero Emission Vehicle)普及プログラムを既に表明しています。

 さらに東京都は21年度からEVとPHVに対し45万円の助成金を受け取ることができるとのこと。さらに国からも最大42万円のクリーンエネルギー自動車導入事業費補助金が出ます。じつに合計87万円の「GoTo脱炭素車」キャンペーンが開催されているのです。

 化石燃料を力と官能に変える愛すべき内燃機関ですが、政府による大キャンペーンと知ると、次は電気自動車かなぁという気持ちに。さらに実際に触れてみると、エコのイメージが強いためか、走りは期待できないと思いきや「静かでトルクフルな走りのよさ」「アクセルペダルの動きに対してダイレクトに反応するフィーリング」が実に魅力的。クルマはこれからも私達を楽しませてくれそうです!

マツダ/MX-30(ハイブリッドモデル)

 MX-30 EV MODELについて話を戻す前に、MX-30の話を少し。現在マツダはCX-3、CX-5、CX-8というサイズ違いのSUVのほか、立体駐車場にも好適な全高1550mm以下のCX-30、そしてこのMX-30という5種類のSUVをラインアップしています。こんなに作ってどうするの? と思いますが、もちろんMX-30を出すには相応の理由があるのです。それは、従来とは異なる「新しい価値」の提案。というのも、一般的なクルマ選びというと「BセグメントSUV」というような枠やカテゴリーの中から、A社はこうだけどB社は……という形で車を選びます。もしくは「C社のラインアップの中でBセグメントSUVはコレ」みたいな。それに対して、マツダは「自分らしさ」という新しい提案を考えました。それって何? というと、使い勝手や居心地のよさでクルマを選ぶというもの。

マツダ初の女性主査に任命された竹内都美子さん

 このコンセプトを考えたのは、同社としては初の女性主査である竹内さん。なるほど、いわゆる女性目線での考え方なのかなと思ったのですが、むしろそう捉えられるのが嫌で、単純に居心地のよいクルマとは何かというのを追及されたとのこと。たとえばインテリアは、既存のマツダ方程式にモダンリビングのエッセンスを取り入れたような作りこみだし、一見奇をてらったように思える観音開きのドアも、チャイルドシートに子供を座らせる時にはとても便利。

 竹内さんによると「今までにないコンセプトということもあり、完成までに4年以上の月日がかかりました。ほかのクルマよりも長いのではないでしょうか? それゆえ、新たな100年に向けた第1弾になりました。もともとそのような計画はなかったのですが……」なのだとか。触れれば触れるほど、よく考えられた1台だなぁと感心しきり。そんなMX-30のレポートは、矢田部明子さんの記事をご参照ください(観音開きのSUV、マツダ「MX-30」は生活に彩りを与えてくれる車だ!)。実に次なる100年の扉を開く、素晴らしいパッケージに仕上げられていると思います。

MX-30 EV MODELのフロントマスク

MX-30 EV MODELのサイドビュー

観音開きドアを開いたところ

MX-30 EV MODELのリアビュー

 さて。ようやくEV MODELの話です。竹内さんによると、マツダ初のEV車になることは、開発の途中で聞かされたとのこと。では、マツダ初のモーター駆動パワーユニットe-SKYACTIVを見るべく、ボンネットを開けてみましょう。

MX-30 EV MODELのボンネットを開けたところ

e-SKYACTIVパワーユニットは、やや運転席側に寄せてマウントされている

e-SKYACTIVパワーユニットの様子。右側に大きなスペースが設けられている

 え? これだけ? という驚きのコンパクトぶり。厳密に言えば、見えているのはDC-DCコンバーターやインバーターで、モーターはその下に置かれています。出力は145馬力/27.5kgf・m。ちなみにハイブリッドモデルは、エンジン出力156馬力+モーター6.9馬力、トルクはエンジン20.3kgf・m+モーター5kgf・mなので、ほぼ同等といえそう。つまり、これだけのコンパクトさでパワー不足を感じることはないというわけです。となると、助手席側の空いているスペースは何? と思うかもしれませんが、これは来年発売予定の発電機搭載モデルのためのもの。ちなみに発電機はロータリーエンジンを予定しているのだとか。

MX-30 EV MODELのメーターパネルより。バッテリー残量75%の段階で149km走ることができるとのこと。なお平均電費は5.4km/Kwhとのこと

 気になるのは航続距離。カタログを見るとWTCLモードで256km。搭載するバッテリーも35.5kWhで「少なくない?」と誰もが思うところ。これには当然理由があり、一つは日常使いで不安のない容量だと判断したから。つまりシティ・コミューターとして考えているというわけです。これは既発売のHonda eも似た考え方でした。もう一つはLCA(ライフ・サイクル・アセスメント)との考え方に基づいているというもの。LCAって何ぞや? というと、製品のライフサイクル全体(資源採取―原料生産―製品生産―流通・消費―廃棄・リサイクル)における環境負荷を定量的に評価する手法のこと。そこでMX-30 EV MODELは、クルマの生涯におけるCO2排出を考えた時、現在のMAZDA3のディーゼルエンジン搭載モデルと同じCO2排出量になるのが35.5kWhだったとのこと。今後、バッテリー技術や生産工程におけるCO2排出量の技術革新があった時は、バッテリー容量を増えるのでしょう。

MX-30 EV MODELの充電ポート

 外観はまったくもってMX-30そのもの。強いて相違点を見つけるとしたら、充電ポートが給油口とは反対側にある程度。これは来年登場する発電機搭載モデルのことを意識した設計といえるでしょう。

MX-30 EV MODELの運転席側ドアを開けたところ

レザーとファブリックからなるシートは座り心地がよい

MX-30 EV MODELの室内

MX-30 EV MODELのメーターパネル

MX-30 EV MODELのシフトレバー。手前のシャトル・ジョグダイアルはディスプレイオーディオ(カーナビ)用

センターコンソールは二階建て構造

下段のトレイボックスにはUSBポートを2系統設ける

運転席右側のスイッチ類。トラクションコントロールやパーキングセンサーのオンオフなどができる

後席の様子。足元は意外と広い

後席のドアだけを開けることは不可。必ず後席側を閉めてから運転席側を閉じなければならない

運転席シートの背面には、後席用のシート移動スイッチが設けられている

トレイ等にコルク材が用いられている

Bluetooth経由で音楽再生したところ。アートワークはグレースノートから引っ張ってくるようだ

カーナビ画面を表示させたところ

 室内は基本的にMX-30を同じ。電源ボタンを押してジョイスティックタイプのシフトレバーをDレンジに入れれば走りだします。マツダらしく操作系が全車横断で統一されていることに好印象。強いて言うなら個人的にジョイスティック系なら、パーキングのポジションはボタンにしてほしいと思った以外、操作系に不満はありません。

 またEVながら、ことさらエコを強調する表示であったり、各所に青や緑のステッチを多用していない点も好感。さらに加飾パーツとして、最近ありがちなカーボンではなくコルクを使っている点にも注目。マツダはもともと東洋コルク工業でしたからね。ちなみにコルク材は樹脂で固められているので、経年変化にも強いのだとか。風合いがよいだけでなく、明るく温かい印象を与えてくれます。

 それでは居心地のよいクルマで街に繰り出してみたいと思います。はたしてマツダ初のEV車の走りはいかに?

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