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あのクルマに乗りたい! 話題のクルマ試乗レポ第107回

ラリーとレースに出場したナンバー付きレース車両を街の中で乗った!

文●松永和浩 編集●ASCII

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WRCマシンも参加の
セントラルラリーにも出たラリーVitzはオートマ?

 吊るしの販売状態からほぼ手を加えられないナンバー付きレース車両の86に対して、全日本ラリーなどに出場するためのVitzはゴリゴリに改造してあります。

 このVitzは2019年に開催されたWRC ラリージャパンの前哨戦である「セントラルラリー愛知・岐阜」に出場し、競技一日目のDAY1でクラス2位の成績を記録しています。このVitz、そんな好成績を残しているのですが実はオートマ! スポーツCVTというシステムを搭載した2ペダルのラリーマシンなのです。

 ドライバーは長山等選手。永山選手もGR GARAGE 東京三鷹でメカニックとして勤務しています。そしてコ・ドライバーは水谷選手。その2ペダルのVitzでTGRラリーチャレンジや地方選手権ラリー、全日本ラリーにスポット参戦していきたいとのことです。

 このVitz、ゴリゴリに改造してあると表現しましたが、一番大きく変わっている部分は乗車定員が2名となっているところ。全日本ラリーの基準で製作されているとのことで、ロールバーなどは溶接で取り付けられています。なのでリアシートを取り外さなくてはならないために、乗車定員が2名となっています。

 改造といってもロールバーなどの安全装備と、床下のアンダーパネル装着による保護がメイン。床下をカバーで覆うというのはレーシングカーでも見られる手法ですが、あちらはフラットボトム化をして空気抵抗を減らすのが目的。ラリー車の場合は飛び石やジャンプの着地などでボディーの下回りを破損することを防止するのが目的となり、ラリー車のアンダーパネルの材質はジュラルミンなどの金属製となります。

 なおベース車両はVitz GR SPORTなので、床下のマフラートンネルにボディ補強バーがそのまま残されています。

 サスペンションもラリー用のものが取り付けられます。ラリー用とレース用は何が大きく違うのかといえば、ラリー用はバネの硬さ、すなわちバネレートとショックアブソーバーの減衰力が高められていながらも、バネの自由長が長くとられているので対応できる路面が幅広いという違いがあります。レース用はサーキットで速く走るために自由長を短く設定してあります。

 また、競技車両はアクシデントでマシンが不動になった場合に救出作業を行なうため、牽引フックの装着が義務付けられています。

 このVitzのステアリングにはテープに番号を書いて貼り付けられていますが、これはコ・ドライバーがコーナーの大きさを指示した際にドライバーがどれだけステアリングを切ればいいかを示すもの。長山選手にとっては必要のないものですが、このマシンはほかの社員ドライバーの方もTGRラリーチャレンジなどに出場する場合があるので、そのために貼ってあるとのことです。

 また全日本クラスのラリーマシンは防音材などをすべて剝がしてしまっていますので、車内はかなりうるさくなります。そのうえドライバーとコ・ドライバーはヘルメットをかぶるためにそのままではコミュニケーションがとりづらくなります。そこでヘルメットにマイクとスピーカーを仕込んで会話をしやすくするのですが、そのマイクとスピーカーをつなぐ端子ボックスがマシンの天井に仕込まれていました。

 そしてシートはレカロの最新フルバケットシート!

 それでは実際にこのVitzを街なかで走らせてみましょう。

 このVitz、先述のとおりスポーツCVTが取り入れられたオートマ車で、ノーマルとスポーツが切り替えられます。ノーマルを選べばごく普通のCVT車となります。ただし、スポーツCVT装着車ではパドルシフトやフロアシフトのプラスマイナスのシフトチェンジは使えなくなっています。

 ごく普通のCVTで走った場合は普通のVitzです。しかしガチガチに補強されたボディーにストロークの長いサスペンションのおかげで、競技用として固められた足回りにしては乗り心地は悪くありません。ネガ要素といえば遮音材がないために少しうるさいことくらいです。

 しかし、スポーツCVTに切り替えたらどうでしょう? これがガチでうるさい! スポーツCVTに切り替えて30km/h以上の速度になるとエンジン回転は6000rpm付近に固定されます。そして速度の調整はCVTが行なうのです。CVTが無段変速であるゆえにできる芸当で、ほかの変速システムではありえない動きです。

 つまりエンジンレスポンスよりCVTのレスポンスの方が早いということなのでしょう。確かにアクセルに対しての反応はノーマルのCVTに比べて格段に向上していますし、パドルシフトよりも反応は早いかもしれません。

 それにしても遮音材なしの常時6000rpmはうるさい! 間違いなく近所迷惑です。昼間の交通量の多い幹線道路でなければ試す気にはなりません。長山選手曰く「競技中以外でスポーツCVTに切り替えることなんて皆無!」と言い切っていたのはこういう意味だったんですね。

 スポーツCVTについては「変速機の制御プログラムの技術なので、作動させたところで法規にも競技規則にも抵触しませんが、かなり性質の異なる技術なので競技をしない一般のお客様のお問い合わせにはお応えできません」というお話も伺っています。

 公道を閉鎖して1台ずつでタイムを競うラリーと、公道走行可能なマシンでサーキットを舞台に競う86/BRZ RACE。同じナンバー付き車両競技でもこんなに違いがあるとは!

 ただし、どちらの競技も初心者から入りやすいクラスがあるということに注目していただきたいところ。そしてその窓口にはGR GARAGEという店舗があるのです。

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