パソコンと1000BASE-Tで接続し、いくつかのファイルをやり取りしTS-219P+への書き込み/読み出し速度を測定してみた。ファイル容量によっても異なるが以下のような結果となった。
読み込み(TS-219P+ → パソコン) | 740~890Mbps(約93~111MB/秒) |
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書き込み(パソコン → TS-219P+) | 420~460Mbps(約53~58MB/秒) |
読み込みでは890Mbps(約111MB/秒)もの速度が出ているが、これはキャッシュメモリーの影響であろう。もちろん結果に関しては、取り付けたHDD自体の性能やLAN帯域、パソコンのスペックなどにも左右されるのだが、TS-219P+の能力は、リード/ライトともに平均65~70MB/秒あたりと考えられる。参考までに、ストレージベンチマークソフト「CristalDiskMark 3.0」と「FILE DEVICE BENCHMARK 1.03」で計測した結果も掲載しておく。
大型ファイル作成 | 約70.02MB/秒 |
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小型ファイル作成(32KB) | 約5.38MB/秒 |
ファイル読み込み | 約62.93MB/秒 |
ファイル読み込み(8byte単位) | 約60KB/秒 |
ァイル作成/削除 | 233個/秒 |
ファイル開く/閉じる | 599個/秒 |
ファイルシステムの関係上、大量のファイルを読み書きする時にはパフォーマンスがかなり落ちるが、実用上は問題ないだろう。
単なるストレージではなく、もはや多機能サーバー
TS-219P+のIPアドレスを指定してウェブブラウザーでアクセスすると、「各種管理」や「マルチメディアステーション」、「WEBサーバ」など各機能を設定するビジュアルメニューが開く。
各種管理では、ユーザー作成などウィザード化された主要設定のほか、FTPやウェブサーバーなどのネットワークサービス、メディアサーバーなどの搭載アプリケーション、バックアップ、USB接続されたプリンタやストレージなどの外部デバイスなどについて細かな設定ができる。
NASの基本はファイルサーバーなのだが、TS-219P+の機能はそれにとどまらない。ウェブサーバー機能はPHP、MySQL/SQLiteなどに対応しているため、自前のフォーラムやブログなどを開設できる。またウェブサーバー機能と連動して、エクスプローラー風の画面でファイルのアップロード/ダウンロードが行なえるファイル管理機能「Webファイルマネージャ」もある。
特筆したいのはマルチメディアステーション機能だ。これは、TS-219P+の共有フォルダーに置いた写真や動画、音楽ファイルを、ウェブブラウザー経由で閲覧・再生できるものだ。プレイリストの管理などもできる。手元の数種類のファイルを試したところ、QNAP提供のプレイヤーソフトで、JPEGファイルやmp3の音楽ファイル、MPEG-1、mp4、flvなどの動画ファイルが再生できた。
動画表示のパフォーマンスは、配信を受ける側(再生するクライアント)の能力や、ウェブブラウザーの表示プラグインの対応状況に依存するのだが、Dynamic DNSもサポートしており、マルチメディアファイルをインターネット越しに視聴する環境も簡単に構築できる。
★
TS-219P+ Turbo NASの実売価格は4万円前後と、HDDユニットを装備しないNASケースとしては、やや高額である。というのも国内の家庭向けNASは、特定メーカーのHDDレコーダーと連携することで録画ストレージとしての注目を浴びたため、比較的安価に出回っているからだ。家庭向けに限定するならば、ホットスワップや自動リビルドの必要性は低いので、そちらの方がコストを下げられる。
その点、ホーム/SOHO両者の求める機能を積み込んだTS-219P+ Turbo NASの立ち位置は微妙だ。高性能かつ多機能、おまけに汎用性もあるのだがターゲットがぼやけてしまっているように思える。単なるNASではなく、簡易サーバーとしての導入を考えたほうがいい製品と言えそうだ。
TS-219P+ Turbo NAS の主な仕様 | |
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CPU | Marvell 6282(1.6GHz) |
メモリー | 512MB |
対応ストレージ | 3.5インチSATA HDD、2.5インチSATA HDD |
HDDトレイ | 2台 |
インターフェース | USB 2.0×3、eSATA×2、10/100/1000BASE-T LANなど |
サイズ | 幅102×奥行き216×高さ150mm |
質量 | 約1.74kg |
価格 | オープンプライス(予想実売価格 4万円前後) |
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筆者紹介─池田圭一
月刊アスキー、Super ASCIIの編集を経てフリーの編集・ライターに。パソコン・ネットワーク・デジタルカメラなど雑誌・Web媒体への企画提供・執筆を行なう一方、天文や生物など科学分野の取材記事も手がける。理科好き大人向け雑誌「RikaTan」編集委員。デジイチ散歩で空と月と猫を撮る日常。近著は「失敗の科学」(技術評論社)、「光る生き物」(技術評論社)、「これだけは知っておきたい生きるための科学常識」(東京書籍)、「科学実験キット&グッズ大研究」(東京書籍)、「やっぱり安心水道水」(水道産業新聞社)など。
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