携帯電話やスマートフォンに内蔵されるカメラは、特に撮像素子の面で大きな進歩を続けている。撮像素子の画素数だけなら、コンパクトデジカメと匹敵するレベルが当たり前だし、素子自体も裏面照射型など最新の高画質化技術を取り入れたものが、スマートフォンにも採用されるようになってきた。さらにスマートフォンならば、多彩な写真撮影・加工アプリの存在によって、撮った写真を加工してからSNSへアップロードするのも簡単で、写真の楽しみ方を広げている。
そうは言っても、撮影専門のデジカメとスマートフォン内蔵カメラで、どちらがきれいな写真を撮りやすいかと言えば、やはりデジカメの方だろう。撮影能力が優れたデジカメと、編集・加工や投稿を手軽にできるスマートフォン。この両者を簡単に連携させようというアイテムが、東芝が発売した「FlashAir」である。
8GBのClass 6 SDHCメモリーカードに
無線LANアクセスポイントを内蔵
FlashAirは容量8GBのSDHCメモリーカードに、無線LAN機能を内蔵した製品である。内蔵する無線LAN機能は、IEEE 802.11b/g/nに対応する。こう書くと、同じように無線LAN機能を内蔵したSDHCメモリーカードである「Eye-Fi」シリーズと何が違うのだろう、という疑問が湧く。実のところFlashAirは、Eye-Fiの持つ「ダイレクトモード」機能だけを取り出した製品、と言っても過言ではない。
今回はEye-Fiの記事ではないので大雑把に説明するが、FlashAir自体が無線LANアクセスポイントとして機能することで、FlashAirとスマートフォンやパソコンなどを簡単に接続できること。そしてデジカメで撮影し、FlashAirに書き込まれた写真を、簡単な手順で接続先の端末に転送できること。これらはEye-Fiのダイレクトモードと似たようなものだ。
Eye-FiとFlashAirが大きく異なる点は、Eye-Fiはカメラで撮影した写真を無線LAN経由で、SNSへ自動アップロードする機能に主眼を置いているのに対して(ダイレクトモードはあとから導入された)、FlashAirは撮影した写真を端末側に送る機能に特化しているところだ。FlashAirにはSNSへの自動投稿機能などはないが、その代わり簡単に設定できるし、端末側にも特別なアプリを必要としないという利点がある。単機能な分だけ簡単に扱える製品を目指したのがFlashAir、と言えるだろう。
FlashAirはメモリー内に、Windows 7/Vista SP2/XP SP3以降用の設定ソフト「FlashAirTool」のインストーラーを内蔵しており、WindowsパソコンにインストールしたFlashAirToolを使って初期設定や設定変更を行なう。
スマートフォンからも初期設定や設定変更は可能だが、その場合はスマートフォン側のウェブブラウザーでFlashAirにアクセスして行なう仕組みとなっている。パソコンなしでも設定できるのは利点のひとつだが、「初期設定を行なったスマートフォンでしか設定変更できない」という制約がある(実際にパソコンで設定したFlashAirはスマートフォンから設定変更できなかった)。Windowsパソコンがあれば、パソコンで設定した方が楽だろう。
設定自体は非常にシンプルだ。主な設定はデジタルカメラでFlashAirの通信機能を起動する方法(後述)の選択や、SSIDとパスワードの設定(セキュリティー機能はWEP、TKIP、 AES WPA/WPA2に対応)程度。無線LAN機器の扱いに慣れていない人でも、あまり迷うことはないだろう。

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