好きなように、エロエロにしてください
★kihirohito | 43歳。「護法少女ソワカちゃん」で有名なボーカロイドP。80年代のニューウェイブをリアルタイムに通過した世代。「母子受精」を担当。
kihirohito ヒカシューの「うわさの人類」をジャケ買いしたんです。太田螢一さんがジャケットを描いていたアルバムですね。東京ロッカーズ周りも含めて聴いていたんですが、その頃のヒカシューはハルメンズの泉水敏郎さんがドラムなんですね。それで「20世紀」も聴きましたね。
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うわさの人類(紙ジャケット仕様) |
―― じゃあリアルタイム世代ですね。
kihirohito そうですね。でも、もう「20世紀」が出た頃には、バンドとしてはほぼ活動していなかったはずで。だからギリギリですね。
―― 一曲しかやってませんけど、kihirohitoさんも忙しかったんですか?
kihirohito ははは、そうですね。当時、並行してアーバンギャルドとのコラボ(アルバム「ソワカちゃんとアーバンギャルド」)を作っていたんですけど、そこのボーカルのヨコたん(浜崎容子)のウイスパーボイスのあの感じをやってみよう……と思ったら、あんな感じに。
★耳ロボP | 34歳。無償頒布されている歌声合成ソフト「UTAU」で、「オリジナル楽曲を中心に制作。実は80年代のニューウェイブ好き。「キネマの夜」「アニメイション」「ツイッギー・ツイッギー」を担当。
耳ロボP 僕はもともとP-MODELとかムーンライダーズが好きだったんです。それで鈴木慶一さんがらみで、ハルメンズの名前が出てきたりして。10年くらい前に「近代体操」を買って、一時期そればかり聴いていました。
―― 選曲の理由を教えてください。
耳ロボP 一枚のアルバムって1時間くらいあるじゃないですか。1時間同じ曲調だと飽きてしまうので、途中にインストが入ったり、テンポの違う曲が入ったり。他と色の違うものがあったほうが、僕は好きなんですね。それで選曲候補として挙がっていたものを見て、「キネマの夜」があったほうがバランスがいいかなと思ったんです。
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ハルメンズの近代体操+8 |
―― 全体の構成を考えてということですね。
耳ロボP そうですね。展開に広がりを持たせるために。たぶん「母子受精」で第一部が終わって、いったん休憩に入って、それで「アンドロイドの女」に行けたらいいなあ、と。
―― 耳ロボPは「UTAU」の人で、今までボーカロイドを使った曲はなかったと思うんですが。
耳ロボP 1曲だけ初音ミクを使った曲があるんですが、それは体験版でした。
―― じゃあ買ったんですか。
耳ロボP このために、ということではないですが。CDの作品としてボーカロイドの曲を出すということでは、これが初めてですね。
★デッドボールP | 25歳。プログレに影響を受けた複雑な楽曲構成と、妙な意味に取れなくもないスレスレの歌詞で攻めるボーカロイドP。「暗いところへ」「私ヤヨ」を担当。
デP オヤジがプログレ世代で、ピンクフロイドなりジェネシスなりを聴いて育ってきたんですけど、78年から81年あたりの音楽を漁っているうちに、P-MODELなりサエキけんぞうなりに出会う、という感じですね。ハルメンズはCDを持っている程度だったんですが、つい最近、ニコ生の番組でサエキけんぞうさんとご一緒することがあって(リンク)。それで参加することになった、という流れです。
―― デPのこの2曲は、ちょっとマニアックなところじゃないですか?
デP まあハルメンズのエッチなところをやったということですよね。
―― あ、なるほど。でもざっと聴いたところ、エッチ感は強調されていない気がしたんですけど。
デP 原曲に忠実にやらせてもらったので。ただアルバムとは別にリミックスバージョンを作ったんです。あるチェーン店で買うとオマケについてきたらしいんですが、サエキさんに「何でもいいから好きなように。エロエロにしてください」と言われました。ニコ動にも上がってますけどね。
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