会場に着くなり、あまりの非現実的な光景に、自分がいったい何処に来たのか分からなくなるほどだった。
プロジェクタースクリーンにはKORG DS-10のロゴが投影されており、その前では二人のお姉さんたちが元気に跳ね回っている。会場内のいたるところにバルーンアートが貼り付けられていて、DS-10をBGMに使ったレクリエーションゲームが行なわれていた。
ゲームが終わると、お姉さんの一人が手元のDSを「ピンポーン」と鳴らし「この音が鳴ったら前見てねー!」と言いながら、プロジェクターを指す。
「さあーっ、みんなのDSに、鍵盤の画面は出たかなー?」
これから子ども達を相手に、DS-10を使ったシンセサイザーの講習が始まるのだ。これは世界的に見ても非常に珍しいイベントだ。
この「神奈川子ども会 DS-10キャラバン!」と銘打たれたイベントは、DS-10の販売元であるAQインタラクティブの協力により、6月27日、神奈川県伊勢原市青少年教育センターで行なわれた。集まったのは、事前の募集に応じた30名。その大半は小学生だ。
スタッフは全員おそろいのTシャツを着ていて、背中には「神奈川子ども会 DS-10キャラバン!」とプリントされている。イベントの進行にしても、子どもを飽きさせない様々な工夫がされていて、よく準備されていることが分かる。
スタッフの中には昨年の公式イベント「KORG DS-10 EXPO in TOKYO 2008」の出演者としておなじみの、すっとこどっこい氏、Denkitribe氏、ヨナオケイシ氏、Koishistyle氏らもいた。彼らは「DS-10オールスターズ」と呼ばれ、子供たちに手取り足取りシンセを教える優しいセンセイ役として参加している。
DS-10の開発プロデューサーである佐野信義氏は、かねてから「子供にシンセを教えたい!」「学校の教室を電子音で満たしたい!」と周囲に漏らしていたが、それがついに実現したわけだ。
画面が切り替わるたびに「うわーっ、コンピューターみたいの出てきたー!」「爆弾みたいなのがいっぱいあるー!」という、予想外のリアクションが子ども達から返ってくると、佐野氏も腹を抱えて笑っていた。
