NVIDIAは3月26日(北米時間)、DirectX 11対応GPU「GeForce GTX 480/470」を発表した。GeForce GTX 480/470の開発コードネームは「GF100」であり、新世代のFermiアーキテクチャに基づく製品となる。
従来のGeForce GTX 2xxシリーズは、Teslaアーキテクチャに基づいていたが、DirectXへの対応は10.0止まりであり、Windows 7で標準サポートされたDirect X11の新機能を利用することはできなかった。NVIDIAのライバルであるAMDは、NVIDIAに先駆け、2009年9月23日に世界初のDirectX 11対応GPU「Radeon HD 5870/5850」を発表。その後も、「Radeon HD 5970/5830/5770/5750」や「Radeon HD 5670/5570/5450」と、DirectX 11対応GPUを次々と投入し、現在では、エントリー向けからハイエンド製品まで、DirectX 11対応GPUの製品ラインナップが完成している。
今回発表されたGeForce GTX 480/470は、NVIDIA初のDirectX 11対応GPUである。Radeon HD 5870/5850から約半年遅れての登場となったが、Radeon HD 5870を遙かに上回る性能を実現しており、まさに史上最強GPUと呼ぶにふさわしい製品だ。
GeForce GTX 285の2倍のCUDAコアを搭載
それではまず、GeForce GTX 480のスペックを見ていこう。旧世代のハイエンドモデル「GeForce GTX 285」およびDirectX 11対応のAMD製GPUのハイエンドモデル「Radeon HD 5870」とあわせてスペック表を作成したので、比べてみたい。
各ビデオカードの比較表 | |||
---|---|---|---|
GPU | GeForce GTX 480 | GeForce GTX 285 | Radeon HD 5870 |
コードネーム | GF100 | GT200b | RV870 |
トランジスタ数 | 30億 | 14億 | 21億5000万 |
プロセスルール | 40nm | 55nm | 40nm |
シェーダバージョン | 5.0 | 4.0 | 5.0 |
DirectX対応 | 11 | 10.0 | 11 |
シェーダ/ストリーミングプロセッサ数 | 480基 | 240基 | 1600基 |
テクスチャ ユニット数 |
60基 | 80基 | 80基 |
ROPユニット数 | 48基 | 32基 | 32基 |
コアクロック | 700MHz | 648MHz | 850MHz |
シェーダクロック | 1401MHz | 1476MHz | 850MHz |
メモリクロック | 3696MHz相当 | 2484MHz相当 | 4.8GHz相当 |
メモリ種別 | GDDR5 | GDDR3 | GDDR5 |
メモリインターフェイス | 384bit | 512bit | 256bit |
メモリ容量 | 1536MB | 1GB | 1GB |
PCI Expressタイプ | 2.0 | 2.0 | 2.0 |
PCIe電源タイプ | 6ピン×1+8ピン×1 | 6ピン×2 | 6ピン×2 |
消費電力 | 250W | 183W | 188W |
実売価格 | 499ドル | 3万5000円前後 | 4万5000円前後 |
GeForce GTX 480とGeForce GTX 285を比較すると、まず、プロセスルールが55nmから40nmにシュリンクされており、トランジスタ数は14億から30億へと2倍以上に増えていることがわかる。NVIDIAは最近、シェーダ/ストリーミングプロセッサのことを、CUDAコアと呼んでいるが、CUDAコアの数は、GeForce GTX 285の240基からGeForce GTX 480では480基へと倍増している。GPU性能はCUDAコアの数によって左右されるので、CUDAコアが倍増したGeForce GTX 480は、GeForce GTX 285に比べて遙かに高い性能が期待できる。
テクスチャユニット数は、GeForce GTX 285の80基よりも20基少ない60基となっているが、GeForce GTX 480では、テクスチャユニットがCUDAコアの集合体であるストリーミングマルチプロセッサ内部に移動しており、コアクロックより高いシェーダクロックで動作するため、テクスチャユニットのトータルピーク性能は、GeForce GTX 285と同等であり、L2キャッシュ容量が増えていることから、実効的なテクスチャ性能はGeForce GTX 285を上回る。
ROPユニット数は、GeForce GTX 285の32基から16基増え、48基となっている。コアクロックは700MHzで、GeForce GTX 285の648MHzに比べて52MHz向上しているが、シェーダクロックは1476MHzから1401MHzと、75MHz低くなっている。メモリインターフェイスも、GeForce 285 GTXとは大きく変わっており、バス幅が512bitから384bitへと狭くなったが、対応メモリがGDDR3からGDDR5に変更になり、メモリクロックが2484MHz相当から3696MHz相当へ向上したため、メモリの帯域幅は159GB/sから177.4GB/sへと向上している。また、ビデオメモリ容量も1GBから1536MB(1.5GB)へと増えた。
GeForce GTX 480は、GeForce GTX 285に比べて、多くの面で強化されていることがわかる。なお、Radeon HD 5870との比較では、シェーダ/ストリーミングプロセッサの数が1/3以下だが、アーキテクチャが全く異なるため、同列に比較することはできない。
(次ページへ続く)

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