NVIDIAは、GeForce GTX 500シリーズの新製品となる「GeForce GTX 560 Ti」を発表した。すでに販売されているGeForce GTX 580/570の下位モデルとなる製品で、2万円台後半のハイミドルに位置する製品となる。今回はこの新GPUのパフォーマンスを見ていこう。
このモデルは型番の後ろに見慣れぬ“Ti”の2文字が追加されている。かつてはGeForce2/3/4シリーズの中でグレード指標として“Ti”が使われていたが、これらの製品が登場したのは2000年~2002年頃。実に9年近い年月を経ての“Ti”復活だ。このときの“Ti”シリーズはミドルレンジ帯全域をカバーしていたが、今回は数字の後ろということでGeForce GTX 560の上位モデルという印象を受ける。今後、“560無印バージョン”や“GeForce GTX 560 LE”のような下位モデルの登場を予感させるネーミングだ。
GF104コア改良版となるGF114コアを採用
GeForce GTX 560 Tiのスペック表を見ると、GeForce GTX 580/570とは明らかに違うことがわかる。GeForce GTX 580/570は32基のCUDAコアで1基のStreaming Multiprocessor(SM)を構成していたが、GeForce GTX 560 Tiは48基のCUDAコアで1SMになっている。つまり、GeForce GTX 560 Tiは、GeForce GTX 580/570のスペックダウン版ではない。
GeForce GTX 560 TiはGF114コアを採用しており、これはGeForce GTX 460のGF104コアに改良を施したものとなる。改良内容がGF100コアからGF110コアになったときと同じようなものであれば、消費電力は大きく削減されていると予想される。外部電源コネクタは6ピン×2構成で、TDPは170W。推奨電源は500W以上とされている。
速度はGeForce GTX 460のクロックから20%ほど引き上げられているので、これが目安となるだろう。なお、GeForce GTX 560 Tiは各社からオーバークロックモデルが数多く登場する予定で、店頭ではオーバークロックモデルが主流となる可能性が高い。今回テストに使用したGAINWARD製OCモデルは動作クロックが定格より約9.5%高い900MHzであったことを記載しておく。
各ビデオカードの比較表 | ||||||||
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GPU | GeForce GTX 580 | GeForce GTX 570 | GeForce GTX 560 Ti | GeForce GTX 480 | GeForce GTX 470 | GeForce GTX 460(1GB) | GeForce GTX 460(768MB) | |
コードネーム | GF110 | GF110 | GF114 | GF100 | GF100 | GF104 | GF104 | |
プロセスルール | 40nm | 40nm | 40nm | 40nm | 40nm | 40nm | 40nm | |
シェーダバージョン | 5.0 | 5.0 | 5.0 | 5.0 | 5.0 | 5.0 | 5.0 | |
DirectX対応 | 11 | 11 | 11 | 11 | 11 | 11 | 11 | |
シェーダ/ストリーミングプロセッサ数 | 512基 | 480基 | 384基 | 480基 | 448基 | 336基 | 336基 | |
テクスチャ ユニット数 |
64基 | 60基 | 64基 | 60基 | 56基 | 56基 | 56基 | |
ROPユニット数 | 48基 | 48基 | 32基 | 48基 | 40基 | 32基 | 24基 | |
コアクロック | 772MHz | 732MHz | 822MHz | 700MHz | 607MHz | 675MHz | 675MHz | |
シェーダクロック | 1544MHz | 1464MHz | 1644MHz | 1401MHz | 1215MHz | 1350MHz | 1350MHz | |
メモリクロック | 4008MHz相当 | 3800MHz相当 | 4008MHz相当 | 3696MHz相当 | 3348MHz相当 | 3600MHz相当 | 3600MHz相当 | |
メモリ種別 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | |
メモリインターフェイス | 384bit | 320bit | 256bit | 384bit | 320bit | 256bit | 192bit | |
メモリ容量 | 1536MB | 1280MB | 1024MB | 1536MB | 1280MB | 1024MB | 768MB | |
PCI Expressタイプ | 2.0 | 2.0 | 2.0 | 2.0 | 2.0 | 2.0 | 2.0 | |
PCI-E電源タイプ | 6ピン+8ピン | 6ピン+6ピン | 6ピン+6ピン | 6ピン+8ピン | 6ピン+6ピン | 6ピン+6ピン | 6ピン+6ピン | |
消費電力 | 244W | 219W | 170W | 250W | 215W | 160W | 150W | |
市場価格 | 5万3000円前後 | 3万6000円前後 | 2万8000円前後 | 4万5000円前後 | 2万6000円前後 | 1万7000円前後 | 1万3000円前後 |
オーバークロックモデルも用意した
ベンチマーク環境
ベンチマークテストはノーマルモデル(コアクロック822MHz)とオーバークロックモデル(コアクロック900MHz)で行ない、比較用として同価格帯に位置するGeForce GTX 460/470の2枚を用意した(どちらもオーバークロックモデル)。GeForce GTX 560 Tiのドライバは、テスト用に配布された266.56を使用している。
各テストの設定は、3DMark11と3DMark Vantageは各プリセット設定のまま、ゲーム系は解像度1920×1080ドット、アンチエイリアスMSAA 4Xでその他はデフォルトを基本とする。
BIOSTAR「TP67XE」
実売価格:1万5800円前後
製品情報:http://www.mvkc.jp/product/biostar/motherboard/lga1155/tp67xe.php
P67チップセットを採用するBIOSTAR製マザーボード「TP67XE」。10フェーズ電源回路搭載ほか、高品質なオーディオ環境をもたらす「THX TruStudio Pro」や、スマートフォンをリモコンとして機能させる「BIO‐Remote2」(写真右)に対応している
GAINWARD「GTX560 TI 1GB GS」
市場想定価格:2万9800円前後(2月中旬発売予定)
テスト環境 | |||
---|---|---|---|
CPU | Intel「Core i7-2600K」 (3.4GHz) |
||
マザーボード | BIOSTAR「TP67XE」(P67 Express) | ||
メモリー | Corsair「TW3X4G1333C9A」(DDR3 PC3-10666 2GB 2枚組) | ||
ビデオカード | GAINWARD「GTX560 TI 1GB GS」(GeForce GTX 560 Ti) GeForce GTX 560 Tiリファレンスモデル GALAXY「GF PGTX470-OC/1280D5 FUJIN」(GeForce GTX 470) GALAXY「GF PGTX460SuperOC/1GD5 FUJIN 2.0」(GeForce GTX 460) |
||
HDD | Seagate「ST3160812AS」(160GB) | ||
電源 | Thermaltake「Toughpower QFan 650W」(650W) | ||
OS | Windows 7 Ultimate(32bit) | ||
グラフィックドライバ | GeForce Driver 266.56(GeForce GTX 560 Ti専用) GeForce Driver 266.58(GeForce GTX 470/460) |
(次ページへ続く)

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