2009年10月22日に、いよいよ待望とも言えるWindows 7の一般販売が始まる。このタイミングに合わせてNVIDIAは、新たなゲーム体験を提案している。それが“Power of 3”だ。Power of 3とは、NVIDIAのGPU、Core i5、そしてIntel P55 Express(以下、P55)搭載マザーボードを組み合わせることで、ゲームパフォーマンスの向上とコストパフォーマンスを両立するというものだ。
具体的には Intel X58 Express(以下、X58)を使ったシステムと比べて、という意味が含まれるが、その要因としてメモリ増設単位が3枚となる点が挙げられる。もちろんパフォーマンスの面ではトリプルチャネルとなるX58の方が大いに有利なのは言うまでもない。それでも、NVIDIAがPower of 3と称してX58ではなく、P55を推す理由、それはX58と同程度のパフォーマンスを、より安価に構築できるからだ。
Power of 3を推す理由の一つとして、NVIDIAはSLI以外のファクター、PhysXを挙げている。PhysX SLIは、ミラーズエッジのテスト時にも言及している通り、異なる2枚のビデオカードを使用して、片方をPhysX専用に割り当てることで、PhysX対応タイトルのパフォーマンスを底上げすることができるというものだ。あれから半年が過ぎ、ドライバの熟成も進みPhysXそのもののパフォーマンスが向上している。
また、PhysX対応タイトルでは、PhysX SLIにすることで、さらなるパフォーマンスアップが手軽に可能となる。前述したように異なるビデオカードの組合せで安価にパワーアップが図れるほか、ミドルレンジクラスの同じビデオカードを2枚用意し、通常のSLIと、PhysX SLIを切り替えて、ゲームタイトルによってパフォーマンスの高い組合せで遊ぶといった、選択肢の広さもNVIDIA製ビデオカードの優位な点となる。
なお、PhysXのパフォーマンスと直接関係ないが、Windows Vistaに比べ、ゲームパフォーマンスが向上するWindows 7を使うことで、よりその効果を体感することができるだろう。
また初期のPhysXでは、ゲーム側の問題で、あらかじめ用意されたシナリオに沿って物理演算がされることが多かった。対応タイトルも少なく、PhysXの効果も限定的だ。しかし、最近登場したPhysX対応タイトルは、かなり柔軟にPhysXを活用している。例えばすでに海外で発売された「BATMAN Arkham Asylum」(以下、バットマン)は、飛散するタイルや敵の倒れ方、フォグの動きがプレイするごとに変わる、つまりキャラクタの動きに応じてリアルタイムに演出されるといった作りこみがされている。
その一方で、PhysX対応タイトルも徐々に増えつつある。前述のミラーズエッジや、バットマンのほか、「Darkest of Days」、「Dark Void」、「Sacred 2 - Fallen Angel」、「Cryostasis」といったタイトルなどが登場している。
(次ページへ続く)

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