アジア最大のコンピュータ機器見本市「COMPUTEX TAIPEI 2010」が、台湾台北市で1日から開催される。それに先立つ31日に、米NVIDIA社が同社CEOのジェン・スン・ファン(Jen-Hsun Huang)氏による記者説明会を開催。3D映像やDX11世代 GPUをアピールした。
DX11世代のFermiで
シネマクオリティーのポリゴン数を実現
今回の説明会の中心だったのは、今をときめく3D映像であるが、それを実現するキーアイテムとして重要なのが、最新のDirectX 11世代GPUだ。2010年3月に登場したGeForce GTX 480/470などの「Fermi」アーキテクチャー世代のGPUについてファン氏は、テセレーション機能による膨大なポリゴン数を処理する能力を強くアピールした。テセレーションとは簡単に言えば、少ないポリゴンで形作られたオブジェクトのポリゴンを細かく分割して、より複雑な形状を作り出す技術である。
ファン氏によると、2002年登場のGeForce4 Ti4600から2008年登場のGeForce GTX 285まで、シェーダー性能の高い伸び率と比べると、ポリゴン表示能力の方はゆっくりとしか進化していなかったという。それに対してFermi世代のGTX 480では、テセレーションにより10倍ものポリゴンを表示できるようになり、CG映画並みの映像を実現可能になったとしている。
テセレーション自体は以前からある技術ではあるが、DirectX 11に導入されたことにより、アプリケーション開発者にとって使いやすい技術となったことが大きい。今後のDirectX 11対応ゲームでの利用が期待されるし、対応ゲームのグラフィック品質を大きく向上させるだろう。
また、ファン氏の講演ではなぜか名前がでなかったが、GTX 400シリーズのミドルレンジGPUとして、GeForce GTX 465が新たに発表されている。279ドル(約2万5500円)の価格を狙ったGPUで、GTX 480から27%ほどCUDAコア(GPU内部の演算ユニット)を減らした形の製品となっている。動作クロックはGTX 470と同等だが、メモリーインターフェースは256bitに削減。DirectX 11対応や3D映像表示対応といった機能面では、GTX 480/470と遜色ない。40nmプロセスで製造され、TDPは約200W。GTX 480/470よりは減っているとはいえ、消費電力だけはまだハイエンド並みと言えそうだ。
3D Start Here! 3D PCの時代がやってくる!?
なんと言っても今年のNVIDIAの目玉は、同社の3D映像表示技術「3D Vision」と対応パソコンだろう。NVIDIAは早くから、GPUと120Hz表示対応液晶ディスプレー、アクティブシャッター方式の3D眼鏡を組み合わせた3D映像表示に積極的に取り組んでおり、単体の対応液晶ディスプレーだけでなく、3D Vision対応のディスプレーを組み込んだノートパソコンも、台湾ASUSTeKから発売されている(関連記事)。それら「3D PC」が製品として多数登場するのが、今年というわけだ。
説明会では、パソコンメーカーからASUSTeK社CEOのジェリー・シェン(Jerry Shen)氏、ソフトウェアメーカーからは台湾CyberLink社CEOのアリス・チャン(Alice H.Chang)氏が登壇し、3D Vision対応製品をアピールした。
特に対応パソコンでリードするASUSTeKでは、ノートパソコン型だけでなく、液晶ディスプレー一体型デスクトップ「EeeTOP All-in-One ET2400PC」を発表。さらに、液晶ディスプレーを3枚横に並べて表示する「NVIDIA 3D Vision Surround」に対応するシステム「ASUS CG5390」を実演するなど、積極的な製品展開を見せている。
また、会場のデモショーケースでは、日本未発表の東芝製3D Vision対応ノートも出展されていた。自由に触れないようになっていため、詳細等は一切不明だが、筐体は既存のdynabook Qosmio Vと似たデザインをしていた。日本での発表が期待される。
パソコンでの3D映像といえば、3D VisionでのゲームやBlu-ray 3Dが話題の中心だが、ストリーミングビデオの3D化も進められつつある。マイクロソフトはRIA(リッチインターネットアプリケーション)プラグイン「Silverlight」で、3D Visionに対応することを表明。説明会では世界初公開となる「We Are the World 25 for Haiti」の3D版を会場で披露した。
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