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あのクルマに乗りたい! 話題のクルマ試乗レポ第560回

俺たちの未来は廃油にかかっている!? 次世代エコ燃料「サステオ」は軽油と水素化植物油でCO2排出を半分にする

文●鈴木ケンイチ 編集●ASCII

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 8月下旬に、マツダとユーグレナ、平野石油、いすゞによる法人向けの「次世代バイオディーゼル体験会」が実施されました。どのようなイベントであり、どんな狙いがあったのかを紹介します。

左より、いすゞの古川氏、平野石油の平野氏、経済産業省の東氏、ユーグレナの新田氏、マツダの小島氏

軽油に替わるCN(カーボンニュートラル)燃料

 マツダとユーグレナ、平野石油、いすゞによる、次世代バイオディーゼル体験会ですが、これはユーグレナが製造・販売するバイオディーゼル燃料「サステオ」を使って、マツダといすゞのディーゼル・エンジン車を社用車で走らせれば、企業としてのCO2排出量を減らせるということをアピールするものです。

 サステオは、ミドリムシや植物油由来の廃油から作られるHVO(水素化植物油)を軽油に51%混ぜたものです。HVOだけならば、実質CO2排出ゼロのいわゆるCN(カーボンニュートラル)燃料となりますが、現行の法規・税制にあわせて、サステオは軽油との51%混合になっています。

軽油やサステオなど、実際の燃料そのものも会場では展示されていた。サステオは、軽油よりも透明度が高いようだ

 サステオの特徴は、軽油と同等の性能を持っており、従来のディーゼル・エンジン車に軽油代わりにそのまま使えることです。この特性は「ドロップイン」と呼ばれます。そのため普段使う軽油を、サステオに替えるだけで、簡単にCO2排出量を約半分に減らすことができるのです。ちなみに、現在のサステオの販売価格は、軽油の3倍程度で、将来的には2倍程度を目指すそうです。

 そして、平野石油はサステオを給油するための簡易給油機を開発、販売しています。

 つまり、今回の主催である4社の関係は、ユーグレナで作った次世代バイオディーゼルを平野石油の給油機で給油し、マツダといすゞのディーゼル・エンジン車で走るという取り組みなのです。

イベントが開催された開場前には、実際の車両や簡易給油機などが展示されていた

国を挙げて次世代燃料を導入していく!

 イベントで最初にプレゼンを行ったのは、経済産業省資源エネルギー庁資源・燃料部燃料供給基盤整備課の東 哲也氏です。東氏は「日本の道路交通部門における基本戦略はマルチパスウェイ戦略である」と説明します。日本はEV/FCV(燃料電池車)だけでなく、バイオ燃料や合成燃料といった持続可能燃料を使うHEV(ハイブリッド)なども組み合わせて、交通部門のCNを目指していくというのです。

 次世代のCNといえば、「電気や水素などを燃料に」と考えがちですが、東氏は「エネルギー密度の高い液体燃料は重要だ」と強調します。実際に、EVやFCVが普及しても、一定数のガソリン・エンジン車が残るため、ガソリンのCN化が重要だというのです。

 そのため国としては、ガソリン代替となる合成燃料(e-fuel)の商用化に向けたロードマップを策定・公表しています。それには2030~2034年の合成燃料商用化、2035年~39年の生産量拡大とあります。2030年代前半での商用化を目指すのが方針です。

 同様に、ガソリン代替のバイオエタノールに関しては、2030年度までに最大濃度10%の低炭素ガソリン(E10)の供給開始を目指し、2040年度からは、最大濃度20%(E20)の供給を開始する方針です。一方、新車メーカーに対しては、2030年代のなるべく早い時点での、新車販売におけるE20対応車の比率100%を求めるそうです。

 そして軽油代替のバイオディーゼルは、航空機燃料であるSAFの連産品としてHVO生産を期待しており、規格や税制上の取り扱いを検討する必要があると述べていました。

使うところでのCO2排出量削減が重要に

 続いて登壇したのはマツダの専務執行役員兼CSO(最高戦略責任者)でカーボンニュートラル推進統括補佐の小島岳二氏です。小島氏は、企業に求められるCO2排出量の情報開示がより厳格化され、スコープ3(サプライチェーン全体)まで及んでくることを指摘します。特にクルマに関して言えば、製造時よりも、運用時の「クルマを使う」際のCO2排出量が多いため、サプライチェーン全体での連携した取り組みが必要であると説明します。

 そして、いくつかある次世代のCN燃料のうち、HVOはグローバルでの量産化や利用が進展しており、「今すぐにCO2削減が可能な燃料」であると強調しました。そして、マツダ車を使った試算によると、HVOを使用することで、従来のディーゼル車だけでなく、EVよりもCO2排出が少ないというのです。また、経済性でも5年のリース契約で比較すると、HVOの価格が軽油の2~3倍であってもEVよりも安価になるそうです。

 そしてマツダは、ユーグレナ、平野石油、三井住友銀行と組んで、2025年4月より、サステオを使った運用を開始。CO2削減だけでなくBCP(災害などの非常時も事業を継続させる)対策の2つを狙うモデルを生み出しています。

バイオ燃料の普及に向けたユーグレナの取り組み

 続いての登壇は、サステオを製造販売するユーグレナの上席執行役員カンパニー長の新田直氏でした。新田氏は、ユーグレナの紹介に始まり、日本でのバイオ燃料普及の遅れ、そしてバイオ燃料そのものの説明、そして社会実装に向けての取り組みを説明しました。

 ユーグレナは、「Sustainability First」を経営哲学に「人と地球を健康にする」をパーパス(存在意義)とする企業です。ミドリムシを使ったバイオマスで、食物や繊維、燃料まで幅広い領域で事業を展開しています。緑色のネクタイをした社長が特に有名です。

 そのユーグレナが提供する次世代バイオディーゼル燃料がサステオとなります。ミドリムシや植物油由来の廃油から作られたHVO(水素化植物油)を軽油に51%配合したもので、軽油規格に適合しているのが特徴です。ちなみに実証製造ではミドリムシを使用していましたが、コスト低減のために現在は廃油を使用しているとか。

 また現在、マレーシアにおいて大規模な商業プラントを建設中であり、完成後は年間約10万キロリットルのバイオ燃料を日本に供給する計画だそうです。当初は廃油由来で製造しますが、将来的には微細藻類などのバイオマス原料の使用も目指しているそうです。

次世代バイオディーゼル燃料と平野石油の簡易給油機

 平野石油は代表取締役の平野賢一郎氏が登壇し、平野石油の紹介と、サステオと簡易給油機を使った脱炭素とBCP対策の提案が行なわれました。

平野石油のサステオ用の簡易給油機。貯蔵量が小さいため、普通の地下駐車場にも設置が可能だという

 平野石油は、1都1府8県、全国21の営業所を持つ燃料配送の会社です。提携会社を通じて、日本全国に燃料を配送することが可能です。そんな平野石油は、これまで東日本大震災をはじめ、全国各地の災害地への燃料搬送を実施してきた経験があります。そうした経験から、燃料として軽油は、ガソリンよりも扱いやすく、車両だけでなく発電機にも使えるなど汎用性が高いため、災害時に有用な燃料だと言います。

 そんな軽油を、より手軽に扱うために平野石油は、190リッターの次世代バイオディーゼル燃料のための簡易給油機を開発しました。これは容量が小さいため、消防法の規制外となり、普通のビルの地下駐車場などにも設置が可能となります。

 そして、平野石油としては、次世代バイオディーゼル燃料のサステオと簡易給油機をセットで使うことで、“脱炭素”と“BCP対策(災害時の事業継続)”に役立てることを提案しました。簡易給油機に備えたサステオを、平時は社用車の燃料に使って脱炭素とし、有事の際はBCP対策の緊急用の燃料として利用しようというものです。まさに一石二鳥を実現する施策となります。

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