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あのクルマに乗りたい! 話題のクルマ試乗レポ第560回

俺たちの未来は廃油にかかっている!? 次世代エコ燃料「サステオ」は軽油と水素化植物油でCO2排出を半分にする

文●鈴木ケンイチ 編集●ASCII

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バイオディーゼル燃料でのCO2削減を実現する
マツダのエンジン

 平野石油に続いて、再びマツダのプレゼンが行なわれました。今度のプレゼンターはパワートレイン開発本部エンジン性能開発部首席エンジニアの志茂大輔氏です。志茂氏は、主に次世代バイオディーゼル燃料を使う、マツダのディーゼル・エンジンである「e-SKYACTIV D3.3」の説明をしました。

サステオにあわせてエンジンが調整されているというマツダの「CX-60」と「CX-80」

 「e-SKYACTIV D3.3」は、マツダの「CX-60」と「CX-80」に搭載される、3.3リッターの直列6気筒ディーゼル・エンジンです。燃焼理想化を追求した2段エッグ燃焼室や、従来モデルからの排気量拡大、マイルドハイブリッド化などにより、走るよろこびの向上と、抜群の燃費・環境性能を実現しています。従来の2.2リッター・ディーゼルと比較すると、27%も燃費を改善しています。

 その「e-SKYACTIV D3.3」は、次世代バイオディーゼル燃料となるHVOのサステオに対して、しっかりとした性能調整がなされており、そのまま燃料タンクに入れて使える、いわゆるドロップインが実現しています。そして、HVOを50%ブレンドした混合軽油燃料と「e-SKYACTIV D3.3」を組み合わせると、車両のライフサイクルを通じての大幅なCO2削減が可能であり、そのポテンシャルは日本の現状での電源構成のEVをもしのぐというのです。

商用車のCN実現に向けたいすゞの取り組み

 マツダに続いたのがいすゞ自動車の執行役員SVP渉外担当の古川和成氏です。商用車メーカーであるいすゞの古川氏は「商用車は、働ける、環境に優しい、事業者に優しい(経済合理性)が必要」だと説明します。そのため商用車のCN(カーボンニュートラル)は、マルチパスウェイでの対応が必要だと強調します。そして、そのひとつの方策がCN燃料だというのです。

いすゞでは2014年からユーグレナと共同でバイオディーゼル燃料を開発してきた歴史がある

 そんな、いすゞは2014年からユーグレナと次世代バイオディーゼル燃料の共同研究をしてきました。いすゞの工場内でのバスの実証走行を2014年からスタートし、2024年10月からはHVO51%混合燃料での通勤バスへの使用を開始。2025年3月には、ユーグレナが統括するいすゞを含む9社合同の東京都の社会実装事業も採択され、HVOの普及促進に向けて活動していると説明しました。

次世代バイオディーゼル燃料を導入した
三井住友ファイナンシャルグループ

 プレゼンの最後に登壇したのが三井住友ファイナンシャルグループの執行役員グループチーフ・サスティナビリティ・オフィサーの高梨雅之氏です。三井住友ファイナンシャルグループは「自社のGHG排出量削減の取り組みとして2030年度までの国内営業車の100%環境配慮車化を目指している」と説明。ただし、「EV導入は充電設備設置場所の制約があり、FCVも水素ステーションが少ないということもあり、バイオディーゼル燃料を使うディーゼル車は、極めて重要な選択肢である」と考えているとか。

 また、次世代バイオディーゼル燃料はガソリンと比べて、運搬・管理が容易で、BCP対応の点でも有用と見ているそうです。

 そうしたこともあり、三井住友ファイナンシャルグループは、2025年4月にメガバンクとして初となる次世代バイオディーゼル車(マツダ「CX-80」)を社用車として導入しました。プレゼンでは「導入のネックは、高コストであると認識しつつも、金融機関の広いネットワークと影響力を生かし、社会的価値の高いバイオ燃料の普及に貢献してまいりたい」と語りました。

会場の周辺でサステオを体感した
大きな課題は残るが未来への道筋は感じた

 会場内でのプレゼン終了後には試乗会が行われました。HVO51%配合のバイオディーゼル燃料であるサステオを給油したマツダ「CX-60」を走らせるというもの。実際のところ、サステオは軽油代替として開発されており、「CX-60」のディーゼル・エンジンもサステオ利用のための調整が行なわれています。そのため走らせてみれば、これまで試乗した「CX-60」とまったく変わりはありません。走行性能と走行フィールそのままで、CO2排出をHVO配合分だけ減らせるというのが、バイオディーゼル燃料の最大のメリットでしょう。

サステオを給油したマツダの「CX-60」での試乗が行なわれた。走行フィーリングの違和感は、まったく感じられなかった

 ただし、課題はまだまだ山積みです。サステオの価格は現在のところ軽油の3倍程度であり、将来的にも2倍程度にしか価格低減ができそうにないというのです。それ以上の低価格化は、さらなる技術開発が必要だとか。また、現状では生産量が少ないため、販売はごく限られた法人向けだけという状況です。誰もが気軽に利用できるわけではありません。

 価格低減と、量産化という大きな課題が残っているのです。それでも、今あるエンジン車をそのままにCNの道筋が見えてきたというのは、まさに朗報です。さらなる技術の進歩に期待したいと思います。

筆者紹介:鈴木ケンイチ

 

 1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。

 最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)。


 
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