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あのクルマに乗りたい! 話題のクルマ試乗レポ第556回

スマホマニアがEVのBYD「SEAL」を購入! スマホライター目線で○と×をガチレビュー

文●はやぽん 編集●ASCII

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ガジェット充電し放題! 車内の電源性能は充実

 SEALのもう1つの特徴は、電気自動車らしい大容量のバッテリーを活かし、最大6台のスマホやタブレットを同時充電できる電源供給性能だ。USB Type-CとType-A端子を前席・後席それぞれに1つずつ、計4ポートを備えるほか、Qi規格15Wのワイヤレス充電パッドも搭載。助手席側のType-Cは60W PD対応でノートPCも充電可能だ。

車内で多くのデバイスを充電できる。多人数で乗り込んでも電源には困らない

最大60Wの出力でノートパソコンも問題なく充電できる

ワイヤレス充電パッドは2台分を用意

 ただし、最新世代車種では50W級ワイヤレス充電や全ポートType-C化、後席含む60W級の高出力対応が一般化しており、この点でもSEALはやや世代差を感じる。車種によってはV2L(Vehicle to Load、EVのバッテリーを外で使う)アダプターを必要とせず、車内に備えたコンセントから電気を取り出せるものもあり、この点でもやや劣る印象は否めない。

SEALION 7は50Wの急速ワイヤレス充電に対応。これにはXiaomi 15 Ultraなどが対応しており、現時点で日本で唯一の急速ワイヤレス対応車両だという

ヒョンデのIONIQ 5(2024)は、ワイヤレス充電パッド含めて最大7台のスマートフォンを充電できる。後部座席には1300Wまで対応のACコンセントも備える

走行性能と装備も充実だが
走りを楽しむ要素は薄い

 SEALは高い走行性能を持ち合わせる。AWDモデルは0-100km/h加速3.8秒、最高出力527psを誇り、高速道路でも余裕の走行が可能。車重2210kgと重量級ながら、ハンドリングは軽快で日常走行に不満はない。峠道やウェット路面では重さを意識する場面もあったが、総合的な走行性能、クルマとしての安定感は高いと感じた。

 内装は価格以上の質感を備え、本革電動シート(メモリー機能付き)、DYNAUDIO監修オーディオ、空気清浄機能、ベンチレーション(シートを冷やす機能)など、価格を超えた装備が標準搭載。

 走行面では加減速から停車まで全自動の前車速追従クルーズコントロール、レーンアシスト、緊急ブレーキを備える。このほか、運転席のHUDや全周囲カメラ、幼児置き去り防止検知機能なども装備する。

運転席の質感は価格を考えればかなり良好。後部座席も広々としている

 充電性能も現時点ではCHAdeMO規格で105kWの受け入れに対応。バッテリーに冷却機構を搭載しているため、炎天下でも熱落ちすることなく急速充電ができた。バッテリー容量も82.56kWhと大容量で、電費的に不利なAWD仕様でもWLTC値で575kmの航続距離も魅力。

 筆者も実走してみたところ、新潟~大阪間往復の1200kmは休憩ついでに15分程度の急速充電でカバーでき、新潟ー仙台往復の530kmは無充電で走行できたので、航続性能はかなり優秀だ。

 一方で、「車を操る楽しさ」といった感覚を刺激する要素はあまり備えていない。SEAL自体がコンフォートセダンに近い側面があることに加え、中国市場では新エネルギー車=自動運転を始めとした機能が求められていることも理由と考える。

 中国では人間が運転して楽しい車両よりも、自動運転で安全かつ、快適に移動できる車両のほうが求められている。これは普及価格の車両にとどまらず、電動スーパーカーのYANGWANG(仰望) U9やXiaomi SU7 Ultraのような、驚異的な走行性能を持つ車両も例外ではない。

 サーキット走行にも耐える性能を持つクルマでも、「走り」に重要な車両の軽量化よりも、先進運転支援機能のほうが求められているのだ。

0−100km加速1.98秒、最高速度350km/hという驚異的な性能を持つXiaomi SU7 Ultraでも先進運転支援機能や各種インフォテインメントは標準で備えている

【まとめ】中華スマホっぽい圧倒的コスパのBYD製EV

 SEALは初回割引で495万円から、補助金を活用すれば地域によっては実質300万円台で購入も狙える。SEALに限らず、日本向けの車両はすべて中国での最上位グレードが投入されているため、性能・装備・質感の総合力は価格以上。そして、車両としてのコストパフォーマンスも良好だ。

 スマートフォンに例えると「10万円を超えるGalaxy Sシリーズの性能・機能・質感を、5万円ほどのPOCO F7の価格で手に入れる」感覚だ。まさに高いコストパフォーマンスを得意とする中国メーカーの真骨頂ともいえる1台である。

 一方で、ソフトウェアアップデートの提供頻度の少なさ、遅さは否めない。実際、SEALも発売から1年が経過してインフォテイメントのアップデートが1回のみ、車両アップデートは未提供という、スマートカーとしてはソフトウェアアップデートがほとんど行なわれていない状態なのだ。

 自動車はスマートフォンと比較したら長いスパンで利用するものだが、インフォテインメント、車両ともに機能改善のアップデートは、中国と同じく半年から1年に1度はしてほしい。

 現在、BYDは日本市場にREEVの新型車両ならびに軽EVの投入を予告している。スマートフォン同様に納得の性能、質感を備えつつ、日本の事情に沿ったローカライズされた製品を展開できれば、自然と注目度は高まると考える。

 すでに正規ディーラーは全国に50店舗以上、提携整備拠点も拡充させており、日本でも本気でクルマを売りにきているBYD。今後の動向にも目を離せない。

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