メルマガはこちらから

PAGE
TOP

「スーッと来た球をガーンと打つ」をロジカルに言語化してくれるAIがある

特集
未来を変える科学技術を追え!大学発の地味推しテック

「なんでこれが伝わらない?」のジレンマ

 「仕事は見て覚えろ」は、もはや時代遅れだ。それは頭ではわかっている。だが実際、部下に教えようとすると、どうもうまく言葉にできない。「なんでこれがわからないの?」と心の中で思ってしまい、結局自分でやったほうが早い……。そんな経験、誰しもあるのではないか。

“天才の勘”を翻訳するAIが登場

 そんな現場の悩みに刺さりそうなのが慶應義塾大学発スタートアップの株式会社アブステックが開発する「バイラテラルAI」だ。ひとことで言うと「天才の勘を、言葉にして教えてくれるAI」。

“体感”をロジカルに言語化する仕組み

 例えば、プロ野球の長嶋茂雄氏が「スーッと来た球をガーンと打つ」と語ったような、経験者にしかわからない“体感”を、このAIが観察・分析し、「こういうときに、どう感じて、なぜこう動くのか」をロジカルに言語化してくれる。いわば“直感の翻訳機”だ。

スキルの可視化で、自分自身の理解も深まる

 これまで感覚的にやっていた作業や判断も、AIを通じて可視化され、「なるほど、そういうことだったのか」と、自分でも理解が深まる。人に説明できなかったコツも、スッと伝わるならうれしい。

バイラテラルAIの特徴

人間と“ともに成長する”AIへ

 「人間の代わりに作業をこなす」ことに特化したAIに対し、バイラテラルAIは「人間の技や思考を学び、ともに成長する」ことに重きを置いているという。人の直感や判断の背景にある“理由”に注目し、それを言語化・構造化していく。つまりこのAIは、人間のスキルを再発見し、深めるための“相棒”でもあるのだ。

AIがつなぐ、職場の見えない壁

 これまで無意識にやっていた作業や判断をAIが言語化してくれることで、「ああ、自分はこんな風に考えて動いていたのか」という気づきにもなる。将来のAIは、単に教えることを助けるだけでなく、人と人のあいだの見えない壁を取り払い、職場の中にやわらかいつながりを生んでくれるかもしれない。

合わせて読みたい編集者オススメ記事

バックナンバー