治療はアプリ、検査は唾液で。 医療はどこまでやさしくなれるのか
「SusHi Tech Tokyo 2026」展示レポート⑤
SusHi Tech Tokyo 2026のヘルステック領域の展示では、装着型サイボーグを展開するCYBERDYNE株式会社の医療用HALや、脳と機械をつなぐBMI(ブレイン・マシン・インターフェース)など、先端医療技術が来場者の目を引いていた。
近年、医療分野では「治療を続けられない」「検査を受けるまでのハードルが高い」といった、医療の“入り口”や“継続”に関する課題に取り組むスタートアップが増えている。本記事では、アプリを使った治療を展開する株式会社CureAppと、唾液によるがんリスク検査を手がける株式会社サリバテックの取り組みに注目する。
診察では見えにくい生活習慣をアプリが支える
CureAppは、スマートフォンアプリを用いたデジタル治療(DTx)を展開するスタートアップ。高血圧、禁煙、減酒など生活習慣に関わる疾患領域で、認知行動療法を活用しながら患者の行動変容を促している。ブースでは、各種治療補助アプリに加え、法人向けプログラム「ascure禁煙」を紹介していた。
例えば高血圧の治療では、患者は月1回程度通院し、その間はアプリが日々の治療をサポートする。血圧データや生活習慣を入力すると、アプリ内のキャラクターが「ラーメンを食べてもいいけれど、スープは半分残しましょう」といった具体的なアドバイスを行う仕組みだ。
こうした仕組みが必要とされる背景には、生活習慣病に関する知識ギャップもある。例えば高血圧患者の塩分摂取目安は1日6グラム以下とされるが、実際には多くの人が1日10グラム前後を摂取しているという。梅干し1個で約2グラムの塩分があるなど、具体的な数値を知るだけでも生活習慣を見直すきっかけになる。
これらのアプリは、一般的な健康管理アプリとは異なり、治療効果を検証したうえで医療機器として承認を受けている。利用には医師の診断・処方が必要で、患者は医療機関で診察を受けながらアプリを併用する形となる。自由診療の場合は月額約7000円だが、保険適用の3割負担なら2000円強で利用できる。
すでに禁煙向けアプリは数千もの医療機関で導入されており、リリースから半年の減酒アプリも数百施設に広がっているという。診察時間が限られる地域の内科クリニックでも、アプリが生活指導を補完することで、高血圧や禁煙治療に対応しやすくなる。専門医だけに依存しない治療体制を広げる仕組みとしても注目される。
がん検査のハードルを下げる唾液検査
サリバテックは、唾液を使ったがんリスク検査サービスを開発している。利用者は専用キットで唾液を採取し、そのまま郵送するだけで検査を受けられる。価格は税込1万5600円から。現在はEC販売に加え、企業や健康保険組合での導入も進んでいる。
分析は、慶應義塾大学先端生命科学研究所の関連施設内にある質量分析装置を活用して行われる。検査対象は、男性が肺がん、胃がん、大腸がん、膵がん、口腔がんの5種類、女性はそれに乳がんを加えた6種類。結果はA〜Dの4段階でリスク評価される。
開発のきっかけとなったのは、代表取締役CEOを務める砂村眞琴氏自身の臨床経験だ。外科医として膵がんの診療に携わる中で、発見時にはすでに進行している患者を数多く見てきたという。膵がんはステージ1でも予後が厳しく、ステージ4まで進行すると治療の選択肢が大きく限られるケースも多い。より早い段階で異変に気づける手段をつくりたいという課題意識が、唾液検査の開発につながった。
がん検査には、費用が高い、待ち時間が長い、痛い・苦しいといった心理的・物理的ハードルがある。同社はそのハードルを下げるため、自宅で完結する検査フローを採用した。見た目はコロナ禍で普及したPCR検査キットに近い。現時点では結果判明まで一定の時間が必要だが、将来的には、PCR検査のようにより手軽に受けられる形を目指しているそうだ。
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