未来の工房はロボットまかせ?「職人級の指先」が伝統もエコも支える
やっぱり手仕事はすごい
この前テレビで、職人さんが作った雪平鍋が外国人観光客に大人気、という特集を見た。あの職人さんの手の動きとか、寸分の狂いもない打ち込みとか、本当にすごい。やっぱりああいうのを見ると、手仕事には機械には出せない味があるよなぁと感じる。『精密さ』や『品質へのこだわり』は、日本のモノづくりの原点だ。
でも、職人技だけでは追いつけない時代に
ただ、「手作業で完璧なものを作る」のは現代社会では難しい面もある。人件費や製造コストの高騰、需要の変化など、職人技を維持するハードルは年々高くなっている。一方で、産業を支えるロボットも進化を続けており、最近では、ロボットに“人間のような触覚”を持たせる技術が登場している。
ロボットに“触覚”を与える技術が進化している
例えば、早稲田大学発のスタートアップ、XELA Robotics株式会社が開発するのは「uSkin(ユー・スキン)センサー」と呼ばれる3軸の触覚センサー。これをロボットのハンドやグリッパーに組み込むことで、ロボットが物体に触れたときの「圧力」や「ズレ」をリアルタイムに検出できる。要は、“触った感覚”をロボットが理解できるようになるのだ。
IEEE ICRA 2024でのデモ展示
「精密作業+省エネ」がこれからのモノづくり
こうしたロボットの精度向上は、製造現場にも大きなメリットをもたらす。例えば、これまでロボットでは難しかった「柔らかいものを潰さずに持つ」「繊細なパーツを均一な力で組み立てる」といった作業が、より精密に行えるようになる。すると、不良品の削減や作業効率の向上はもちろん、無駄な材料やエネルギーの消費も減らせる。つまり、「エコ」につながるというわけだ。製品の品質管理が厳しくなっている今、このような技術はますます重要になってくるだろう。
製造現場から出る廃棄物をどう減らすか
ちなみに、環境省によれば、日本国内の産業廃棄物のうち、製造業から出るものが約27%を占めている。もし生産段階でのミスや無駄が減れば、それだけ廃棄も抑えられるというわけだ。

出典:環境省「産業廃棄物排出・処理状況調査報告書 令和3年度速報値」P23-24
手仕事とテクノロジー、両方の良さを活かす
もちろん、ロボットが職人の技を完全に代替することはできないだろう。でも、あの雪平鍋のような“人の手の良さ”を守りながら、一方で大量生産の現場では“精密さ”と“エコ”を両立できる。そんな未来が、案外もうすぐそこまで来ているのかもしれない。