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宇宙から地球への輸送サービス実現に挑むElevationSpaceが優勝、B Dash Camp 2026 Spring

B Dash Camp 2026 Spring in Sapporo「Pitch Arena 」

 スタートアップ業界における日本最大級の招待制カンファレンス「B Dash Camp 2026 Spring in Sapporo」が、2026年5月20日から22日にかけて札幌市内で開催。最終日の22日にはスタートアップピッチ「Pitch Arena Final Round(決勝)」が行われた。今回の「Pitch Arena 」には150社を超える応募があり、その中から書類審査や面接などを経て「First Round(予選)」に12社が出場。決勝には予選を通過した7社が登壇した。

 決勝には宇宙関連から微生物発電、生体データを活用した安全管理サービス、オンライン紛争解決手続(ODR)など、ディープテックからインターネットサービスまで多様な企業が登壇した。
 決勝の結果は以下の通り。
  優 勝 株式会社ElevationSpace
  準優勝 株式会社AtoJ
  野村賞 株式会社Alumnote
  AGS賞 株式会社Cell-En
  PERSOL賞 株式会社enstem
  UPSIDER賞 株式会社Alumnote
  ユーザーベース賞 株式会社ElevationSpace

宇宙から地球への輸送サービスを開発、株式会社ElevationSpace

株式会社ElevationSpace 代表取締役CEO 小林稜平氏

 ElevationSpaceは、「軌道上のヒト・モノをつなぐ交通網を構築する」をビジョンに、小型衛星による再突入技術を軸にして、東北大学やJAXAと連携して宇宙から地球への輸送サービスを開発している。
 国際宇宙ステーション(ISS)では宇宙ならではの環境を使って多様な研究開発が行われているが、現在のISSは2030年に運用を終え、その後は新たな民間宇宙ステーションが運営されるという。そうした中、日本はISSから地上への輸送を海外に依存しており、日本に直接戻す便を持たないため自由な輸送ができないのだという。
 同社はこの課題解決に向け、宇宙ステーションから地球に小型で高頻度に運ぶ輸送サービスの開発に取り組んでいる。すでに米国の宇宙ステーション企業と協業に向けた基本合意契約を締結し、サービス化に向けた準備を進めている。
 小林氏は「小型で高精度に戻ってくる技術は世界でも日本しか実証していない。我々はJAXAが培ってきた技術を活用し、宇宙から地球に戻ってくるためのエンジンから制御技術、耐熱材料まで含めて自社で開発している」と同社の強みを説明。研究開発フェーズはすで完了し、2026年後半以降に初号機を打ち上げる予定だ。

 授賞式では、小林氏は「宇宙から地球の輸送というまだまだ馴染みのない領域に取り組んでいるが、これが当たり前の輸送インフレになる。そういった世界をつくっていきたい」と感想を述べた。

少額未払い問題をオンライン対話で解決を図る、株式会社AtoJ

株式会社AtoJ 代表取締役 冨田信雄氏

 未払い金をオンライン対話で回収する少額債権解決プラットフォーム「ワンネゴ」を提供するAtoJ。「ワンネゴ」は弁護士5人が開発した法務省認証ODR(Online Dispute Resolution:オンライン紛争解決手続)サービスで、裁判や督促ではない「第三の選択肢」として、司法が解決しきれない大量の少額未払い問題をオンライン上で解決を図る。
 病院や介護、電力、不動産、通信、フィットネスなど業界を超えた未収金は合計で1兆円を超えていると冨田氏は説明。こうした課題に「ワンネゴ」はオンラインで話し合いの仕組みを提供。債権者は名前と金額、連絡先を入力するのみで申立てができ、債務者は選択肢をタップしていくことで解決に向けたやり取りを進められるという。導入企業は170社、申立て累計数は1.7年で22倍となり、解決率は50%以上にのぼっているとのこと。「日本版ODRのトップランナーが我々だ」と冨田氏は力強く語った。

教育に資本が循環する仕組みを構築、株式会社 Alumnote

株式会社 Alumnote 代表取締役CEO 中沢冬芽氏

 Alumnoteは、大学の資金調達の手法をアップデートし教育に資本が循環する仕組みを構築する東京大学発のスタートアップ。大学ごとの在学生・卒業生らの寄付者ネットワークの構築と活性化を行うイベント「Giving Campaign」を通じて、これまでに120大学・約160万人のデータベースを構築し、5年で累計4.5億円を全国120大学の3000団体へ寄付したという。企業の採用やマーケティング費用を大学へ還元し、産学官連携で企業・自治体の需要に応える都市地域の人材循環を創出するとしている。
 中沢氏は「我々のミッションは”次世代の教育に資本をまわす”こと。社会のロールモデルとして、売り上げを立てながら次世代に資本をまわすビジネスモデルを築いていきたい」と語った。

災害時や電力過疎地域でも電力供給可能な微生物発電、株式会社Cell-En

株式会社Cell-En 代表取締役COO 山口直美氏

 微生物発電技術の開発から装置の企画設計を行う株式会社Cell-En。微生物発電技術は、微生物が有機物を取り込み分解する過程で生成する電子を電極で捕らえて電気に変換するという技術だ。
 災害時などの非常時や電力過疎地域における電力供給をはじめ、環境負荷を軽減するオフグリッド発電による持続可能な電力ソリューションの提供を目指している。また、独自技術によって、有用微生物の探索やバンキングを実施。これらを提供することで、事業化のコンサルティングなども行うとのこと。災害時に安定供給可能な環境にやさしい電源で安心な社会の実現を目指すという。

生体データ × リアルタイム検知」で健康起因事故を未然に防ぐ、enstem

株式会社enstem 代表取締役 山本寛大氏

 ドライバーや現場作業員の「事故前の兆候」を可視化する安全管理サービス「Nobi for Driver」「MAMORINU」を提供するenstem。「生体データ×リアルタイム検知」によって、健康起因事故を未然に防ぎ、非デスクワーカーの安全と稼働を支えるインフラの構築に取り組んでいる。
 心拍などの生体データを取得・分析するバイタルセンシングデバイスを活用し、人々が自覚しにくい健康や安全に関わるリスクを明らかにすることで、労働環境の安全性を向上させることに加え、業務の効率化や労働者の負担軽減を実現するとしている。

地球観測用HAPSの実現に向け飛行船の開発に取り組む、SkySense株式会社

SkySense株式会社 代表取締役CEO アドディン パヴェル氏

 地球観測HAPS(成層圏プラットフォーム)の開発および事業化に取り組むSkySense。同社はJAXAの技術を活用して飛行船型HAPSを全国に展開することで、従来の衛星・航空データの特徴である「高解像度、高い観測頻度、広い観測範囲」を併せ持つデータを手軽に取得し、低コストで提供可能にするという。
 パヴェル氏は、「我々は確実に純国産の飛行船を作り上げ、あらゆる場所をリアルタイムで観測するHAPSコンステレーションを構築する。これから日本が成層圏を制覇する未来をつくっていく」と述べた。

自宅で心疾患リスクを早期発見可能にする、株式会社ココロミル

株式会社ココロミル CEO 林大貴氏

 自宅でできる心臓ドック「ホーム心臓ドック」を提供する株式会社ココロミル。心疾患リスクを自宅で早期発見し、異常時には適切な医療や治療までつなぐサービスを展開する。心臓病に関する課題として林氏は、病院で精密検査を受けようとすると平均1.5カ月の順番待ちが発生していることや、健康診断や人間ドックのような短時間の検査では異常の検知率が10%程度にとどまっていることを挙げた。
 これらの解決に向け、同社では使い捨て精密検査機器「eclat」と、自宅で長時間心電図検査ができる「ホーム心臓ドック」を提供。林氏は、「ココロミルは医療機器メーカーの資格を持つヘルスケア企業だからこそ、早期発見から治療までを一気通貫でサポートできる」とし、「見つかったときには手遅れになってしまう社会を変えていく」と語った。

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