もし灯油が来なかったら、冬の野菜はどうなる? 分散エネルギーという選択
電気だけでは回らない、農業のエネルギー事情
ホルムズ海峡の緊張が続き、日用品や電気代の値上げなど日常生活にも影響しはじめている。農業も例外ではない。ビニールハウスを温める灯油や、トラクターや出荷など、現場はほぼ燃料頼みだ。これが止まると、作ること自体が難しくなる。
原発再稼働や再エネで電気はつくれても、ガソリンや灯油に依存している農家は、今からEV車両などに切り替える資金もないし、準備もなしに間に合わせるのは難しい。
ただ、こうしたリスクは一時的なものではなく、今後も繰り返される可能性が高い。そこで知っておきたいのが、エネルギーを地域でまかなう「分散型エネルギー」という考え方だ。
広がらなかったメタン発電が、再び現実味を帯びてきた
そのひとつに「メタン発電」がある。これ自体は以前からある技術だが、「臭い」「非効率」「装置が巨大すぎる」といった課題があり、広く普及するには至っていなかった。
愛知県の豊橋技術科学大学発スタートアップ、株式会社豊橋バイオマスソリューションズは、食品残渣や家畜の糞尿からメタンガスを取り出して発電する、バイオマス発電設備を開発している。
同社のバイオマス発電設備は小規模農場にも設置できるサイズで、天候に左右されず、夜でも安定して発電できるのが特徴だ。さらに、発電の後に残る液体は、バイオ液肥として畑に戻せるので、エネルギーだけでなく、資源も地域の中で回せる。
イオンも参画、サプライチェーン全体で組み直す
こうした動きはスタートアップ単独にとどまらない。流通大手のイオン株式会社は、グループ会社のイオンアグリ創造株式会社 とともに、豊橋バイオマスソリューションズと連携し、農業とエネルギーを一体化した循環型モデルの実証を進めている(参考)。
農業残渣や食品廃棄物を使ってメタン発酵を行い、得られたエネルギーを農場で使う。発電後に残るものは肥料として畑に戻し、そこで育てた農産物を店舗で販売する。エネルギーと食料を地域の中で回す仕組みだ。 農業、廃棄物処理、小売を横断して、エネルギーを組み込んだサプライチェーンそのものの設計になっている。
分散エネルギーは、産業を止めないための選択肢に
オフグリッド型のエネルギーは、海外に依存する燃料供給のリスクにとどまらず、 地域の現実的な課題にも対応する。日本では送電網の老朽化や電力インフラ維持の人手不足が、地方を中心に顕在化している。
資源エネルギー庁は、企業や自治体が分散型エネルギーの導入事例や課題を共有するプラットフォームを整備し、普及を後押ししている。また経済産業省も、小規模な発電や蓄電池などを束ねて活用する仕組みの制度化を進めており、電力システム自体を分散型へ移行する検討が進む。こうした中で、小型バイオマス発電も有力な選択肢のひとつだ。
太陽光発電のように天候に左右されることなく、地域の資源でまかなえるという特性は、災害時のレジリエンス強化にもつながる。燃料の供給が不安定になるほど、こうした分散型エネルギーにとっては追い風になりそうだ。
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