パリダカで得た知見を市販車に投入したのが
Honda「トランザルプ」
80年代後半パリダカールラリーが全盛の頃、打倒BMWを掲げてHRCもパリダカールラリーにチャレンジ。ワークスとして参戦した86~89年まで4連覇した歴史がある。そのパリダカールラリーで培ったノウハウから、87年に誕生したのが、「XL600Vトランザルプ」だ。その後もヨーロッパではトランザルプの名前は継承されており1994、2000、2008年に排気量を変えて発売されていた。
そしてこの度、四半世紀ぶりに国内発売されたのが「XL750 トランザルプ」だ。日本では長い年月を超えての発売だが、あえてこのモデル名を採用したのは、それだけホンダはトランザルプというモデルを大事にしてきた証明といえよう。
そんな背景のあるトランザルプは、カラーリングもタンクからサイドカバーに流れるラインも当時のデザインを踏襲している。初代トランザルプを知るライダーには、懐かしさを覚えるカラーリングとデザインと言える。初代モデルを継承したレトロな雰囲気とは言え、走行性能や居住性は文句ないほど優れている。
オフロードもオンロードも走れる走破性
長距離移動も疲れにくい乗り心地
アドベンチャー系のバイクで気になる足つきは、見た目から受ける印象よりはるかに良い。データ上のシート高850mmと、ほかのアドベンチャーモデルよりやや低い程度だ。だが実際に跨ってみると、つま先立ちになるような事もなく安心感がある。ライディングポジションも、アップライトに設計されており、視界を高くすることでロングライドの疲労を軽減している。
フレームはしなり感のある鉄フレームを採用し、路面からの入力を優しく受け止めてくれる。その上でバネ下に当たるスイングアームは、軽量のアルミを採用している。フロントフォークも、43mmの倒立フォークを採用し高剛性を確保。ブレーキはフロントにダブルディスクを採用することで、ダートだけではなくワインディングも楽しめる装備となった。
足回りはフロントに走破性の高い21インチ、リアには18インチのタイヤを採用することでオンオフ問わず楽しめる設定となっている。実際に乗ってみても、オンロードでは動きすぎない感じで不安感がない。視界の上下動も少ないので、長距離や高速道路でも疲れにくい挙動となっている。
しかもオフロードに入っても、十分なストロークがあるので恐怖心を感じないままダート走行が楽しめる。つまり、オンでもオフでも許容範囲が広く、ちょうど良いユルさがある。
エンジンは以前のモデルよりパワフルに
価格も抑えめなのでコスパもいい
発売当初の発売当初のパワーユニットはV型2気筒だったが、今回発売されたモデルは754ccの直列2気筒エンジンが搭載されている。OHC直列2気筒エンジンとは言え、ホンダのお家芸的なユニカム機構を採用している。ユニカムとは吸気側のバルブを噛むシャフトが直押し、排気側のバルブをロッカーアームを介して動かすシステム。これによりカムシャフトが1本で済むため、軽量コンパクトながらDOHC並みの高回転、高出力を実現したエンジン構造と言うわけだ。
このエンジンの採用もパリダカ参戦時代のノウハウで、オンオフを問わず長時間走行に適したバイクとなってる。
パリダカ参戦時代からのノウハウを注ぎ込み、必要十分なテクノロジーを装備した新型トランザルプだが、価格は126万円と抑えられているのがうれしい。その裏側は、フレームやエンジン、サスペンションなど、多くのパーツをほかのモデルと共有しているからだ。そう言った企業努力から生まれた低価格のアドベンチャーモデルは、コンセプト通りのジャストフィットモデルと言えるだろう。
■筆者紹介───折原弘之
1963年1月1日生まれ。埼玉県出身。東京写真学校入学後、オートバイ雑誌「プレイライダー」にアルバイトとして勤務。全日本モトクロス、ロードレースを中心に活動。1983年に「グランプリイラストレイテッド」誌にスタッフフォトグラファーとして参加。同誌の創設者である坪内氏に師事。89年に独立。フリーランスとして、MotoGP、F1GPを撮影。2012年より日本でレース撮影を開始する。
■写真集
3444 片山右京写真集
快速のクロニクル
7人のF1フォトグラファー
■写真展
The Eddge (F1、MotoGP写真展)Canonサロン
Winter Heat (W杯スキー写真展)エスパスタグホイヤー
Emotions(F1写真展)Canonサロン
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