驚くほどダッシュが鋭く
シャープな動きを見せる
今回、試乗したのはトップモデルとなる4WDグレード。ボディー横には、サッカーワールドカップの大きなステッカーが貼られているのがご愛敬です。
最初はゆったりと、インテリアの雰囲気を楽しみながら街中を流します。低速では、コツコツと路面の凹凸を拾うのが気になります。ただし、明るく広々とし、そして静かな室内空間は快適そのもの。
シフトレバーがコラム式で、しかもノブの先を回転させるというのが独自なポイントです。また、パドルシフトを操作すると回生ブレーキの強さを調整することができます。クルマの表示を見ていると、回生ブレーキを最強にすると常時4WDになり、弱くすると後輪駆動の2WDになっているようです。
ステージを街中から高速道路へ。すると、4WDモデルならではの605Nmもあるトルクの真価が発揮されます。加速が驚くほど鋭いのです。キーンと遠くでインバーターの音もあり、まるでジェット機が離陸するかのよう。さらにハンドリングも狙ったラインを外しません。非常にタイトに、まるでスポーツカーのような俊敏な動きを見せてくれたのです。ミシュランのパイロットスポーツを履くだけのスポーティさを備えています。この強烈な加速感は、なかなか味わえるものではありません。
静かで穏やかな走りと、一瞬で他車をごぼう抜きする優れた加速力。これぞ、パワフルなモーターを積むEVならではの走りです。
デザイン、パワー、そして価格の手ごろ感が魅力
「アイオニック5」を試乗すれば、誰もが「デザインの良さ」「室内の快適さ」「パワフルな走り」があることが感じられるでしょう。「ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー」などの世界の高い評価も理解できます。
しかし、「アイオニック5」の魅力は、ほかにもあります。それが価格です。2WDの電池の小さいエントリーで479万円。2WDの上級グレードで519~549万円。トップグレードの4WDでも589万円です。これが、絶妙な価格付けとなっているのです。
ライバルとなるEVの価格を見わたせば、コンパクトカー・クラスのEVは400万円台が中心。そして、トヨタの「bZ4x」とスバルの「ソルテラ」は600万円台。欧州車のSUVベースのEVは700万円以上という価格付けです。つまり、「アイオニック5」は、コンパクトEVよりは高いけれど、ミッドサイズのSUVのEVとしては安い! となるのです。特にパワフルな4WDモデルは、より割安感が高いと言えるでしょう。
製品としてのデキの良さと、手ごろな価格が揃った「アイオニック5」。いわゆるコスパの良い商品として、一定の人気を得る可能性が高いのではないでしょうか。
筆者紹介:鈴木ケンイチ
1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。
最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)。

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