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あのクルマに乗りたい! 話題のクルマ試乗レポ 第196回

カローラを冠するSUV「カローラ クロス」は荷物も人も乗って驚愕の燃費!

2022年01月30日 17時00分更新

文● 栗原祥光(@yosh_kurihara) モデル●新 唯(@arata_yui_)編集●ASCII

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トヨタ/カローラ クロス(写真・取材はハイブリッド/グレードZ/FF・299万円・含オプション価格329万8550円)

 トヨタのカローラといえば、世界累計販売台数が5000万台を超える、50年以上の歴史を持つ「大衆車」。もっとも多様化や個性が重んじられる時代において、この大衆車という言葉が今でも生きているのか別として、トヨタは時代に合わせたカローラのバリエーションモデルを投入してきたことは事実。それはトヨタにとってカローラは「誰が乗っても満足できるクルマでなければならない」という大衆車づくりの思想があるからでしょう。

 そんなカローラにSUVモデルが初登場。トヨタのSUVラインアップは既に8車種あり「そんなに作ってどうするんだ?」と思いながら、クルマ大好きモデルの新 唯(あらた・ゆい)さんをお迎えして、SUVの大衆車とはどういったものか? を取材しました。

トヨタのエンブレムがないので一瞬戸惑う

 取材は1月下旬。取材の前に唯さんをお迎えにあがるため、早朝にエンジンをかけた不肖。気温はひと桁前半でパワーユニットはキンキンに冷え切った状態です。走り始めて気づくのは、エンジンの暖まりが驚くほど遅いこと。とにかく暖まらない。暖まらないと何が起きるのか? というと、信号でアイドリングストップが動作しません。「なんだよ、ガソリン代ケチっているのか?」と思われるでしょうけれど、そういうことではありません。エンジン音が車内に低く響くのですが、その音が生理的に心地悪い音なのです。人によって感じ方は様々ですが、「ゴーッ」という低い音で、しかも意外と大きいものですから「サッサとアイドリングストップ動いてよ!」と願わずにはいられませんでした。

カローラ クロス

 人間イライラしている時は、些細なことでもイライラします。コールドスタート時のエンジンが暖まりづらさの何が問題かというと、暖房が効くまで時間がかかるというわけです。寒いので室内を暖かくしようと風量を全開にするわけですが、いつまで経っても風が暖かくならず(特にエアコンのECOモード時)。シートヒーターがついているので、暖かくなるまではHIにセットするわけですが、今度は指先が冷たいのでステアリングヒーターのボタンを捜したのですが見つからず……。

 とはいえエンジンが暖まってくると「カローラ クロス、よくできているなぁ」と関心しきり。プリウスなどと同じ、スプリット式(エンジンとモーターを使い分けて走る)を採用する1.8リットルのハイブリッドユニットは、加速時に唸るような音はするものの、気持ちのよい走りが楽しめるし、乗り心地は柔らかめだけれど、腰砕けにならず。室内も暖まってくれば静粛性が高まって、快適そのもの。温まれば人の心も穏やかになるというものです。

 クルマも不肖の心も暖まったところで唯さんをお出迎え。ですが、カローラ クロスを見た唯さんは開口一番「これ、どのメーカーのクルマですか?」などと言うではありませんか。いや貴女、モーターファン別冊「統括シリーズ 2022年 国産新型車のすべて」(三栄/780円)にモデルとして出演しているじゃないですか! とツッコミを入れる不肖。これに「いや、あちらの取材のときは運転していないので、そこまで詳しく覚えてないんですよ」と、ややSっ気の血をたぎらせて反論する唯さん。ガチギレされる前に、早々に取材現場へと向かうことにしましょう。

カローラ クロスのフロントマスク

 「トヨタのクルマなんですね」と唯さん。そうなんです。カローラはフロントグリルにトヨタのエンブレムはなく、代わりにカローラのエンブレムが取り付けられているので、クルマに詳しくない人は、このクルマのメーカーがわかりづらいのです。ということで、ASCII.jpの唯さん的には初めてのトヨタ車試乗となりました。

 ボディーサイズは全長4490×全幅1825×全高1620mm。価格的にライバルとなる日産「キックス e-POWER」が全長4290×全幅1760×全高1610mm、Honda「VEZEL」が全長4330×全幅1790×全高1590mmですので、カローラ クロスの方が一回り大きい、ということになります。「え? ということはお買い得じゃないですか!」というのは、取材に同席した担当編集のスピーディー末岡。確かに同じ値段なら大きい方がオトクに感じます。

 大きさの違いはラゲッジにも現れていて、その容量は487リットルとライバルを圧倒。「しかもパワーゲート付きなので閉めるのもラクラクですし、後部座席の背もたれは前へ倒せるんですよね」というわけで、手早くシートを倒す唯さん。さらにセンターにあるプライバシーシェードの棒も取り外してしまいました。さらなる荷室空間に驚く一同ですが、荷室には大きな段差が……。ですが、これはディーラーオプションのラゲージアクティブボックスを装着すれば解決します。

 「確か、ここにあったような……」とトランクを見渡す唯さん。モーターファン別冊撮影時の記憶が蘇ってきたようで「ありました」と指差したのは、AC100Vアウトレット。「これがあれば、ロケでもヘアアイロンとか使えて便利ですよね」と唯さんが言うと、「確かにノートPCの充電ができますね」とスピーディー末岡。会話が噛み合っているようで噛み合っていませんが、このコンセントはオプションで4万円ですというと「絶対につけますね」と息ピッタリ。

 パワーユニットは1.8リットル直4ハイブリッドと、同じく1.8リットル直4エンジンの2種類をラインアップ。駆動方式はFFとAWDが用意されています。今回お借りしたのは、ハイブリッドでFFのモデルでグレードZと呼ばれるモデルです。ライバルが1.5リットル以下なので、車体が大きい分だけ、排気量も大きくなっているのでしょうか。最高出力はエンジン側が98馬力、モーター側が72馬力。一緒になれば170馬力、と単純な話にはならないでしょうけれど、必要にして十分といったところです。ちなみにエンジン仕様車の最高出力は140馬力。

 後席をチェックしましょう。「思ったより足元が狭いような気がします」と唯さん。どれどれ? と座ってみると、たしかにVEZELやキックスといったライバルよりも狭い印象です。装備面に目を向けると、USB Type-Aレセプタクルが2系統用意。「あー、Aですかー。Cがあるといいんだけどなぁ」と、PD対応のUSB Type-Cじゃないと許さない男、スピーディー末岡と不肖はちょっとションボリ。「最近はノートPCの充電がUSB Type-Cなんですから、65Wから100Wくらいに対応にしてくれないと」と言いたい放題です。でも幅広いユーザーをターゲットとするクルマなら、日本ではまだType-Aが主流なので、間違っていないのかもしれません。

 続いて運転席へ。「こちらは広くていいですね」という唯さん。「良い意味で特徴はないみたいですね。あるべきところに、あるべきスイッチがあるから、わかりやすいですし」ということで、このあたりの作り込みは、さすがトヨタといったところ。

 感心したのは、スマホトレイが縦置きなところ。横って案外使いづらかったりします。こういう細かなところもさすがトヨタ。「メーターも見やすいですし、いいと思います!」ということで、いざ試乗開始です。

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