ASCII Power Review 第280回
4月25日発売です!!
ニコンの全力投入なのに25万円台はお買い得!!=フルサイズカメラ「Z5Ⅱ」実写レビュー
2025年04月16日 00時01分更新
ニコンがフルサイズカメラ「Z5Ⅱ」を4月25日に発売する。2020年にエントリーモデルとして登場した「Z5」の後継機種になるが、このご時世ということもあり価格は7万5900円ほどアップしている。果たしてそれに見合う価値のあるカメラなのか気になるところだ。
ニコンから試用機を借りたので、使い勝手から、キットレンズ「NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3」と「NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR」、単焦点「NIKKOR Z 50mm f/1.4」での描写も試してみた。

4月25日発売予定。量販店価格はボディーのみ25万8500円。レンズキットは「NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3」(29万9200円)と。「NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR」(35万8600円)が用意されている。
外観デザインは変わらず
アクセサリーターミナルはなし
ボディーデザインは前モデルを継承し、奥行で2.5mm、重量が30gほど増加しているが、ほぼ同サイズといっていいだろう。
操作系も背面の再生とドライブのボタンが入れ替わった以外はほぼ同等だ。
外観の目立った変更点としては上面に画像仕上げを即座に変更できる「ピクチャーコントロールボタン」を搭載したこと。また背面液晶がチルト式からバリアングル式になったぐらいだろうか。
EVFは369万ドット倍率0.8倍。Zシリーズ初期からこだわり続けたクリアな光学系のおかげもあり視認性は優秀だ。
メディアはSDのダブルスロットを採用。速度面では上位モデルが採用しているCFexpressのほうが優れているのは確かだが、コスト面を考えるとまだまだSDのほうが利便性は高いだろう。
バッテリーも引き続き「Z9」以外の現行ニコンフルサイズ機共通の「EN-EL15c」を採用。公称の撮影可能枚数はファインダー撮影でパワーセーブ静止画モードOFFで約330枚となっているが、街中のスナップを撮り歩いたときはRAW+JPEGで330カット660枚撮影した時点で残量39%と余裕があった。
側面端子は前モデルには搭載されていた「アクセサリーターミナル」がなくなった。そのためワイヤレスリモートコントローター「WR-R11b」によるWiFiでのレリーズやスピードライト「SB-5000」の調光ができない。Bluetooth接続のリモコンでのレリーズやサードパティ―のストロボを使うなど代替手段はあるが、個人的には残念なポイントだ。
裏面照射2450万画素で高感度画質がUP
秒30コマの高速連写も可能に
外観周りからは大きな違いを感じられないが、しかし実際に撮ってみると数々の進化を実感することができた。
まず撮像素子だが、解像度は2450万画素で前モデルと大差はないものの、表面照射型から裏面照射型に変更されている。これにより高感度での画質が向上した。
実際に撮影した写真を見るとISO 1万2800程度まではノイズや解像感低下はほとんど気にならず、画質劣化が顕著になる2万5600を超えてもノイズ処理のバランスが良いせいもあって実用的な画質。前モデルより1EV以上は向上しているように感じられた。
また撮っていて感じたのが暗所でのAF精度。AF検出範囲が-3EVから-10EVに改善されたこともあり、前モデルでは迷ってしまうようなシーンでも、しっかりピントを合わせてくれた。

高感度で撮影した作例をいつくか。使用レンズ「NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3」・焦点距離39mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/60秒・ISO12800・ノイズ処理標準。
(以下の作例もすべて:JPEG FINE(連写はJPEG NORMAL)、ホワイトバランスとピクチャーコントロールはAUTO、アクティブD-ライティング はOFF、ヴィネットコントロールは標準、回折補正と自動歪み補正はON)
そのAFだが「Z6Ⅲ」や「Z50Ⅱ」など最近のモデルと同様に9種類の「被写体検出」や、被写体の動きを追尾する「3Dトラッキング」など上位機種譲りの機能が搭載されている。
連写性能も秒4.5コマからなら最高秒14コマに向上(メカシャッター時かつJPEGで)。さらに電子シャッターで画質がJPEG NORMALのLサイズに限定されるが「プリキャプチャー」にも対応する「ハイスピードフレームキャプチャー+」で秒30コマの高速連写も可能になった。

被写体検出AF(鳥)+「ハイスピードフレームキャプチャー+」(秒30コマ)で撮影した作例。使用レンズ「NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR」・焦点距離180mm・絞りF6.3・シャッタースピード1/3200秒・ISO1600。

積層型ではないので背景の建物が歪んでしまっているが、気になるほどではない。使用レンズ「NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR」・焦点距離200mm・絞りF6.3・シャッタースピード1/3200秒・ISO1600。

撮影中に一瞬カモメと目が合った一枚。こんな写真が撮れるのも高速連写の面白さ。使用レンズ「NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR」・焦点距離200mm・絞りF6.3・シャッタースピード1/2500秒・ISO1600。
手ブレ補正も中央7.5段、周辺6.0段と前モデルの5段から向上。測距点に合わせ手ブレ補正を最適化する「フォーカスポイントVR」も搭載している。しっかり構えれば1秒のスローシャッターでも高確率でブレを防止することができた。

画面端にピント合わせたが、あまりブレが目立たないのは「フォーカスポイントVR」の効果かもしれない。使用レンズ「NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3」・焦点距離39mm・絞りF5.6・シャッタースピード1秒・ISO400。
画質は最近のニコン機と同様にシャープが効いた解像感に、色乗りのよい発色でメリハリのある描写だ。
撮り心地はグリップが手に馴染む形状で握りやすく、ダイヤルのクリック感やストロークが深いボタン類も操作がしやすい。メカシャッターの動作も高級とまではいかないが、キレがあって気持ちよかった。
「Z5」の後継機ということでエントリーモデルと思いがちだが、実際にはかつてのスタンダードモデルだった「Z6Ⅱ」(注「Z6Ⅲの前モデル」)を上回るポテンシャルを備える。
そう考えると価格アップ(4月15日時点量販店では前モデルの値下げにより価格差は10万円越えだが)は妥当どころか、同クラスのライバル機と比べてもリーズナブルに感じてくる。今後フルサイズミラーレスのスタンダード機としてベストセラーになりそうな予感がする。
キットの24-50mmに24-200mm
大口径単焦点の50mm f/1.4でも撮ってみた
現行のZシリーズは製品によってキットレンズが異なる。「Z6Ⅲ」は「NIKKOR Z 24-120mm f/4 S」、「Zf」は「NIKKOR Z 40mm f/2 SE」といった具合だ。
「Z5Ⅱ」のキットレンズになっているのは「NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3」と「NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR」の2本。それぞれ個性的なレンズなので、作例を交え紹介していこう。
「NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3」は前モデル「Z5」と同時に登場した標準ズームだ。沈胴式で収納時約51mm(マウント部除く)とスリムで重量も約195gとコンパクトなので常用レンズに最適である。
「NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR」はズーム比8.3倍の高倍率ズーム。一本で万能に撮影できるのが魅力。画質にも定評がある。

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