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技術の進歩が生む新領域「メタバース」への潮流

第45回NEDOピッチ「デジタルコンテンツ ver.」レポート

特集
JOIC:オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会

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AR技術を応用した成仏一致の作業管理システムARDe
株式会社ARDe

 株式会社ARDeはAR技術を用いた作業管理システム「ARDe」の開発を行っている。工場で輸送用機器などの組み立てを行う場合、ボルトの締め付け工程が発生する。このとき、正しい締結作業を行わないと、(特に鉄道などの輸送用機器では)重大事故が発生する恐れがある。ARDeにはそのような事故を未然に防止する作業管理システムだ。

 ARDeはヘッドセットを通じて作業者にどのボルトをどの順番でどのくらいの強度で締結するかを指示する。システムは作業を監視し、指示した位置以外で作業をしようとすると、作業データが送信されず、警告した後、正しい作業へ誘導する。正しく作業を完了した場合はヘッドセットに内蔵されているカメラによってスナップショットが撮影されるとともに、完了レポートが生成・送信される。

 「これにより作業者はドキュメントの作成から解放される。ARDeは作業しながら検査しており、検査工程や人員の削減が期待できる。また作業がすべて自動的にデータ化されているので、今までなかなか手が付けられなかった作業現場のDX化にも役立つ。」(山口氏)

株式会社ARDe 代表取締役 山口剛二郎氏

 ARDeは使用時に対象の3Dモデル データを用いていないことが特徴として挙げられる。これは製造する機器の3Dモデル データは機密情報の塊であることと、作業者の利便性を考慮したものだ。また製造現場で利用することを想定しているためプログラミング知識も不要で、ユーザー自身が最終的なコンテンツ(製造手順書・完了レポート)を容易に作成できる。専用のシステムも不要で、すべて市販品で構成されている。そしてシンプルなユーザーインタフェースにより、利用者を選ばないことも大きな特徴になっている。

 ARDeの活用分野としては、鉄道、航空、船舶など人の生活や安全を支える産業における製造現場が第1に挙げられている。また、電力の中継施設などインフラ施設のメンテナンス用途でも問い合わせが増えてきている。既に鉄道車両メーカーや航空機メーカーなどでのテストも始まっており、我々の生活基盤を支えるツールとしての利用が期待される。

 また、2022年にはARDeのクラウド化も予定されており、ボルト締結以外のサービスとのインテグレーションも予定されている。ARの応用分野はエンターテインメントや医療など幅広い。バラエティに富んだサービスが生み出されることに期待したい。

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