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技術の進歩が生む新領域「メタバース」への潮流

第45回NEDOピッチ「デジタルコンテンツ ver.」レポート

特集
JOIC:オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会

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経済産業省による日本のコンテンツ産業支援施策の紹介

 スタートアップ5社によるピッチ終了後、経済産業省 商務情報政策局 コンテンツ産業課 課長補佐 宮野 彩季子氏による日本のコンテンツ産業政策についての解説があった。

 まず現状分析として、Z世代(1995~2010年生まれの世代)が消費の中心に躍り出て、彼らのライフスタイルにマッチするコンテンツを生み出していく必要について指摘がなされた。そのために、経済産業省ではJ-LOD(コンテンツグローバル需要創出促進事業費補助金)を設け、新たな流通チャネルの構築、制作工程の効率化、産業構造の強靭化・重層化などにより、コンテンツの海外展開の促進を行っている。J-LOD補助金は現在募集は終了しているが、各メニューがアップデートされ継続的に支援する見込みである。

 上図の「3. 新たな発信方法の強化」に当たるのがJ-LOD3と呼ばれる補助金だ。この補助金は、様々なイベント主催者に対して、先端技術を用いた新しいマネタイズ手法を用いたイベントの開催を支援している。

 その採択事例として本年7月に配信されたRADWINPSの「SHIN SEKAI "nowhere"」というバーチャル音楽ライブ配信イベントが挙げられている。全ステージを見れるチケット、1日だけ有効のチケット、アーカイブまで含めて利用可能なチケットなど、多様な高付加価値チケットが用意され、それを購入したユーザーはライブ配信を行っているVR空間内に自分のアバターで参加ができる。アバターはVR空間内を自由に動き回ることができ、また自由に着せ替えを楽しむこともできるなど、様々な側面からの検証が行われたイベントであった。

 経済産業省はバーチャル空間での事業にも注目している。既に世界中で様々なプラットフォームが生まれており、現実世界を代替するコミュニケーション空間として認知されつつある。他方、ルールや規制がまだまだ整備されていないという側面もある。

 経済産業省は今年7月にバーチャル空間に関する法律の論点整理を公表した(https://www.meti.go.jp/press/2021/07/20210713001/20210713001.html)。これを踏まえて経済産業省として、今後はバーチャル空間ビジネスにおいて国際市場と伍していくために、勝ち筋を見極めて支援をしていきたいと考えている。グローバル共通の課題を見据えつつ、ガイドラインの設定や規格の統一などを進め、キラーコンテンツの実装を目指してバーチャル空間事業の発展を目指している。

 経済産業省を中心に、国としてもデジタルコンテンツビジネスの今後の成長に大いに期待していることが伺えた。そしてこの日ピッチを行った5社のスタートアップは、その国の方針にとってもモデルケースとなるような事業者が多かった。メタバースという新たな世界で日本のコンテンツビジネスが大きな花を咲かせることを確信している。

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