海外サーキットの名所が再現された
オリジナルの外周コース
それでは、サーキットの全貌についてお伝えしましょう。まずはハンドリングトラック。ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京をぐるりと取り囲む、一周2.1kmのコースで、土地の地形を利用した非常にチャレンジングなコースデザインが特徴です。メインストレートを抜けると、緩やかにコーナーを駆け抜けながら登り、ウェザーテック・レースウェイ・ラグナ・セカの名物コーナー「コーク・スクリュー」で一気に下って、メインストレートに戻ります。
さらにコースには、ドイツ・ニュルブルクリンク北コースの名物コーナー「カルーセル」を完全再現したヘアピンカーブも用意。完全再現というのは、形だけではなく、土地の下地作りから使われている素材も含めて、という意味です。あのカルーセルを日本で楽しめる! それだけで価値があるというものです。
様々なシチュエーションで
ポルシェを体験できるエリアも多数用意
「ローフリクション ハンドリングトラック」は、ポリッシュ仕上げされたコンクリート表面を持つ周回コース。低速域でオーバーステアとアンダーステアを誘発させて、車両のコントロール方法をトレーニングします。
「オフロードエリア」は、自然な丘の地形を活かした、最大約40度もの急な斜面を持つタフなオフロードコース。カイエンとマカンといったSUVモデルのパフォーマンスが楽しめます。
「ダイナミックエリア」は、広大な空間なオープンエリアで、スラローム、フルブレーキ、ローンチコントロールなどを楽しむもの。基本的な走行をマスターするのによいでしょう。
「キックプレート」は、埋設された油圧プレートを車両のリアアクスルが通過する瞬間に、センサーがプレートをランダムに左右に動かし、強制的に車をスピン状態にさせるというもの。散水システムで滑りやすくなったコンクリート路面上で車両姿勢をコントロールするトレーニングを行ないます。
「ドリフトサークル」は、スプリンクラーシステムによって散水された、低摩擦コンクリートの円周コース。アンダーステアドライビングを安全に体験することができます。また、ダイナミックなポルシェのオーバーステア特性を活かして、ドリフト状態をキープすることも可能なのだそう。微妙なアクセルコントロールをマスターするのに好適でしょう。
ゆみちぃ部長が体験するポルシェは、カイエンという大型のSUV。「なんか、室内が凄いですね」と感嘆の声をあげます。運転をするのは女性のインストラクターさん。「それでは行ってきます」と部員S、マネージャーとともに、元気に出発。定員オーバーのため、部員Kは置いてきぼりです。原稿を書くのは部員Kなのに……写真を撮るのも部員Kなのに……。なんとも理不尽な話です。というわけで、インカー動画をご覧ください(※音声はありません)。
待っている間、広報さんに色々とお話をうかがいました。まずサーキットのコース体験ですが、車種によって異なるのですが90分で約5万円から。マンツーマンで、希望するコースで、希望する内容を教えてくださるそうです。90分5万円から、という料金は一見「高いなぁ」と思ってしまいます。ですが、ほぼ同じコース距離である筑波サーキットの場合、スポーツ走行が20分5500円ですから、90分走ったら2万2000円。走行後はオイル交換も必要ですし、何より誰も教えてくれません。オイル交換含めて3万円かかるとして、プラス2万円でマンツーマン指導とポルシェのレンタル料が含まれるわけで、これは妥当というより安いと言えるのでは? しかもコークスクリューとカルーセルが楽しめる! 詳細な料金表はポルシェ エクスペリエンスセンター東京の公式ページにて。車種によって料金が違います。
また、ミッドシップとRRのポルシェの乗り比べ、挙動の違いを体験するコースもあるので、購入する際の参考になるでしょう。ちなみにポルシェは昨年から、新車購入をされた方に、このトレーニング1回分のチケットをプレゼントしているのだとか。自分が手に入れたモデルは、どういうクルマなのか、という学びの機会が与えられているのです。当初「富裕層向けで、ココでマイカーを走らせ壊したら修理代を……」というゲスの勘ぐりをしていたことを深く反省した次第。
ご紹介の通り、レストランとかショップもあるので、パパがコースで走行している間、ママはカフェで楽しめますし、お子さんもシミュレーター体験だってできます。帰りに木更津にあるアウトレットで買い物、というのもアリでしょう。だんだん魅力的な施設に見えてくるのは、部員Kが洗脳されてしまったから?
そうこうしているうちに、ゆみちぃ部長を乗せたカイエンが戻ってきました。クルマから下りた部長は「楽しかった!」と一言。部員Sも「面白かった!」、同行マネージャーさんも「ポルシェっていいですね!」と原稿のネタの1つにもならない感想ばかり。特に部員Sは、ポルシェ好きゆえに感動して言葉がないほど。マネージャー氏も同じような状態で、男ってこれだから……。
というわけで、ゆみちぃ部長に掘り下げてもらいましょう。「インストラクターの方が、めっちゃ運転が上手なだけでなく、話が面白くてわかりやすいんですよ。“ここの場所からステアを切ると、クルマがこうなるんですよ”とか言われて見ていると、確かにそうなるし。あとカルーセル? とかいうところ、すごくクルマが傾いて、転がるんじゃないかと。80km/h位で走っていたのですが、クルマが低重心だから、傾いているんですが怖くなかったです」。豪雨の中、カルーセルを80km/hで走行したって一体……。
ポルシェを初体験したゆみちぃ部長は大満足の笑顔。「今日は雨で運転できませんでしたが、次回はぜひ運転しに来てください」という広報の言葉に「ぜひ!」と答えて、会場を後にしました。
自動車メーカーがサーキットでドライビングスクールを開設することはありますが、常設となると日本ではHondaが鈴鹿サーキットやツインリンクもてぎで実施している程度です。ドイツのポルシェが、日本でこのような施設を設置したことに志の高さを感じた次第。しかも顧客向けサービスではなく、誰もがポルシェで最高のドライビング体験ができるというのですから。
ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京は「目標の年間来場者数は1万人」という目標を掲げています。かなりハードルが高いのでは? と思ったのですが、話を聞けば聞くほど「もう一度、行ってみたいな」という気持ちのなったのは、嘘偽りないところ。本当にクルマが好きな方は、ぜひ行ってみてはいかがでしょう。きっとクルマがもっともっと好きになるハズです。
この連載の記事
-
第425回
自動車
雪道も砂漠もドンと来い! ポルシェ「911 ダカール」は悪路を得意とするスーパースポーツ -
第424回
自動車
今買うならMAZDA2の前モデルがお買い得な5つの理由 -
第423回
自動車
ホンダの新型アコード試乗! ハイブリッドなのにエンジン車のようなユニークな走り -
第422回
自動車
マツダ「MX-30 Rotary-EV」はロータリーエンジンのみならず! 新 唯がマツダ好き目線でジャッジ! -
第421回
自動車
ホンダ、水素が燃料の「CR-V e:FCEV」を発表! 近所はEVモード、遠出はFCモードで! -
第420回
自動車
テスラからアバルトまで最新EV5台を一気乗り! 多彩な顔ぶれと個性的なモデルが増えた -
第419回
自動車
コルベットの上位モデル「Z06」試乗! 圧倒的パワーのエンジンにシビれた -
第418回
自動車
マツダの売れ筋SUV「CX-5」の中で「FIELD JOURNEY」をオススメしたい理由 -
第417回
自動車
テスラ独自の高速充電器が国内100ヵ所超え! マイナーチェンジのモデル3も試乗 -
第416回
自動車
ロータリーエンジンを知らないアイドルが「MX-30 Rotary-EV」で感じた走りの良さ -
第415回
自動車
ボルボのラージSUV「XC60 Recharge」は嫌味がなく極上の乗り心地だった - この連載の一覧へ