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あのクルマに乗りたい! 話題のクルマ試乗レポ 第35回

マイナーチェンジした「S660 Modulo X」の完成度は進化の到達点だ!

2020年06月14日 12時00分更新

文● 栗原祥光(@yosh_kurihara) モデル●美環(@puritendon) 車両協力●ホンダ

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 今年で5年目を迎えたホンダ「S660」。そんなメモリアルイヤーに大幅なマイナーチェンジモデルが登場した。S660オーナーである筆者は、その進化はとても気になるところであった。当初「外装と内装の一部を変更」という話で、その部分を紹介すればいいと考えて取材を始めたのだが、クルマを動かしてみると「あれ? 乗り味が今までと全然違うんだけど?」で混乱。結局300kmを超える走り込みをしてしまった。

 しかし「その違いは個体差なのか、マイチェンで変わったのかが、それとも自分の感性が変わったのか、正直よくわからない」という疑問を抱き、悶々とした日々を過ごしていたのだ。

「S660 Modulo X」(304万2600円税込) ※試乗はCVT仕様で実施

 悶々としていた午後の昼下がり、ホンダアクセスから「マイナーチェンジ後のS660 Modulo Xが入庫しました」との連絡が。マイナーチェンジ前にも触れている筆者としては、これは疑問を解消できる好機とばかりに「ぜひ取材させてください」と二つ返事。早速車両をお借りするとともに、前回同様、普通自動車の運転免許を取得したばかりの美環さんを引き連れ、都内屈指のワインディングコース「奥多摩周遊道路」へと向かった。

スタイリングも走りも、より深化した印象

Aピラーをボディーと同色としたほか、ライトなどのクリアパーツに変更を施したS660 Modulo X(304万2600円税込)

 公式発表によるとS660 Modulo Xも、「クリアパーツとサイドウインカーのドアミラー移設、そして内装の一部を変更。そしてシートヒーターを新設」したというのがマイナーチェンジの全容。あとはホイールのカラーリングに変わった程度で、前期型と並べない限り、何も知らない人では違いを見出すことは困難だろう。しかし、単独で見ると全体的により精悍な印象を強めており、一言で言えば「よりイケメンになった」と言える。

ドアミラーにウインカーを内装

よりスッキリとしたサイドビューとなったS660 Modulo X

 中でもサイドウインカーをドアミラーに内装化は、スッキリとしたサイドラインと相まって「本来あるべき姿」に映る。個人的に関心したのは、LEDポジションライト。実は今まで夜間にS660 Modulo Xを運転したことはなかったのだが、使うと確かに車体の前方がかなり明るく見える。マイナーチェンジ前のノーマルモデルにこの装備はないので、正直羨ましく思う次第。

LEDランプを点灯させた状態

LEDランプを消灯した状態

 装備面の中で最大の特徴と言えそうなシートヒーターの追加は、実にうれしいところ。ストイックな方からは「軟弱な!」と言われそうだが、背中が寒いのはとてもつらいのだ。もう一つの変更点であるハンドルを含め、一部素材に使われているアルカンターラはしっとりとした肌触りと共に、レーシングな雰囲気を手に伝えてくる。こういった演出はスポーツカーにとって重要な要素だ。では、運転してみよう。

S660 Modulo Xの車内。ハンドルの一部にアルカンターラ材を使用する

S660 Modulo XのヘッドレストにModuloの文字。シートヒーターにより、冬でもオープンドライブが楽しめる

メーターパネルの速度計にModuloのイルミネーションが光る

シートの間、ドリンクホルダー近傍にもModulo Xの銘鈑が置かれる

 クルマを少し動かした瞬間「マイナーチェンジ前後で乗り心地や手ごたえが違うのではないか?」という疑問は確信に変わった。明らかにマイナーチェンジ前と異なる、今までより重たく感じるステアリングフィールは手ごたえ十分の好ましさ。さらにS660 Modulo Xはマイナーチェンジ前後でサスペンションのセッティングが異なるように感じたのだ。

ワインディングロードを走るS660 Modulo X。初心者マークを貼るのは、ステアリングを握る美環さんが運転免許取得し1年未満であるため

S660 Modulo Xは軽自動車初となる減衰力調整機構を搭載。5段階で設定可能だ

 マイナーチェンジ前を試乗した際は「上質で好ましいことに違いなく、初期型を購入した者なら絶対に嫉妬する最良のセッティング。大変好ましい反面、どこか優等生すぎて熱くなれない」と感じ、そのように寄稿した。しかしマイナーチェンジ後は、5段階あるうちの3番目という「中間の減衰率」と異なるにも関わらず、マイナーチェンジ前のもっとも硬い減衰設定よりも引き締まっているように感じた。それでいて不快さのない上質かつ絶妙なバランス。一言で言えば「最高」だ!

 たとえるなら、前作が欧州高級車の普通グレードの脚に似ているとするならば、マイナーチェンジ版は同車種のスポーツグレードに変わったような違い。ワインディングでのスピードレンジが、もう1段階上に上がったようだ。後日ホンダアクセスに尋ねたところ「サスペンションそのものは変わってないと思いますよ」という。となると、この変化は一体何なのか?

S660 Modulo Xのリアには、純正オプションとして販売する「リアロアバンパー」(8万5800円税込)が取り付けられ、スポーティーな印象をさらに高めている

 エアロが見掛け倒しではないところが、Modulo Xの恐ろしいところ。その効果はノーマル版と比べて、コーナー進入時でのノーズの入りがよく、思い通りにスパッと鋭くインに切れ込む。では機敏さだけが取り柄なのかというと、そうではなく高速走行時はノーマルとは段違いの安定感。つまり「ハイスピードコーナーで、安心してステアが切れる」というわけ。この懐の深さ、気持ちよくないハズがない!

 普段は適度に硬質感のある乗り味と手ごたえ、踏めばめっぽう楽しくアドレナリン全開。コレだよコレ! コレなんだよ! と心の中から拍手喝さいで全俺が涙。初期型ノーマルグレードからマイナーチェンジ後のS660 Modulo Xへ、下取りとかせずにアップデートできたら……と、心の奥底から嫉妬する。

コペンGRスポーツ

 同じようなファクトリーチューンの軽オープンカー「コペンGRスポーツ」と比較するとどうなの? という点は気になるところだろう。結論から言えば、S660 Modulo Xの方が懐が深く、安心感がある。それゆえ誰でもヤンチャが楽しめる。いっぽうコペンGRスポーツは「ハマれば速くて楽しい」のだが、その懐が意外と狭い。コペンGRスポーツを機械としての性能を追い求めた結果とするならば、S660 Modulo Xはドライバーのフィーリングを第一に追い求めた結果と言えそう。

 どちらがいい悪いではなく、どちらもいい。だからクルマは面白いのだ。こういった面白いクルマがどんどん増えてほしいと願わずにはいられない。

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