ミズアブ循環、アンモニアエネルギー、スマートグラス――各国スタートアップが描く次の産業
ViennaUPの「Connect Day 26」で、AI、エネルギー、農業、モビリティ分野の技術を披露
1 2
オーストリア・ウィーンで2026年5月18日から5月22日にかけて開催されたスタートアップフェス「ViennaUP 2026」の中核イベント「Connect Day 26」では、終日ピッチやパネルセッションが展開された。世界各国から選抜されたスタートアップが登壇する「Innovations from Around the World」では、アジア、中東、欧州の企業が、AI、エネルギー、農業、バイオ、モビリティ、サステナビリティなど幅広い分野の技術やサービスを披露した。
誰でも10秒で仮想空間を作れる「空間UGC」
中国・香港のSENJINE AIは、AIを活用した「空間UGC(ユーザー生成コンテンツ)」プラットフォームを紹介。一般ユーザーが10秒で独自の3D仮想空間やバーチャルホームを構築できるソリューションで、家具や建築物を販売できる取引機能も備える。 すでにパナソニックなど大手企業への提供実績もあるという。
ミズアブで食品廃棄物を循環
同じく香港のBSF Innovationは、アメリカミズアブを活用した食品廃棄物リサイクルシステムを紹介。太陽光発電対応のIoT装置を用い、食品廃棄物を自動処理しながら有機肥料へ変換する。生成した肥料は地元農家で活用されるほか、副産物の粉末を建材へ配合する取り組みも進めている。
農業機械のデータをリアルタイム分析
インドのVanix Technologiesは、農業向けGPS・IoTソリューション「Digi Khet」を紹介。トラクターなどに機器を搭載し、位置、燃料消費量、作業ルートなど30以上のデータを分析する。気候変動によるリスクが高まる中、農家向けに“実際に使えるデータ”を提供することを目指している。センサーからクラウドまで自社で垂直統合開発しており、すでに3万5000台以上を市場投入済みだそう。
アンモニアでデータセンターの電力と冷却水を生成
イスラエルのQool Energyは、アンモニアを活用した分散型エネルギーシステムを紹介。AI普及によるデータセンター需要拡大を背景に、水素より扱いやすいアンモニアを熱エネルギーへ変換し、発電と同時にサーバー冷却用の冷却水も生成する。現在はオーストリア企業と共同で試作を進めている。
GPUを“Airbnb化”する分散処理プラットフォーム
日本から参加したジャスミーラボ株式会社は、GPUの空きリソースを貸し借りできる分散処理プラットフォーム「JANCTION」を紹介。AI学習や動画レンダリング需要の急増に伴うGPU不足を背景に、「GPU版Airbnb」を掲げる。独自のGPU仮想化技術を用い、処理終了後にデータを残さない安全な分散処理環境を構築。ソニーやパナソニックとの実証では、動画レンダリングの時間を大幅に短縮できたという。
遺伝子治療薬の製造効率を高める次世代精製技術
シンガポールのBIOCHROMATOGRAPHIXは、遺伝子治療薬向けの次世代精製技術を紹介。従来の精製装置では巨大なDNAやウイルスベクターの回収効率が低く、多くが失われる課題がある。同社はスポンジ状構造を持つ素材を開発し、流路を大幅に拡大。これにより精製速度を10倍、回収率を70%以上へ向上するとし、製造コスト低減につながる技術として提案した。
V2X時代を見据えた車載向けセキュリティ
韓国のSAESOL Techは、車載向けサイバーセキュリティソフトウェアを紹介。車とインフラ、車同士が通信する「V2X」社会を見据え、車両のTCU(通信制御ユニット)モジュールに組み込むセキュリティソフトを開発している。LGエレクトロニクスから出資を受けるほか、BMWや大手サプライヤーとも協業。欧州で進む標準化議論にも参加しているという。
【重工業向けCO2回収スマートフィルター(次ページ)】
1 2
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります




































