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最新ハイエンドオーディオ、本当のところ 第7回

DSDやバランス駆動、これでもかの調整機能を盛り込んだ意欲作

驚きのHi-Fi感をぐっと凝縮した、パイオニア U-05を聴く (6/6)

2014年08月03日 12時00分更新

文● 編集部

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変更し、拡張する楽しみもまた魅力

 このように音を調整し、極める楽しさがU-05の魅力だ。

 しかしその楽しみは機器側の設定だけでなく、組み合わせる機器との違いもある。ひとつはリケーブルだが、もうひとつは可変のアナログ出力を使うことで、シンプルでミニマムなオーディオシステムが組めてしまうという楽しみだ。

バランス駆動に対応するという点は、究極のヘッドフォンサウンドを体験するという意味で今後ぜひ選んでおきたい機能だろう。

 また豊富なデジタル入力はPC以外の機器との接続にも便利だ。例えばテレビの光デジタル出力と接続すれば、何気なく見ていたスポーツやライブ番組がこんなにも高音質なものだったのかと驚く。ハイレゾ音源はもちろんだが、CD品質、場合によってはMP3やAACでも音の良さは変わらない。手持ちのソースの本当の価値を感じることができるだろう。

ゼンハイザーのHD650にフルテックの「iHP-35S-XLR」を組み合わせた

 今回、ゼンハイザーのHD650のケーブルをフルテックの「iHP-35S-XLR」に変更してみたが、ひと皮向けたような音の鮮度と、深いダイナミックレンジ、沈み込むような静寂といった要素の改善が得られた。リケーブル自体、高価でかなり趣味性が高いものだが、高級ヘッドフォンを手に入れて将来的にはケーブル変更もマニアックに楽しみたいと考えているのなら、種類のバランス駆動用のコネクターに対応した本機を選べば安心だ。

 もちろん本機の高音質はHi-Fiオーディオとしての素性のよさが支えている。内部写真を見ると、筐体の内部がきれいに区分けされており、回路そのもののレイアウトも非常にきれいだ。シールドケースに収めれた大型の電源トランスは、独立巻き線構造。内部は右側にアナログ系回路、デジタル系の回路は中央よりやや左に垂直に立てておかれているが、デジタル回路用の電源ブロックはそのさらに左、アナログ回路用の電源ブロックは右手前と分けられている。ヘッドフォンアンプ回路はほぼ左右対称のフルバランス回路となっている。さらには極太の電源ケーブルも同梱。こんなところからも、本格的な単品コンポーネントを志向しているのだろうと感じる。

 いろいろと書いてきたが、豊富な設定を使い込む楽しみ、機器を変え拡張していく楽しみ、そして圧倒的だと驚かされるほどいいサウンドは、期待を大きく上回るものだった。増加しつつあるハイレゾ音源を最高級の音で楽しみたいと思うのなら、ぜひ選択肢のひとつに入れたい製品であるし、ワイドレンジで情報量の高いサウンドは、高性能な最新の高級ヘッドフォンとも非常に相性がよさそうだ。

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