本格派ヘッドフォンアンプ市場にマランツが参入
マランツブランドとしては初のヘッドフォンアンプ「HD-DAC1」がついに発売となった。“ハーフサイズ”(幅250mm)の筐体に、ハイレゾ対応のUSB DACや高音質のヘッドフォンアンプを内蔵した製品だ。
ヘッドフォンアンプというと、これまで“ポータブル型が中心のカテゴリー”というイメージも強かったが、この1年ほどで増えてきたのが大手メーカーによる据え置き型製品だ。内容もHi-Fi機器の思想に沿った本格的なもので、PCオーディオとして、あるいはiPhoneに保存した音源をハイエンドのヘッドフォンで聴くといった用途だけでなく、ソース機として単品で組んだオーディオシステムに組み込むなど、いろいろな楽しみ方ができるカテゴリーになっている。
古くからのマランツファンは懐かしく感じる外観
中央に円形ディスプレーを配置するデザインは、マランツ製アンプでは共通のもの。HD-DAC1ではさらに横幅と奥行きが、2000年代前半まで市場に流通していた、トップローディング型CDプレーヤー「CD-23」シリーズとほぼ同じになっているのが感慨深い。過去のマランツ製品に愛着がある人なら「懐かしい外観が復活した」と感じるかもしれない。
海外ではブラックモデルもあるようだが、国内ではシルバーゴールドの1機種のみが販売される。シャンパンのように明るいゴールドにサイドウッドまで付くとなると、バブル期(1980年代後半~1990年前後)の高級オーディオのようだが、実際に見るHD-DAC1の雰囲気は現代的だ。直線と円を組み合わせ、あまりゴテゴテとしないシンプルなデザインに仕上げているためだろう。
フロント外装は金属(おそらくアルミ)だが、二桁型番を付けた上位製品ほど重厚感はない。実はサイドウッドも木製“風”の樹脂となる。カバーがなく露出したフロントUSB端子や、これでもかと上部に空けられたスリッドなどにややチープさもあるが、雰囲気は全体的な上質。個性的なデザインも目を引く。このあたりは重箱の隅をつつくような話だし、音を聴くのが目的の機器でもあるので、本質的な問題にはならないだろう。