DSDやバランス駆動、これでもかの調整機能を盛り込んだ意欲作
驚きのHi-Fi感をぐっと凝縮した、パイオニア U-05を聴く (2/6)
2014年08月03日 12時00分更新
高機能を詰め込んだ、パイオニア初の単体USB DAC
実はこのU-05、パイオニアとしては初の単体USB DACだ。
これまで単品のHi-FiアンプやAVアンプにUSB接続機能を搭載し、ハイレゾやネットワーク再生にも早期から取り組んできた同社だけに意外だ。しかしその分完成度の高い1台となった印象もある。国内大手メーカーを含めて製品が一巡し、ハイレゾ時代のUSB DACはこうあるべき、という姿が見えてきたからこそできた製品という面もあるだろう。
筆者も6月の発表以降発売を楽しみにしてきたひとり。ヘッドフォンのバランス駆動に対応した据え置き型ヘッドフォンアンプは20万円以上するものがザラだけに、実売で10万円を切る価格帯というのもリーズナブルに感じる。
面白いのは、バランス駆動に使用するXLR端子を4ピン×1個のタイプと、3ピン×2個のタイプの2種類用意している点だ。現在市販されているHPAでは、ゼンハイザーの「HDVD800」が4ピン、ラックスマンの「P-700u」が3ピン。ゼンハイザーやシュアの定番ヘッドフォン用リケーブルも4ピンタイプ、3ピンタイプが混在している。
もちろんU-05であれば、その「どちらか」ではなく「両方」に対応できる。
多彩な再生モードもほかにはない特徴だ。
ざっと列挙すると、「デジタルフィルター」が3種類、デジタル信号をクロックに同期させる際の許容量を調整し、より精度の高い再生が可能になる「ロックレンジアジャスト」が標準で4段階(最大で7段階)。さらに「オーディオスケーラー」として、音源を32bitに拡張する「Hi-Bit 32 Processing」のオン/オフと、サンプリングレートを増やせる「Up Scaling」をオフ/LOW/HIGHの3段階に設定できる。
オーディオ再生用のHi-Fi機器ということで、バーチャルサラウンドやEQ関連の設定は当然ない(筆者としても不要)。いわゆる信号処理で音をダイナミックに変えるわけでなく、あくまでも忠実な再現を目指したものだが、個々の設定の応じてはかなり繊細に反応する。それぞれの設定を組み合わせることで、ヘッドフォンやソース機、音源に合った設定を緻密に突き詰めて、自分にとっての究極の音を追究していけるいけるという点が興味深いし、使い込む楽しみをもたらしてくれる。
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