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最新ハイエンドオーディオ、本当のところ 第3回

小型かつ高品位、ドイツから届いた純白のアクティブスピーカー

コンパクトなボディーからあふれ出る上質、ELAC AM50 (1/4)

2013年07月22日 12時00分更新

文● 編集部

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驚くほどコンパクトなのに、サウンドは本格的。そして高品位なオーディオ機器らしく、質感にもこだわっている。ドイツの高級オーディオメーカーELACが開発した「AM50」は、所有する喜びを喚起し、音楽のある生活を素敵に演出してくれる。

「パソコンだからしょうがない」のか?

 パソコンはいまや音楽に触れるための最も身近なデバイスだ。CDをリッピングしてパソコンのHDD内にライブラリーを作る、あるいはiTunes Storeなどで楽曲を購入して聴くというだけではない。例えばYouTubeでアーティストのプロモーションビデオを探し、観るなど、パソコンを使い、ネットで検索し、結果としてユーザーが音楽と触れる機会は増えている。

 しかし音楽を聴く機器と聞いて、実感がわく人は意外に少ないかもしれない。音楽を聴くといえば、かつてはCDやレコードを買って専用機器で楽しむことだった。YouTubeを例にとれば、それは“テレビで音楽を聴く”と言っているのに等しい。確かに楽曲には接しているが、音楽=音を楽しむという純粋な言葉の意味とは少し違ったアプローチだからだ。

 一方、パソコンで再生する音源はそれがネットのストリーミングで流すことを想定しているとしても、思いのほかリッチだ。そして悲しいことに、そのことに気付いているユーザーは少ない。パソコンで聴いているのだからこの程度だ、圧縮されてネットで流れている音源だからしょうがない、と妙に達観した考え方が邪魔をするケースもある。

 最近YouTubeをパソコンで再生して驚いたことがあった。楽曲のプロモーションビデオだったが、パソコンにつないだスピーカーから流れた音は、予想外に豊富な情報量を持っていた。音の出口が異なるだけで、気付かなかった演奏のニュアンスや、聞き逃していた細かなフレーズが感じられ、音楽が躍動する。制作者の思いがこもった情報が含まれ、聴くものに訴えかける要素がある。しかし、それに気付くためにはきっかけが必要だ。

AM50という選択

 ここではドイツのオーディオメーカーELACが開発したコンパクトブックシェルフ「AM50」(価格7万3500円)を紹介する。パソコンにある音はこんなによかった。そう改めて認識するきっかけを与えてくれた製品だ。

 量販店や専門店の店頭ではあまり目にする機会がないかもしれないが、輸入代理店のユキムが運営しているユキムオンラインストアなどを通じてネットでも購入できる。

ユキムオンラインストア。ハードだけでなくソフトも扱っている。

 AM50は、ベストセラーとなった小型ブックシェルフ機「BS52.2」をベースにしたアクティブスピーカーだ。USB DACとアンプを内蔵しており、パソコンとはUSBケーブル1本で接続できる。専用機器にありがちな複雑さを排除した製品だが、単に手軽なだけではない。オーディオメーカーとしての音作りにも妥協がない逸品だ。

AM50のベースとなったBS52.2

 AM50を開発したELACは、ドイツ北部の街・キールに拠点を置く、80年以上の歴史を持つ企業。1926年の創業後、しばらくの間はソナーなどの開発を手がけていたという(キールは軍港の街としても知られている)が、第二次大戦後にオーディオメーカーとして本格的なスタートを切った。レコードプレーヤーに使用するフォノカートリッジの開発に着手したのち、スピーカーの開発を開始。現在では独創的なスピーカー製品を数多く市場投入しているメーカーとして知られている。

 ドイツは工業製品や工芸品に関して伝統を持つ。モノづくりにこだわりを持つ国というイメージがあるが、ELACはまさに長い歴史の中で育んだ伝統を、現代の製品に生かしているブランドだ。そして、数多くの製品が並ぶELACのラインアップの中でも、AM50は特徴ある存在と言える。

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